DXにおいて、研修を内製化するメリットとは
──自社でデジタル人財を育成する秘訣、また重視しているポイントがあれば教えてください。
当社が初めてデジタル人財育成のための研修を立ち上げたのは2017年頃。ちょうど私が今の部署の前身となる部署に異動してきたとき。先述したように私も異動してきて初めて、データサイエンスに触れました。その私がデータサイエンスの研修を作ることになったわけです。当時は分析の技術が学べる研修はたくさんありましたが、それをどうビジネスに生かせば良いのかという説明はあまりありませんでした。そこでデータサイエンスやデータ活用をどう自分たちのビジネスに生かせばよいのか、社内のDX推進を通じて得られた知見や失敗例などをテキストに落とし込んでいくことにしたのです。
また講師も私たちが務めるので、生の声をダイレクトに伝えることができる。それが良かったのだと思います。
初級研修の受講者から「初めてデータ分析したんですけど、面白かったので、職場に戻ってからもずっとやっています」などの声をいただくこともあります。非常にやりがいを感じます。
中級の研修を受講した方の中には、データサイエンスにはまり、最終的には私たちの部署に異動してきた方もいます。
もちろん研修内容をすべて内製しているわけではありません。外にお願いできる部分はお願いしつつ、自分たちのビジネスにどう生かしていくかなど、核となる部分を自分たちでつくることが大事なのではないでしょうか。
製造業をベースとしたDXの強みはリアルがあること
──製造業におけるDXについて、ブリヂストンが考える将来像を教えてください。
ブリヂストンとしては、掲げているビジョンを実現するためにDX推進は不可欠です。ブリヂストンのDXは大きく2軸で展開しています。一つは「DX for Bridgestone」、ブリヂストンの業務を変革するためのDX推進です。もう一つの軸はDX for Society & Customer」。つまりお客さまや社会に向けて価値を提供するためのDX推進です。この2軸のDXを推進していく支援を行っています。
今もまだ、どこかバズワード感のあるDXですが、それが当たり前という、そんな未来が近いうちに来るはずです。
そんな未来においても、私たち製造業にとってベースになるのはものづくりへのこだわり。そういうリアルにデジタルをうまく掛け合わせることが、日本の製造業を強くし、さらに発展させていくのだと思います。