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FlexやAdobe AIRにみる今後のRIAの可能性

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2007/11/14 19:30

目次

Flexの活用事例

代表例としてオンラインワープロの「Buzzword」がありますが、また今後、ワープロ以外の展開も考えているのでしょうか?

 アメリカで開催したAdobe MAXでファイル共有サービスの「SHARE beta」を発表しましたが、ここでは開発者だけでなく誰もがWordやExcel、PDFなどのファイルをアップロードして、インターネット上で保管できます。今回、この延長上として「Buzzword」を展開させていただきましたが、Buzzwordの一番の有効性は、オンラインでもオフラインでも編集できるという点なんです。

 長期的な戦略としては、我々がドキュメントをどのように取り組んでいくかという方針はあるにはあるのですが、おいおい発表させていただく予定です。

Buzzword
Buzzword

FlexとAdobe AIRのエンタープライズ用途での展開は?

 企業は、よりサービス指向化してきていると思います。それは、どういったソフトウェアを配置・展開していくかという戦略でもいえるし、構築したAPIをどう事業で活用するのかなどについても、その傾向が非常に高くなってきていると感じます。

 そのような状況でFlexの技術を使っていただくことで、企業はこれらのサービスを有効に使い倒していただけると思います。負荷分散された環境の中で、サービスを一箇所に束ねることでサービス間の対話をスムーズに行うことが可能になります。

 また同時に、ベクターグラフィックスの表現力と、リアルタイムデータの処理能力は、企業側にとって大変堅牢な土台になるので、今までブラウザではできなかったこと、ありえなかったことがFlexで可能になります。

 また、Salesforce.comの「Flex Toolkit for Apex」などでも、ApexのAPIとFlexが深いところで結びつけられるようになっていますので、これがFlexの大きな成功を担う展開になっていることは確実だと考えています。

開発環境について

新しいRIAデザインツールの「Thermo」(サーモ)についてお聞かせください

 Thermoですが、今まで多くの開発者が、デザイナーが作ったアートをAPI化することに大変苦慮されていることが分かっていました。

 Thermoの考え方は基本的にFlexベースになっています。ですから作られたアート、いうならばUIですが、それを実際のワーキングセットの中に変換して持ち込むことができ、そのままアプリケーション化することができるので、開発者とデザイナーの橋渡しをする製品とご理解いただくとよいと思います。

Thermo
Thermo

ちょうどマイクロソフト社のExpressionみたいな立場でしょうか

 ワークフローは似ていますが、目指すところは大変異なっています。

 我々は、今日までこのジャンルのベストツールと呼ばれる数々の製品群を持ち合わせています。特にRIAにおいては、今後も一位の地位を確保し続けなくてはならないでしょう。その中で、Thermoをリリースする理由は、先ほど申し上げたようにギャップを橋渡しして、シームレスに作業できるようにするためのワークフローの取り組みであったわけです。

 一番大きな違いは、我々が新たなパラダイムを提供するということではなく、既に制作されているアートやファイルフォーマットをそのまま変形させてRIAにもっていくことを可能にする、といった点です。既存のものを十分活用いただけるという部分が、取り組みにおいてまったく異なります。

 現在、Flexを使って高品質のデザイン作業を行うのは大変難しく、さらに開発者にとっても実装が困難な状況にあると思いますが、今後Thermoを使っていただくことで、高品質のものを数多く作っていただけるようになることでしょう。

 そういった意味では、アプリケーションの充実度、普及率も、これにより今ある一つの制限を突破できるのではないかと考えています。というのもFlexは、Flashという今日のブラウザの95%でダウンロードせずにそのまま使えるという大きなベースがあるからです。

 また、Adobe AIRでは互換性を保ちながら、Windows、Mac OS、Linuxの3つのOS上で展開していきますので、これだけ幅広い展開はマイクロソフト社のWPF/Silverlightでは到達できないのではないでしょうか。我々は、Webとデスクトップの両方を照準として定めていますので。

Flex Builderで作れる対象は幅広いですが、今後名称がAdobe Builderなどになる可能性はありますか?

 (首を横に振って)そういう計画はありません。

 重要なのは、Flex BuilderがEclipse上で作られている、ということです。Adobeでは、3つのEclipseベースの開発環境をサポートしています。ルーマニア発のJSEclipseLiveCycle Designer、そしてFlex Builderです。

 そういった意味では、Eclipseをベースにしたエコ環境が作られているので、独自のものを単発で手掛けるよりも、エコ環境のなかでこれらをうまく回していくことを考えています。

競合技術について

MozillaのPrismについては?

 若干混乱を招いているのではないか、と考えています。というのも、現在のPrismは現行のアプリケーションをうまくラッピングして、そのカスタムクローンという形で展開できるようになっているものだと思います。

 逆にAdobe AIRは、Webの技術でネイティブなデスクトップアプリケーションをデザインできるので、実はその意図するところは大きな開きがあるのではないかと考えています。Adobe AIRはネイティブなデスクトップアプリケーション、なんです。

日本市場について

最後に、日本初開催のAdobe MAX Japanの印象は?

 大変個人的ですが東京が大好きというのと、やはり開発者向けカンファレンスということで、Adobeのツールを主体とした、日本市場向けのこのような大きな会議を開催させていただいたということは、大変エキサイティングなことだと感じています。

 日本の市場性を鑑みると、やはり毎年このレベルのカンファレンスは、Adobeとしても十分やっていかないといけないと考えています。



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著者プロフィール

  • 斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

    メディア編集部 メディア1(CodeZine/EdTechZine/ProductZine)編集統括 兼 EdTechZine/ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開...

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