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産休・育休、時短勤務、介護……ライフステージの変化の中、女性エンジニアが管理職として働き続けるには【デブサミウーマン】

【A-5】ライフステージの変化の中でエンジニア管理職として働くコツ

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ステージ3:育休中にしかできないこと、時短について研究

 産休・育休に入った頃、西村さんは「仕事に悩むことはありつつも、やりがいを持って楽しく取り組んでいたため、現場から離れることに対して取り残された気持ちになっていた」と語る。

 また、子どもを保育園に入れて復職できるのかという不安や、復職した後のキャリアの築き方についても悩んでいた。だが、育休中でしかできないことをやってみようと割り切ることにしたという。それが、時短の工夫だ。

 直接スキルはPMや管理職の仕事に対する振り返り。関連書籍を読んだりして、将来また同じ役割に就くことがあればどんなことが工夫できるかを考えてみたりした。間接スキルでは、社外の育休者向けのコミュニティに参加し、新たな発見や気づきを得ていった。

 時間については、保育園のお迎えを意識した引っ越しや速読に関する本を読んで知識を得たこと。買い物の時間を節約するために、生協やネットスーパーを活用していることや、お掃除ロボット・食洗機・洗濯乾燥機などの家電をフル活用することで、家事時間の節約を行ったことが紹介された。

 さらに通っていた英会話教室はオンラインに切り替えることで、移動時間を節約。深夜や早朝も活用できるようにした。

産休・育休中に意識していたこと
産休・育休中に意識していたこと

ステージ4:復職後は業務のメリハリと優先順位付けを徹底した

 11カ月の育休を経て、復職した西村さん。Yahoo!ニュースに時短勤務で管理職として戻ることが決まったものの、同じ境遇の人がいなかったこともあり、不安に思うこともあった。子どもが頻繁に病気になったら周りに負担がかかる。とはいえ、自分のための時間も欲しいという思いもあった。

 そこで、業務のメリハリと優先順位付けを行うことにした。直接スキルでは、管理職でしかできないこと。例えば、メンバーが困っているプロジェクトや案件がスムーズにいかない課題が出てきたときには、管理職が積極的に入って調整をしていく。管理職が入るべきところを見極めて業務をするようになった。

 「コードを書く仕事は短いスパンでスケジュールが切られることが多いため、遅れが出た場合は迷惑をかけてしまうが、管理業務は自分でコントロールが結構効くのでやりやすかったですね」

 優先順位付けでは、まず仕事を始めるときに、今日必ずやらなければいけないことを決める。タスクはすべて優先順位付けをして、新しいタスクが来ればまた並び替えを行う。期限が近づいたものがあれば、優先順位を上げるようにした。

 「家事と育児は夫に協力をしてもらい、かなり冗長化をしました。2~3日私がいなくても夫だけで子どもを起こし、寝かしつけまでできるくらい協力してくれました。その結果、子どももストレスが少なかったように思います。また、英会話は子どもの生活リズムに合わせて、深夜や早朝に続けていました」

時短で復職してからの工夫
時短で復職してからの工夫

ステージ5:通常業務とは違う挑戦する一方で、介護の困難さを実感

 そして、「親の介護」に向き合うというステージが訪れる。

 「母が病気で亡くなり、残された父が1人では生活が難しいほど弱っている。介護は育児とは比にならないぐらい大変だということがわかりました」

 介護と育児はやることが似ている。育児では保育園を探すが、介護は施設を探す。オムツや前掛けなど、必要なものも近しい。だが、決定的に違うのは、「育児はだんだんできることが増えていくので、喜びや楽しみがある。介護は逆にだんだんできなくなっていくので、楽しさや喜びを見出すことが難しい」と、西村さんはしみじみ話す。

 ヤフーでは会社の制度として、未就学の子どもの体調不良のときなどに使える休暇を年に5日取得することができる。介護が必要な家族がいる場合には、さらに介護休暇として年に5日休暇がとれる。合わせて10日取得することができるのだ(※看護休暇、介護休暇の日数は、看護・介護の対象となる家族の人数により異なる)。

 「看護休暇と介護休暇をフルに使うことはなかったが、この休暇を取ることで、周りに自分の状況をなんとなく認識していただけたのが、少し安心感に繋がったと思います」

 また、地域包括支援センターに相談したり、客観的な意見やアドバイスをもらったりすることで、プロの意見を聞くことの大事さを実感したと語っている。

 一方、仕事面では社内の災害復興支援のボランティアに参加したり、違う職種の人や経営層の業務を学んだりする機会もあり、新たな発見や気づきを得ることができたという。

介護はプロに頼りながら新しい挑戦も
介護はプロに頼りながら新しい挑戦も

ステージ6:リモートワークと子どもの就学に合った場所に引っ越し

 管理職に就いてから、経営層や上層部に説明や合意形成をする機会が増えた西村さん。伝えたいことをどう整理し、わかりやすく資料を作るかなどスキルが必要だと実感している。また、完全にリモートワークへと移行し、関係者以外との接点が少なくなったことに対しても、コミュニケーションの工夫が必要だと語っている。

 また、通勤を想定していた住まいがリモートワークの生活になって、全然合っていないことにも気づいた西村さんは、まずリモートワークの生活に合う場所への引っ越しを決意。スーパーや図書館、子どもの習い事に徒歩5分以内で行けるところに引っ越しすることで、移動時間の節約ができた。

 コミュニケーションについては、月に1回はZoomでの1on1を通して業務以外の話をする機会を作るようにした。さらに自身の趣味として、バイオリンのレッスンにも通い始めたそうだ。

コロナや子どもの就学に合わせた変化
コロナや子どもの就学に合わせた変化

 「今後のキャリアとして、エンジニアの経験とコミュニケーション力を生かして、チームで社会に貢献していきたいと考えています。そのためには、目の前の仕事や家事だけをこなす毎日にしないことが大事。業務のスキルを上げるだけではなく、将来に向けた学びや時間創出の工夫も続けていきたいと思います」

 最後に西村さんは、「このようにライフステージの変化に合わせた工夫をしていけば、誰もが働き続けることができる。その結果、活躍する女性がもっと増えてほしい」と語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

馬場 美由紀(ババ ミユキ)

 エンジニアとテクノロジーが好きな編集・ライター。エンジニア向けキャリアサイト「Tech総研」「CodeIQ MAGAZINE」、Web技術者向けの情報メディア「HTML5 Experts.jp」などでライティング、コンテンツディレクション、イベント企画などを行う。HTML5 開発者コミュニティ「h...

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