はじめに
マッシュアップアプリケーションの開発コンテスト「Mash up Award 2nd」の優秀賞受賞作品「doodle」(ドゥードゥル)はケータイのGPSと地図を組み合わせたマッシュアップだ。そのサービスコンセプトから開発の苦労話、そしてサービスを提供したおかげで味わえた「嬉しかったこと」、そしてMash up Awardを受賞して変わったことまで開発者の石丸氏が語ってくれた。
ケータイ+地図で「落書き」
doodleとはどんなサービスなのでしょうか
GPS対応ケータイを使って、(リアルな)その地点にある(バーチャルな)掲示板に書き込んで、近くのケータイ・PCユーザとやりとりするコミュニケーションツールです。具体的には、以下のようにして使います。
- ケータイを持って街にでかけます。
- 「ここぞ」という場所でケータイからdoodleにアクセスします。
- メッセージを書き込みます。
- するとケータイの位置情報とセットになってdoodleに登録されます。
- 書き込んだ情報はケータイやPCから見られます。位置情報はGoogleマップと関連づけられており、地図上にマーカー(ピン)を立てることができます。
- もちろん他の人の書き込みも閲覧できます。
ポイントはメッセージが位置情報とセットになって書き込まれる点です。つまり、普通の掲示板とは違い、渋谷駅前なら渋谷駅前、京都タワー前なら京都タワー前、その場所にいないと書き込めません。だから、どんなに東京の自宅で「大阪城にマーカーを立てたい!」とがんばってもできないですね。必ず現地にいないといけないんです。
実際の場所にいて、初めて地図上にマーカーが立てられるわけですね
そうです。簡単に言えば、ライフログ的な意味で位置情報つきのTwitterと言えるかもしれません。しかしdoodleはあくまで「位置情報」が軸なので、「人」と「人」とを繋げるコミュニティ型SNSは目指していません。mixiやGREEといったサービスがすでにあるので、そういったことはそちらを利用してもらう。
そうではなくて、例えば渋谷駅で雨に降られ、雨宿りしているときにものすごい落雷を見たとします。どうしてもそのことを叫びたい。そういったときにdoodleを使って(私たちはドゥドゥると言っていますが)書き込んでもらいたいのです。
数日後、渋谷に来た別の人が暇つぶしにdoodleにアクセスしたときに「凄い雷を見た」という書き込みを見ることになります。同じように安くておいしいお店に感動したらその場でドゥドゥってもらえば、いつか通りかかった誰かがそれを見て、またその店で感動が生まれる。そんな時間を超えた「その場所に残る落書き」を楽しんでもらえるサービスだと思っています。
どんなこだわりを持っているのでしょうか?
doodleでは位置情報を最大限活用しています。そのためGPSケータイが必須です。とはいえGPSはauのほとんどの機種に搭載されていますし、DoCoMoも903iシリーズから搭載されています。2007年4月以降発売の機種では総務省からの提言によりGPS機能搭載が進んでいきますので、最近の機種であれば特にGPSを意識することなく誰でも使うことができます。
またGPSとは別に、街中の無線LAN電波から位置を特定できるPlaceEngineというAPIにも対応しているので、ノートPCやPDAからでも使うことができます。そのほか、位置情報は使えませんが、実はDSやPSP、Wiiでも利用できるようにしています。新規のマーカーこそ立てられませんが、閲覧なら可能です。
そして、単にマッシュアップして終わり、というだけではなく、doodleでストックした情報から新たなフローを生み出せるようAPI提供も予定しています。また、ログイン(ID、Password) によって囲い込みしたくないという思いから、携帯端末の固体識別番号を使った「マイデータ」という機能を提供しています。ですが、これは登録は任意なので使いたい人だけが選択すればいいという発想です。もちろん、マイデータ使ったほうが断然面白くなると思います。
ちなみに、doodleは写真やケータイ動画も投稿可能で、PHSも含む全4キャリアに対応しています。
doodleでできること
掲示板機能以外に、どんな機能があるのでしょう?
もちろん掲示板以外にも役立つ機能をたくさん取りそろえています。doodleでは位置情報を利用した検索ができるため、たとえ現在地を把握していない場所でも、キーワードだけで付近にあるお店や駅、ホテルなど、さまざまな情報を検索できます。これだけでも非常に便利なので、実はメインの落書きよりも多くの人が使っているようです。
Googleマップの機能を使っていますので、お目当ての場所の電話番号もわかります。これをカーナビのルート検索機能と連携させるという使い方もあります。
また昼間の場合、目的地までは距離だけでなく太陽を基点とした方角を表示しています。ですから、旅先で北がどちらにあるかわからなくても大丈夫です。
次々と追加される機能
実は、まるで隠れキャラのようにたくさんの裏技的機能があります。例えば東京都でしたら近くの図書館の蔵書を検索できます。他にも、FreeSpotの検索も行えます。これは近くFONにも対応する予定です。
他にもマイメモ機能やダイレクト画像投稿など、ユーザが便利になるよう、思いついた機能をどんどん盛り込むようにしています。細かい機能は自分でも実装したことを忘れてしまっているくらいあるので、最近では開発日記としてブログに書きとめるようにしています。