SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2025 セッションレポート

キャリアの選択肢は一つじゃない EMとテックリード、それぞれの歩き方

【13-B-4】エンジニアキャリア図鑑 ~エンジニアリングマネージャー VS テックリード~

 エンジニアとして経験を積む中で、「次はどんな役割を目指せばよいのか」と迷ったことはないだろうか。マネジメントに進むべきか、それとも技術を極める道か──その判断に迷う人にとってヒントとなるのが、少し先を行くロールモデルの存在だ。Developers Summit 2025の本セッションでは、株式会社カケハシの小田中育生氏をモデレーターに、ログラスのエンジニアリングマネージャー 塩谷知宏氏と、テックリード相当の活躍を見せる村本雄太氏が登壇。それぞれの役割にどう向き合ってきたかを語り合い、EM/テックリードというロールのリアルと、その先に描けるキャリアの可能性を浮かび上がらせた。

キャリアのロールモデルを見つけるために

 「5年後、どうなっていたいか」という問いに、即座に答えられるエンジニアはそう多くない。日々の開発に追われるなかで、自分の将来像を描くのは決して容易なことではないからだ。

 そんなときこそ、自分より少し先を歩くロールモデルの姿が、指針となる。本セッションは、現場の最前線で活躍するエンジニアたちのリアルな声を通じて、「EM(エンジニアリングマネージャー)」と「テックリード」という2つのロールの実態に迫るものだ。それぞれの立場から見える景色やキャリアの重ね方に触れることで、今後の進路に悩むエンジニアにとって、一つのヒントとなることを目指している。

 企画の起点は、株式会社カケハシの小田中育生氏と翔泳社が手がけるWeb連載「エンジニアキャリア図鑑」。今回のセッションでは、実際にそのテーマを引き継ぎ、異なる立場で開発組織を支える実践者同士による対話が繰り広げられた。

 モデレーターを務めた小田中氏は、ナビタイムジャパンでVPoE(Vice President of Engineering:開発組織全体を統括する技術部門の責任者)を担当し、現在はカケハシにて複数の開発チームを統括するEMとして活躍している。10年以上にわたってエンジニアのキャリアと向き合ってきた経験を背景に、「メンバーが自らのキャリアを自分の手でつかもうとする瞬間に立ち会うことに、深い喜びを感じている」という。

株式会社カケハシ SCM Domain Head of Engineering 小田中 育生氏
株式会社カケハシ SCM Domain Head of Engineering 小田中 育生氏

 1人目の登壇者は、株式会社ログラスの塩谷知宏氏。大学院修了後に外資系研究所の研究員としてキャリアをスタートさせ、社内異動を機にエンジニアに転身。その後、複数社で新規サービス立ち上げやプレイングマネージャーとしての経験を重ね、現在は「Loglass 人員計画」のEMとしてチームを牽引している。

株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 エンジニアリングマネージャー 塩谷 知宏氏
株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 エンジニアリングマネージャー 塩谷 知宏氏

 もう1人の登壇者は、同じくログラスの村本雄太氏。2021年に入社し、当時15人規模だった組織の成長を第一線で支えてきた。「Loglass 人員計画」の立ち上げ期からプロダクト開発を牽引し、現在はテックリード的な立場としてチームとプロダクトの両面をリードしている。前職ではインフラ管理やSREチームの立ち上げ、新規事業開発など多様な役割を経験し、そうした背景が現在の実践に生きている。

株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 エンジニア 村本 雄太氏
株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 エンジニア 村本 雄太氏

 セッション本編では、まず小田中氏が、EMとテックリードという2つのロールを現場の当事者はどのように捉えているのかを問いかけた。

 塩谷氏がマネジメントを担うのは、「Loglass 人員計画」の開発チームである。スクラム体制で日々の開発を進めつつ、EMとして、チームの枠を超えて組織全体への貢献を見据えた動きを意識しているという。目の前のコードだけでなく、その成果が事業価値につながるかどうかまでを俯瞰し、必要に応じて軌道修正を図っていく。「単なる進捗管理にとどまらず、組織全体との接続を設計していくことが、EMとしての重要な役割」だと語る。

 一方の村本氏は、「ログラスには明確なテックリードというロールは存在しない」と前置きしたうえで、自身が実際に担っている業務について紹介。毎週月曜朝の「OKRトラッキング」では、事業部長やプロダクトマネージャーと共に、進捗状況や顧客の課題について議論を重ねていると話す。そのなかで、技術的な観点から提案を行い、改善策を模索する役割も担っているといい、まさに、エンジニアリングと事業をつなぐ橋渡し的な動きを担っていると紹介した。

 両者の話を受け、小田中氏は「開発チームの中にいながら、他チームや事業側と連携して目標に向かう姿勢には、EMとテックリードに共通する部分がある」と指摘する。

 ここで塩谷氏は、EMとしてもうひとつ意識している視点として、「リアクティブ(問題が起きてから対応する)」だけでなく、「プロアクティブ(起こり得る課題を先回りして動く)」な姿勢の重要性を挙げた。1on1やスクラムイベントなどを通じて顕在化した課題に対応するだけでなく、まだ形になっていない兆しにも目を配り、早い段階で手を打つ。「もちろん予測が外れることもあるが、『動かない』という選択肢はない」というのが、氏のポリシーだ。

 この考えに、小田中氏も深くうなずく。「決まっていることはやれば済む。でも、決まっていないことに仮説を立てて動くのは難しい。だからこそ、そこにこそ価値があるし、面白さがある」。予定調和ではない未来に向けて、どこまで踏み込んで動けるか。その力が、ロールとしての真価を分けることになるのだ。

次のページ
ロールは「与えられるもの」ではなく「担いにいくもの」

この記事は参考になりましたか?

Developers Summit 2025 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

夏野 かおる(ナツノ カオル)

 博士。本業は研究者。副業で編集プロダクションを経営する。BtoB領域を中心に、多数の企業案件を手がける。専門はテクノロジー全般で、デザイン、サイバーセキュリティ、組織論、ドローンなどに強みを持つ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/21445 2026/01/15 08:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング