STEAMインフルエンサーの舞台裏──「遊びは最高の学び」と伝える発信活動のモチベーションとは
──若葉さんは個人でも、STEAMを広めるためにSNSなどの活動を広く行われています。それらの活動へのモチベーションについて教えてください。
若葉さん:私は高校まで文系で、大学に入学するまでは数学や物理にあまり触れていませんでした。それでも、材木屋をしていた祖父の影響もあり、工作が好きでものづくりを学べる大学を選択したら、工学や力学の授業で苦労してしまって......。そんな時、こども未来研究所が主催するSTEAMのワークショップにスタッフとして参加する機会があり、「遊びは最高の学び」というテーマに強く共感しました。
もともと自分の将来に役立つことを学びたいという気持ちが強かったので、理想を実現するための手段として数学や理科を学ぶSTEAMの考え方に感動したんです。私は高校で三角関数を学んだ時、「こんなこと一生使わないだろう」と興味を失ってしまいました。しかし、最近SNSのライブ配信でスタンプを押したときにハートが画面上を動く仕組みは、三角関数がもとになって作られていると知って、こんな風に学びが役立つ場面を意識できていたらもっと楽しく勉強できたのにと思います。
数学や理科の知識をただ学ぶだけで終わらず、それを課題解決の手段にまで昇華させる。STEAMのこの側面を広く社会に伝え、自分と同じように考えている子どもたちに新しい学び方を提案したいというのが、私のモチベーションです。
──今後やってみたい活動はありますか?
若葉さん:社会で働いている地域の大人と、子どもたちをつなぐ活動に興味があり、小学校の放課後の活動として行っています。例えば、プログラミングを仕事にされているエンジニアの方に学校に来てもらって、子どもたちと問題解決のワークショップをしたり、一緒に遊んだりする活動です。
最近の活動としては、子どもの「体を動かして遊ぶゲームがしたい」という発想から、IT企業の社長さんと、ビデオゲームに登場する「はてなボックス」を現実に作りました。ボックスに力を加えると、ランダムにアイテムや指令が出てくるので、その命令に従って体を動かして遊びます。このような「はてなボックス」の製作にもプログラミングが必要不可欠です。そのためこの活動では、プログラマーと小学生をZoomでつないで話し合い、必要な技術を教えていただきました。
プログラミングだけでなく、苦手な食べ物を克服できるようなパフェを作りたいというアイデアを持った子には、料理の専門学校の先生と連携して、味の組み合わせについてお話ししていただく機会も作りました。子どもたちの興味や関心に合わせて社会の大人たちとネットワークを構築し、親や先生以外の人と話す機会を提供したいです。このような活動を続けることで、子どもたちの世界が広がることを願っています。