はじめに
第1回では、エンジニアがコミュニティに貢献するシビックテックやガブテックの概要について、お伝えさせていただきました。第2回では更に踏み込んで、コミュニティ内でのプロジェクト事例やイベント、実際にプロジェクトを進めるプロセスについて紹介させていただきます。
シビックテックというと、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症対策に関わるプロジェクトが取り上げられることが多いため、防災・災害、緊急対応ボランティアのイメージが強いかもしれません。しかし実は、普段から地域に根ざした活動や社会課題をテーマにしたプロジェクトに取り組んでいます。
環境問題から美味しい日本酒探しまで! シビックテックの幅広いプロジェクトとは?
NFTを活用したコミュニティトークン:MintRally
元々は後述のプロジェクト持ち寄り型開発イベント「ソーシャルハックデー」に参加しているコントリビュータ向けにトークンを発行しよう! というアイデアから始まったプロジェクトです。イベント参加者のインセンティブとしてNFTを発行することで、複数回参加している人やコミット度の高い人に対して特別なプレゼントをしたり、貢献度の証明をしたりすることができるようになります。現在は開発イベントだけでなく、シビックテックの国内最大級イベントである「Code for Japan Summit」や行政デジタル改革共創会議「デッカイギ」など、さまざまなイベントで活用されています。
カーボンフットプリント可視化アプリ:じぶんごとプラネット
国立環境研究所との共同開発プロジェクトです。市民ひとりひとりが自らの生活スタイルとカーボンフットプリント(モノやサービスの消費によって直接・間接的に生じる温室効果ガス排出量)との関係を知り、定量的な診断結果に基づいて具体的な脱炭素アクションを選ぶことができるカーボンフットプリント可視化プラットフォームとして、独自の計算アルゴリズムを用いてOSS開発に取り組んでいます。第一弾としてリリースされたアプリでは、移動・住居・食・モノとサービスに関する約10個の簡単な質問に答えることで、誰でも無料で自分の生活スタイルから生じるカーボンフットプリントと自分に合った脱炭素アクションを知ることができます。
酒蔵データ:Code for SAKE「Sakepedia」
地方に点在する小さな酒蔵の酵母が絶滅の危機に瀕しており、それについてパネルトークをしたことから始まったプロジェクトです。Code for Japan Summit 2018の開催地が新潟だったので、スタートアップで酒蔵や酵母について研究していた三宅さん、Code for Aizuに参加していて日本酒に詳しい前田さん、酒粕を使った商品開発に携わったことがある著者の武貞の3名で企画を出しました。現在は、Code for YOKOHAMAの前川さんがキャプテンとしてプロジェクトをリードしています。
LODチャレンジ2016で発表された日本酒の銘柄・テイスティング結果を登録できるアプリケーションを元に、開発者の方々から了承を得て機能を追加し、現在の「Nuxst版Sakepedia」を作成しました。ユーザーは酒蔵・銘柄・日本酒名のデータを更新、追加するだけでなく、酒蔵近隣の温泉情報や、オススメのマリアージュ・フードペアリングも投稿できます。