シビックテックが拓くエンジニアの新たなキャリアとは?──技術で社会に貢献する、シビックテックガイド
社会とのつながりを通して、エンジニアのキャリアを拓く──シビックテックのススメ 第1回
シビックテックとは? 「ともに考え、ともにつくる社会」を実現するために
シビックテックとは、技術を活用して公共の利益や市民の生活の向上を目指す動きのことを指します。これは、デジタル技術やITを駆使して、市民参加を促進し、公共サービスを改善し、政府の透明性を高めることを目標にしています。
Code for Japan はシビックテックを推進する活動をしていますが、「ともに考え、ともにつくる社会」というビジョンの実現のために活動しています。
シビックテックの主な目的と機能
1. 市民参加の促進
シビックテックは、市民が政治的なプロセスや地域社会の意思決定に簡単に参加できるようにすることを目指します。オンラインデータや市民参加型プロジェクトを通じて、住民がともにあるべき地域について考え、議論し、解決策をつくっていく機会を増やします。
2. 公共サービスの改善
デジタルツールやデータ分析を活用して、公共サービスの効率とアクセシビリティを高めることが目標です。子育てや防災、公共交通、まちづくりなど対象はさまざまです。オープンデータを活用したアプリを作ったり、自分たちでデータを作ったり、まちづくりのための活動を地域の人たちと行いもします。アイデアソンやハッカソンなどを積極的に行う自治体もあります。
3. 行政の透明性の強化
シビックテックは、行政のデータをオープンにし、情報の共有と透明性を促進することにも重点を置いています。これにより、市民は政府の意思決定プロセスや財政管理をよりよく理解し、監視することが可能になります。市の予算や決算のデータを見える化したり、最近だと議会の議事録をAIで分析したりといった活動も行われています。
代表的な3つの目的を上げましたが、シビックテックの活動は多様で、ここで紹介しただけではありません。行政ではなく企業やNPOとともに地域や社会の課題を解決するプロジェクトもありますが、市民が主体の活動であることが重要なポイントとなります。
シビックテックのプロジェクトの特徴
オープンソース開発
シビックテックの活動の中で、エンジニアにとって重要なのがオープンソースプロジェクトへの参加です。オープンソースとは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に使用、改変、共有できるソフトウェアのことです。この取り組みは、世界中の開発者が協力して技術的な挑戦に取り組むプラットフォームを提供し、新たなイノベーションの促進に寄与します。Code for Japan でも、海外のオープンソースソフトウェアを日本語化して提供したり、自分たちが作ったソフトウェアをオープンソースで公開したりしています。
東京都の委託を受けCode for Japanが開発した「新型コロナウイルス感染症対策サイト」
本サイトのソースコードは、オープンソースとして公開されている。
オープンソースプロジェクトへの参加は、エンジニアにとって多くの利点をもたらします。一つには、これらのプロジェクトは、技術的なスキルだけでなく、新しい技術やプログラミング言語を学ぶための実践的な機会を提供します。また、オープンソースソフトウェアのアクセシビリティと透明性は、特に財政的な制約がある地域や団体にとって重要なリソースとなり、政府や組織の信頼性を高める要因となり得ます。
最終的に、オープンソースはエンジニアが自身の技術スキルを社会とつなげるための強力な手段となります。これは技術的な知識の共有に留まらず、社会的な課題への意識を高め、実際の解決策の提案に貢献します。オープンソースの精神は、イノベーション、協力、共有の重要性を強調し、より良い社会の実現に向けた一歩となり得るのです。
オープンデータ
シビックテックの世界では、オープンデータの重要性が急速に高まっています。オープンデータとは、誰でも自由にアクセスし、利用し、共有することができるデータのことです。このようなデータの開放は、透明性を高め、市民参加を促進し、イノベーションの創出に不可欠です。自治体や民間が機械判読可能な形で共有しているデータを活用して、情報共有や解決策提示を行います。
オープンデータの提供は、政府や公共機関による情報の透明化を促進します。これにより、市民は政府の活動や政策に関する詳細な情報にアクセスできるようになり、より情報に基づいた意思決定が可能になります。例えば、政府予算の使用方法、交通の流れ、環境データなど、さまざまな公共データがオープンにされることで、市民は自分たちのコミュニティにおける重要な問題についてより深く理解し、関与することができます。
また、オープンデータは、新しいビジネス機会やソーシャルイノベーションを生み出す可能性を秘めています。開発者や起業家は、これらのデータを利用して新しいサービスやアプリケーションを開発することができます。例えば、子育てに関する情報へのアクセシビリティ向上や、交通データを用いたナビゲーションシステムの改善、環境データを活用した持続可能な都市計画の策定など、多くの分野での応用が可能です。
オープンデータの重要性は、単に情報のアクセス性を高めることに留まらず、社会全体の透明性を向上させ、市民がより積極的に公共政策に関与することを促すものです。また、技術革新や社会的な問題解決に向けた新たな道を開くことで、より良い未来の実現に寄与します。
プロトタイピング
シビックテックでは災害時や緊急時など、短期間で形にして試運用してみるというシーンは少なくありません。また、緊急を要しない場合だったとしても「まずつくってみる」ことで、コンセプトやメリットを示しやすくなり、賛同者や協力者が集まりやすいようにしてプロジェクトを持続可能な形へと進めていくこともあります。そのため、実働するモデル(プロトタイプ)をつくって、ユーザーや関係者からフィードバックを集め、プロダクト開発のサイクルを細かく回す手法との相性が良いことが多いです。
また、プロトタイプ開発はハッカソンやアクセラレーションとも親和性が高いです。アイデアソンやハッカソンで生まれたアイデアを「もう少しきちんと実装するところまで完成させたい」となった際、Code for Japanが毎月開催しているプロジェクト持ち込み型のハッカソン「Social Hack Day」や台湾・韓国・日本で合同開催している「Facing the Ocean」などのイベントがその受け皿になったり、自治体や企業が開催しているハッカソンやプログラムに持ち込んでチャレンジしたりするケースも見受けられます。
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- この記事の著者
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関 治之(Hal)(セキ ハルユキ)
一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事。「テクノロジーで、地域をより住みやすく」をモットーに、会社の枠を超えて様々なコミュニティで積極的に活動する。住民や行政、企業が共創しながらより良い社会を作るための技術「シビックテック」を日本で推進している他、オープンソースGISを使ったシステム開発企業、...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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武貞 真未(mamisada)(タケサダ マミ)
医療福祉領域のITベンチャーにて地域連携コーディネーター、新規事業開発室、CTO室、人材開発部、広報部などに従事。2018年からCode for Japanのコミュニティづくりに参加し、2020年に入社。コミュニティ活動や学生向けのプロトタイプ開発プログラム、海外連携での台湾・韓国などとの合同ハッカ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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