7年目の岐路──忙しさの壁を越え、能動的キャリアへ転換
佐々木氏は札幌在住、全国各地の顧客を対象に各種ソリューションを提供するソフトウェア&サービスカンパニー、NECソリューションイノベータに勤務する。現在は、ビジネスプロデューサーとしてAWSを中心としたシステム導入やアーキテクチャの検討、改善などに主業務として取り組んでいる。
NECソリューションイノベータは、NECグループの社会価値創造をICTで担う中核会社だ。1万人を超えるシステムエンジニア・ソフトウェア技術者を擁し、技術者の力を発揮することで顧客価値を高める「バリュープロバイダ」を標榜する。
バリュープロバイダを実現するため、同社では人材育成に力を入れている。佐々木氏も活用した専門職のキャリア形成の推進を行う「高度専門職制度」や、社員が自身の意思で所属・部署の変更にチャレンジできる「ジョブチャレンジ制度」など、自立的なキャリア形成の環境づくりが強みだ。また、Udemy Businessなどオンデマンド学習やリモートワークも積極的に導入しており、場所を問わず学び・仕事をすることが可能となっている。
近年は、旅行先で仕事をするワーケーション勤務も実施しており、海外研修も積極的に推進されている。佐々木氏も2023年11月に、AWSが主催する世界最大の学習型グローバルカンファレンス「AWS re:Invent」に参加した。5日間で2000以上のテクニカルなセッションが開催される大規模なイベントで、革新的な発表が行われるキーノートの他、さまざまなアプリケーションを作成するワークショップ、その場に集まった人と共に課題を解決するゲームやジャムなども実施された。
人材への投資を積極的に行っている同社だけに、佐々木氏は恵まれた環境にあるといえるだろう。しかし、どんな環境下でも“自立的なキャリア”を実現するためには、自らの意思決定が重要なカギを握る。佐々木氏もまた自らの意思で現在までのキャリアを選び取ってきた。特にクラウドとの出会いは大きなターニングポイントだったという。
佐々木氏は、学生時代から地元北海道のIT企業への就職を希望し、NECソリューションイノベータの前身である北海道日本電気ソフトウェアに新卒入社。首都圏の交通インフラや金融、通信などの大型案件に携わってきた。目の前の仕事をこなすことに忙殺されて7年が経った頃、「自分は何をしたかったのか」と考え始めたのがスキルチェンジのきっかけだった。佐々木氏は就職してからの自身の状態を感情曲線で紹介し、入社当初は受動的に仕事をしてきたものの、7年目ごろから能動的に自身のキャリアについて考えられるようになってきたという。
「日々スケジュールとプレッシャーに追われ、徐々に気持ち的に追い込まれていたが、『自分がこれがしたいのだ』と考えるようになってからは結構楽しくキャリアを歩んできたのではないか」と佐々木氏は振り返る。そして、「キャリアで悩んだ時には原点に立ち戻ることで、もう一度『何をすべきか』を自分自身に問い直せるのではないか」と語った。