チェコJetBrainsは、同社が開発したプログラミング言語「Kotlin」の次期版となる「バージョン1.9.0」を7月6日(現地時間)に公開した。KotlinはJavaを基に、より簡潔にコードを記述できるようにすることと、より安全にプログラムを実行できることを目指して開発している言語。コードをコンパイルすると、Javaのバイトコードを出力し、そのままJava仮想マシンで動作させることが可能だ。そしてKotlinは、Apache 2.0ライセンスで公開しているオープンソース・ソフトウェアだ。
まず、新しいコンパイラ「K2」に新機能が加わった。K2コンパイラは、2022年6月に公開したバージョン1.7.0に合わせて登場したものだが、まだアルファ版という位置付けだ。2023年2月に登場したバージョン1.8.20のベータ版では、KotlinコードからJavaScriptコードを生成する「Kotlin/JS IRコンパイラ」バックエンドに対応している。
そのK2コンパイラが、今回のバージョン1.9.0からアルファ版からベータ版に格上げとなった。ベータ版のK2コンパイラはビルドシステム「Gradle」のプロジェクトでも使えるとしている。
そして、バージョン1.8.20のベータ版から加わった、KotlinコードからWebAssemblyファイルを生成する機能に改良が加わり、生成するWebAssemblyファイルのサイズが劇的に小さくなった。JetBrainsによる検証では、単純な「Hello World」プログラムからWebAssemblyファイルを生成してみたところ、前バージョンに比べてファイルサイズが10分の1にまで縮小したという。
さらにKotlinの開発チームは、KotlinとWebAssembly/JavaScriptの間で基本的な型に互換性を持たせると決めたとしている。Kotlinの開発チームは近いうちにJavaScriptの時代は終わると見ており、KotlinをWebAssemblyにおける標準的な言語にするために活動しているという。今回の決定は、その目標に沿ったものと言える。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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