米Vercelは、エンドユーザーに近い「エッジ」でJavaScript/TypeScriptを処理する「Edge Functions」を12月15日(現地時間)に正式に公開した。2022年6月にパブリック・ベータとして公開し、改良を重ねながら今回の一般公開にこぎ着けた。
Edge Functionsは、JavaScript/TypeScriptで記述したサーバー・アプリケーションの処理速度を高める仕組みだ。ユーザーからの操作に対応する処理をすべてサーバーで実行していたら、ユーザーの現在地によっては遅延が大きくなって、使いにくいと感じさせてしまう。そこで、世界中に配置した「エッジ」でJavaScript/TypeScriptを処理するようにしている。ユーザーの現在地に近いエッジでJavaScript/TypeScriptを処理することで、遅延を最小限に抑えられる。
Edge Functionsを処理する「Edge Runtime」は、Google Chromeが採用しているJavaScriptエンジン「V8」を基にしている。パブリック・ベータとして公開している間に、Edge RuntimeはJavaScript/TypeScriptだけでなく、WebAssemblyの実行にも対応した。
またEdge Functionsでは、プログラムが使用できるエッジを選択できるようになった。サーバー・アプリケーションがデータベースにアクセスするようになっていると、ユーザーに近いエッジでJavaScript/TypeScriptを処理しても、そこから遠い場所にあるデータベースへのアクセスが発生して、遅延短縮の効果が少なくなってしまうことがある。そこで、データベースがある場所に近いエッジだけを使用するように設定することで、遅延短縮の効果がある程度得られるようになる。
Vercelは世界18カ所にエッジを設置している。具体的には日本の東京と大阪、アイルランドのダブリン、アメリカのクリーブランド、サンフランシスコ、ポートランド、ワシントンD.C.、イギリスのロンドン、インドのムンバイ、オーストラリアのシドニー、韓国のソウル、シンガポール、スウェーデンのストックホルム、ドイツのフランクフルト、フランスのパリ、ブラジルのサンパウロ、香港、南アフリカのケープタウンに設置している。どのエッジもAmazon Web Servicesのリージョンで稼働している。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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