約5%のトップエンジニアになるためには、技術よりマインドセット
「テクノロジーとイノベーションで人と社会が輝く未来を創るバリュークリエーションカンパニー」を標榜するNECソリューションイノベータ株式会社。田中氏は、同社でAWSのソリューションアーキテクトとして、大型IoT案件や官公庁の予約システム、政令指定都市AWS化などのプロジェクトに携わってきた。現在、勤務地は大阪ながら、テレワークも多いことから、出身である滋賀県の琵琶湖近くに居を構える。
エンジニアとしては当初、医薬品卸の販売・営業支援システム開発に携わり、大規模SAP基幹システムのAWS移行をきっかけにAWSを学び始め、さまざまなプロジェクトを経験してきた。2019年からは「Japan AWS Top Engineers」、2020年から「AWS Ambassadors」に選出され、現在はAWSにどっぷり浸かって仕事をしている。なお「AWS Ambassadors」は、AWSに関する卓越した技術力、ソーシャルメディアを通しての発信などを評価するもので、2023年度は日本で45名、世界でも298名が選出される。いわばAWSのトップエンジニアとして認められた存在だ。
田中氏は、「なぜ自分が選ばれたのか」と戸惑いつつも、「他のアンバサダーとの交流で感じたことも含めて、AWSエンジニアの中で何が違うのかを考えてみた。技術的なレベルならば、社内には自分よりも優れた人はたくさんいる。でも、多分そこではないのだろうと思う。いわば技術を超えて成長するためのエンジニアとしてのマインドセットにあるのではないか」と語る。
マインドセットとは、「人間が持つ無意識の思考パターン」であり、固定観念や思い込み、物事を捉える時の「思考のクセ」を意味する言葉だ。普段の何気ない行動は、このマインドセットによるものが多い。その行動の積み重ねにより、選択や身につくものが変わるため、マインドセットの持ち方によって成長度合いに大きく影響してくる。裏返せば、成長度や成長率を上げるにはマインドセットを変えればいいわけだ。
田中氏がこれに気づき、実践し始めたのは30代前半の頃。さまざまな本を読んだり、起業家や経営者のセミナーや集中講座に行ったりして、多くの人の話をきくようになった。ある起業家が主催するセミナーの初回で強調して言われたのが、「情報社会なのでビジネスのテクニックについてはググれば分かる。ビジネスをする上で大切なのはマインドセットがすべてといって過言ではない」という言葉だったという。それをきっかけに、マインドセットの重要性を実感し、特に2つのマインドセットを大切にするようになったとのことである。