SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

ComponentZine(ComponentOne)byメシウス(AD)

【ComponentOne Data Services活用術】CSVデータを表示、更新してみよう

.NET対応のクラウドデータ連携ライブラリセット「ComponentOne Data Services」活用術 第2回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コンソールアプリにCRUD機能を実装

 CSVファイルへの接続確認ができたところで、アプリにCRUD(Create、Read、Update、Delete)機能を実装していきましょう。ここでは、DataAdapter(C1CSVDataAdapter)を使った例を紹介します。DataReader(C1CSVDataReader)を使った例は配布サンプルを参照してください。

 また、ここでは全データ出力のIndex関数と、新規データ登録のCreate関数、データ削除のDelete関数を紹介します。個別行出力のRead関数、データ更新のUpdate関数については、こちらも配布サンプルを参照してください。

作成するアプリの説明

 CRUDの操作は、コマンドラインで指示します。アプリのコマンドライン書式は以下の通りとします。

program [ [C|R|U|D] パラメータ]

 1番目のパラメータで、CRUDの区別を指定します。省略時はインデックス(全データ)出力とします。パラメータには、CRUDごとに必要なデータを記述します。

  • C:新規データをCSV形式で(No列は自動決定されるので省略可)
  • R:対象のNo
  • U:更新データをCSV形式で(No列に一致する行が置き換えられる)
  • D:対象のNo

全データ出力を実装してみる(Index)

 ここから、C1CSVDataAdapterを使ってクエリを実装していきます。C1CSVDataAdapterはC1.AdoNet.CSV名前空間にあるので、パッケージの追加は不要です。まずは、一覧表示のためのindex関数です。なお、以降で紹介する関数はコマンドラインパラメータによって振り分けて呼び出されますが、仕分け部分のコードは本記事の主旨とは関係が薄いので、掲載を割愛します。内容は配布サンプルを参照してください。

Program.cs
void index(C1CSVConnection conn)
{
    var adapter = new C1CSVDataAdapter();		(1)
    adapter.SelectCommand = new C1CSVCommand(conn);		(2)
    adapter.SelectCommand.CommandText = "SELECT * FROM customer";
    var dataTable = new DataTable();	(3)
    adapter.Fill(dataTable);
    ShowDataTable(dataTable);	(4)
}

 これは、DataAdapterを使う場合の典型的なコードとなっています。CRUDそれぞれの関数でもほぼ同様の展開となります。(1)は、DataAdapterであるC1CSVDataAdapterのインスタンスを生成しています。(2)からは、DataAdapterのSelectCommandプロパティで選択コマンドを生成、設定しています。この場合は全行選択のSQL文となっています。(3)からは、DataTableを生成してFillメソッドでクエリ結果を読み込んでいます。これをもとに、(4)でスキーマ情報と同様に全行を出力しています。プログラムをビルド、引数なしで実行してみて、図3のように全データが出力されることを確認してください。

図3:コンソールアプリでの全データ出力
図3:コンソールアプリでの全データ出力

新規データ登録(Create)を実装してみる

 続いて、新規データ登録のCreate関数を紹介します。

Program.cs
void Create(C1CSVConnection conn, string record)
{
    int no = 1;					(1)
    var cmd = conn.CreateCommand();
    cmd.CommandText = "SELECT Max([No]) FROM customer";
    var obj = cmd.ExecuteScalar();
    if (obj != null)
    {
        no = Convert.ToInt32(obj);
        no++;
    }
    string[] fields = record.Split(',');	(2)
    var adapter = new C1CSVDataAdapter(conn, "SELECT * FROM customer");	(3)
    var dataTable = new DataTable();
    adapter.Fill(dataTable);
    adapter.InsertCommand = new C1CSVCommand(conn);	(4)
    adapter.InsertCommand.CommandText = "INSERT INTO customer([No],[氏名],[氏名(ひらがな)],[メールアドレス],[電話番号],[郵便番号],[住所],[会社名]) VALUES(@No,@Name,@Kana,@Email,@Tel,@Zip,@Address,@Company)";
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@No", "No");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Name", "氏名");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Kana", "氏名(ひらがな)");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Email", "メールアドレス");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Tel", "電話番号");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Zip", "郵便番号");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Address", "住所");
    adapter.InsertCommand.Parameters.Add("@Company", "会社名");
    var customerRow = dataTable.NewRow();	(5)
    customerRow["No"] = no;
    customerRow["氏名"] = fields[1];
    customerRow["氏名(ひらがな)"] = fields[2];
    customerRow["メールアドレス"] = fields[3];
    customerRow["電話番号"] = fields[4];
    customerRow["郵便番号"] = fields[5];
    customerRow["住所"] = fields[6];
    customerRow["会社名"] = fields[7];
    dataTable.Rows.Add(customerRow);
    if (adapter.Update(dataTable) < 0)		(6)
    {
        Console.WriteLine("作成でエラーが発生しました。");
    }
}

 やや複雑に見えますが、基本的な構造はIndex関数と同じです。

 (1)からは、挿入する行のNo列の値を求めています。具体的には、SQLのMax関数を使用して、No列の最大値を+1して求めています。(2)では、関数引数に与えられた登録データ(CSV)を分割して、文字列の配列を取得しています。(3)はIndex関数と同様で、全行をDataTableに取り込んでいます。(4)からは、挿入コマンドを生成しています。SQLのINSERT文を生成した後、パラメータをParameters.Addメソッドで追加しています。

 (5)からは、DataTableに新しい行を追加し、各列に(2)で作成した文字列を割り当てています。これで、追加する行が完成するので、最後にRows.AddメソッドでDataTableに追加します。(6)のUpdateメソッドで、DataTableへの追加をデータソース(CSVファイル)に反映します。戻り値が負の場合はエラーメッセージを出力しています。アプリをビルドして、コマンドラインパラメータを例えば以下のように指定して実行し、CSVファイルを確認するか全データ出力を試してみて、新しい行が追加されていればCreate関数は正しく動作しています。

c ",NewName,NewKana,NewMail,NewTel,NewZip,NewAddress,NewCompany"

データ削除(Delete)を実装してみる

 最後に、データ削除のDelete関数を紹介します。

Program.cs
void Delete(C1CSVConnection conn, long sno)
{
    var adapter = new C1CSVDataAdapter(conn, $"SELECT * FROM customer WHERE [No] = {sno}");	(1)
    var dataTable = new DataTable();
    adapter.Fill(dataTable);
    adapter.DeleteCommand = new C1CSVCommand(conn);	(2)
    adapter.DeleteCommand.CommandText = "DELETE FROM customer WHERE [No] = @no";
    adapter.DeleteCommand.Parameters.Add("@no", "No");
    var customerRow = dataTable.Rows[0];	(3)
    customerRow.Delete();
    if (adapter.Update(dataTable) < 0)		(4)
    {
        Console.WriteLine("削除でエラーが発生しました。");
    }
}

 こちらも、基本的な構造はIndex関数、Create関数と同じです。(1)では、削除対象の行をDataTableに取り込んでいます。Index関数、Create関数と異なり、処理対象の行を特定するときの記述となります(Read関数、Update関数でも同様です)。(2)からは、削除コマンドを生成しています。SQLのDELETE文を生成した後、パラメータをParameters.Addメソッドで追加しています。

 (3)からは、DataTableから0番目の行(すなわち削除対象の行)を削除しています。2行に分けていますが、dataTable.Rows[0].Delete()としても同様です。(4)のUpdateメソッドで、DataTableでの削除をデータソース(CSVファイル)に反映します。戻り値が負数の場合はエラーメッセージを出力しています。アプリをビルドして、コマンドラインパラメータを例えば以下のように指定して実行し、CSVファイルを確認するか全データ出力を試してみて、No=20である行が削除されていればDelete関数は正しく動作しています。

d 20

まとめ

 今回は、CSVデータをComponentOne Data Servicesを使って操作する事例を紹介しました。従来のADO.NETにおける手順とほとんど変わらず、静的なデータを利用できることをお伝えできたのではないかと思います。

 次回は、このアプリを一括処理に対応させて、Data Servicesが大量のデータの処理にも対応できることを紹介します。また、Entity Framework連携によるモデル指向のデータ操作を、Windows Formsアプリを作成する事例を通じて紹介します。

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:メシウス株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/19104 2024/04/04 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング