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話題のあの人にインタビュー!

「時を超える落書き」 doodleはマッシュアップでできています

ケータイのGPSから始まる新しいコミュニケーション


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運営していて嬉しかったこと

マッシュアップサービスやって良かったなと思ったことはありますか?

 ユーザが増えることが、こんなにも嬉しいとは思いませんでした。アクセスモニターを見てみると使ってくれている人がいる、ということがわかるわけです。当たり前ですけど、それがとても嬉しい。しかも毎日、それも1日何度も使ってくださっているユーザの方が何十人といらっしゃる。自分だってどんなに面白いサイトでも2週間~1ヶ月で飽きてしまうというのに、いったいdoodleの魅力って何なんだと、逆にユーザにお会いして直に教えを請いたいくらい(笑)。

 次々と新しいサービスが生まれては消える競争の激しいケータイの世界で、本当に嬉しいことです。私だって仕事でへこむことが何度もあります。ですが、私がユーザに便利な機能を提供しているのではなく、使ってくださるユーザの1アクセスに癒され、助けられています。もちろん、ユーザの方にお会いしたことはないですが、もし会えたらものすごく感謝の気持ちでいっぱいになると思います。

 ですからサービスを継続させるために、そういったユーザさんたちに、私たちができる恩返しといえば、もっと何か便利で面白いものを提供したい! ということなんです。「おお!」と唸って欲しい、「ふふっ」と笑って欲しい。素直にそんな感謝の気持ちをもって開発に取り組んでいます。

新サービス「Which?」

その成果の1つが「Which?」でしょうか

 はい。最近リリースした「Which?」というサービスでは2択アンケートの結果を地図に表示することで、「地域による回答の傾向」を見ることができます。食の習慣や地域ごとのイメージなど、住んでいるところによる違いを見られる可能性がある点がおもしろいと思います。

 このサービスもdoodle同様PlaceEngineに対応しているので、無線LAN経由でPCから位置特定をして参加することができます。またひとつのWhichが1URLで表現できるようになっており、例えば「玉子焼きの味付けは?」というアンケートであれば、http://doodle.st/which/?sno=33でアクセスできます。

Which? 「玉子焼きの味付けは?」
Which? 「玉子焼きの味付けは?」

日本には世界一のマッシュアップ大国になれる可能性がある

マッシュアップを行っていく中で感じてきたことはありますか?

 以前、自分向けサービスのときに国土交通省のとある気象データを使って、「勝手マッシュアップ」を作っていたことがあるんです。そのデータ自体は認証なしで誰でもアクセスできる位置にあったので、仕様を解析して。外してばかりの天気予報よりも、よほど便利なコンテンツでした。

 ですが、いまから3ヶ月前に大幅な仕様変更があって、全くトレースできなくなってしまったんです。実は国のサイトには民間ではとても取ることが難しいデータがたくさん公開されている。しかも税金が使われて。にもかかわらず、それらはデータ的に整理されておらず、個々バラバラに公開されている。これらの情報をXMLやJSONでAPI提供してくれたら、おそらく日本は世界一のマッシュアップ大国になれるんじゃないかと思います。ぜひ官公庁の方には考えて欲しい点ですね。

Mash up Awardに向けて

マッシュアップのよいところはどんなところでしょうか

 やはり、とても1人では(あるいは1社だけでは)できないリソースを使えることではないでしょうか。地図情報にしても店舗情報にしても、とても大きなリソースです。

 しかも無料で使うことができます。また、その機能に関しては提供会社に任せられることも大きいと思います。機能追加は随時行ってくれますし、バグがあれば提供元が解決してくれます。

逆に運営していく際のポイントはありますか

 先ほどの利点とは裏腹にサービス可用性担保の難しさはありますね。提供されるWeb APIの仕様が突然変更されたり、サーバーダウンなんてこともあり得ます。そのためマッシュアップ元のサービス多重化を視野に入れて構築することも考えています。例えば「めし」doodleではホットペッパーさんと食ベログさんの2つをマッシュアップしていますが、一方は都会に強く、他方は地方に強いというコンテンツの棲み分け効果だけじゃなく、両方いっぺんにサーバーダウンする確率は低いわけですから、そういった可用性対策にもなるわけです。

現在、Mash up Award 3rdが開催されています。受賞するコツのようなものはあるのでしょうか?

 そうですね……。Mash up Award 2ndもそうでしたがMash up Award 3rdになると、単に「マッシュアップしました」では選考対象にすらならないような、そんなレベルの高さになるような気がしています。私は審査員でないのでわかりませんが(笑)。

 ですから、技術レベルよりもむしろ、何か一つでもすごく光る新しいコンセプトで勝負するのがいいのではないかと思っています。何でもできる「ごった煮」システムは、結局コンセプトを失うと何もできなくなってしまうと思うんです。

 doodleもそこは常に意識していて、これからもユーザの声に耳を傾けながらも、基本コンセプトをブレさせることなく、発展していけたらいいなと思っています。

Mash up Awardを受賞して変わったこと

受賞して変わったことはありますか

 まず、イベントで発表する場を多くいただくようになりました。そして逆にAPIを公開する側になったのも大きく変わったことですね。

 まだ直接的にはほとんど収益を生み出してはいないのが現実ですが、受賞したことでのプレゼンス効果は抜群で、アクセス数の多いサイトからリンクを張ってもらえたり、いろいろなイベントに呼んでいただいたり、そこでまた別の仕事の話に繋がったりと、次の種をもらって、ビジネス的な広がりを見せ始めています。

 今後のマッシュアップサービス発展のために、我々はもちろん、Mash up Award 3rdで登場するであろう素晴らしい作品やその開発者の方、さらにAPI提供企業や協賛企業の方など、参加者みんなで盛り上げていけたらいいなと思っています。

doodleが受賞したMash up Awardは、現在第3回目となるMash up Award 3rdが開催されている。なんと賞金は100万円。応募は2007年9月10日までとなっている。詳細は下記Webサイトを参照。

Mash up Award 3rd - 開催概要

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この記事の著者

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

石丸健太郎(イシマルケンタロウ)

株式会社ゴーガ所属。同社においてWeb系業務支援・コンサルティングの他、GPSケータイとGoogleMapsとを連携させたWeb2.0的なマッシュアップサイトdoodleの企画・開発に携わり、リクルート・サン共催...

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