法人営業からWebエンジニアへの転身、そしてデータアーキテクトに
田畑氏はWebエンジニアからデータアーキテクトへの転身組だ。データアーキテクトへの転身のきっかけは、「今後のキャリアを考えていく上で、より明確な武器を身につけたいと思ったため」と語る。実はこのキャリアチェンジの前に、田畑氏は大きなキャリアチェンジをしている。それは営業職からWebエンジニアへの転身である。田畑氏が新卒で入社したのはメガバンク。「当時はプログラミングやシステムとは関係のない法人営業に従事していました」と振り返る。
メガバンクを就職先に選んだのは、「企業の経営を支援したいという思いがあったから」と田畑氏。だが仕事をしていくうちに、よりダイレクトにお客さまの課題解決にアプローチでき、もっとお客さまに求められる業界で働きたいと思ったという。「法人営業をしていると、お客さまからよく聞くキーワードがITだった。そこでIT業界への転職を決めました」
そこで田畑氏は「ITを基礎から勉強しようと思い、その一環としてプログラミングを学ぶことにした」と言う。そこで作りたいと思ったものが形になるプログラミングの面白さを実感。同時に適性も感じたという。「仕事を選ぶ上でその仕事が好き、適性があるかどうかはすごく重要だと思いました。そこでIT営業やITコンサルタントではなく、エンジニアとしてIT業界にチャレンジしたいと思い、Webエンジニアに転身しました」
転職先のベンチャー企業では、Webエンジニアとして開発だけではなく上流工程も経験。利用者やビジネスサイドの人たちとやり取りして要件を仕様にまとめ、開発につなげたり、開発項目をタスク化してメンバーに任せたりするようなリーダー的な立場など、幅広い経験を積んだという。
Webエンジニアとして幅広い経験を積みつつ、「さらに武器になるものが欲しかった」という田畑氏は、転職活動をする中で、よく耳にしたワードが「データ」だった。「データを強みにしたい」と考え、出会ったのがARISE analyticsだったという。ARISE analyticsはKDDIとアクセンチュアの合弁により2017年に設立された、国内最大規模のデータと最先端のデータ処理・分析技術を有するデータサイエンティスト集団。「データに関するエンジニアリングを学ぶのにうってつけの環境だと思いました」
さらにARISE analyticsへの転職を決定づけたのが、ARISE analyticsの社員として働いていた大学時代の先輩の言葉だったという。「仲良くしていた先輩から、『ARISE analyticsは社員を大事にするいい会社だよ』と言われたんです。実際入ってみて間違いないなと思いました(笑)」
データアーキテクトに求められるスキル
ARISE analyticsに入社してからは、PoCのPM業務や分析業務、システム開発業務などさまざまなプロジェクトに参加してきた。そんな田畑氏がキャリアトラックの中から選んだのが、「データアーキテクト」だった。
データアーキテクトを選んだ理由について田畑氏は、「いずれのキャリアトラックもデータに関する強みは身につけることができますが、まずはエンジニアリングのスキルを伸ばしたいと思ったこと。次にWebアプリケーションの知見を生かしつつ、これまでとは異なる技術領域であるデータ基盤構築にチャレンジしたいと思ったこと。これらの理由によりデータアーキテクトを選択しました」と語る。
田畑氏の言葉からもわかるように、データアーキテクトのメイン業務はデータ分析における基盤構築である。またソリューションエンジニアによるデータソリューションの開発や、AIエンジニアによるモデル開発とその活用を可能にする基盤構築にも携わる。
例えば分析基盤であれば、KDDIの分析担当者やARISE analyticsのデータコンサルタントから、どういうデータが欲しいのか、どういう形で利用したいのかなどのユースケースをヒアリングしながら構築していくという。
「データアーキテクトが普段使用する技術は、AWSなどのクラウドインフラが中心。また大量のデータの処理にはApache Sparkを使うことが多い。まずはそういう技術スタックを含め、基盤構築に関する一連の知見、つまりステークホルダーを意識しつつユースケースを定義した上でシステム構成を検討し、運用まで見据えた上で構築するという能力が求められます。もう一つはデータに関する知見です。分析や機械学習のデータ活用のユースケースを理解した上で、データ収集・加工・蓄積・活用という一連の処理のあるべき姿を考えて、構築する能力も必要になります」