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Developers CAREER Boost 2024 セッションレポート(AD)

AI時代を生き残るためのキャリア戦略、フリーランスエンジニアという選択肢

【B-3】わたしのキャリア形成について「フリーランスという選択肢」

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 ITエンジニア専門エージェントとして35年以上にわたり、多くのエンジニアの働く悩みに寄り添ってきた株式会社 PE-BANK。2024年12月7日に開催した「Developers CAREER Boost 2024」では、同社と親交の深いフリージャーナリストの佐々木俊尚氏を迎え、3名の現役フリーランスエンジニアとともに、これからのエンジニア人生について考えるトークセッションを行った。AI時代に挑むフリーランスエンジニアのリアルに迫る。

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急激な仕事の変化に対応するITエンジニア

 冒頭で、佐々木氏は「エンジニアの仕事は、この25年間で急激に変化してきた」と振り返る。

 佐々木氏がIT業界の取材を始めた2000年頃のエンジニアの仕事といえば、なんとなくシステムの保守・運用をしていれば良いという色が強かった。しかし、今やシステムは経営戦略上、重要な事業の核として据えられるようになっている。それに伴い、エンジニアの仕事も上流へ近づき、受け身でするものではなく「仕掛けるもの」へと変わってきているのだ。

 「この急激な変化にいかに追いつき、制するのか。エンジニアのみなさんが格闘してきたのではないか」(佐々木氏)

佐々木 俊尚氏
佐々木 俊尚氏

 今回登壇した、現役フリーランスエンジニア3名の簡単なプロフィールと、なぜフリーランスという働き方を選んだのか、紹介しておこう。

 一人目は、エルコリ・ミケーレ氏。イタリア出身でフリーランス歴5年のWebエンジニアだ。エルコリ氏は来日当初、正社員のエンジニアとして勤務していたが「会社のルールに縛られずに自分で稼ぎたい」「エンジニアとして早く成長するために、自分が学ぶスキルを選びたい」といった想いから、すぐにフリーランスへ切り替えたそうだ。

 二人目は、フリーランス歴20年でPMOとして働く藤木美文氏。海外旅行好きが高じて、時間と報酬を自分でコントロールできるフリーランスの道を選んだ。フリーランスは、自分の仕事の価値が報酬に反映される明確さがあり、モチベーションが高まる点も気に入っている。

 三人目は、フリーランス歴20年のソフトウェアエンジニアであるプロエンジニア[1] K氏(以下、K氏)。学生時代からフリーランスエンジニアとして働いていた。「やりたいことができれば契約形態はさほど関係ないと感じている」というK氏だが、「“自分の市場価値=報酬”となるフリーランスの方が、正社員に比べてプロ意識を持ちやすいのではないか」と語った。

[1] プロエンジニアとは、PE-BANKが定めた基準をクリアし、個人事業主としての意識と責任を有するプロフェッショナル人材のこと

フリーランスが抱える悩み、どう乗り越えるべきか

 続いて、話題は「フリーランスで働く中でぶつかった壁をどのように乗り越えてきたか」に移った。

 イタリアから来日したエルコリ氏は、当初、日本語でのIT用語がわからず、苦労したという。「相手が何を言っているのか理解できなくてつらかったのですが、とにかく前向きな姿勢は忘れずに、これはどういう意味ですか?と都度質問したり、先輩に相談したりして乗り越えました。ひとりで抱え込まないことが大切だと思います」。

エルコリ・ミケーレ氏
エルコリ・ミケーレ氏

 この話を受け、藤木氏も「聞く」という行動に移す重要性を説いた。「友達に聞く、先輩に聞く、同業者に聞く。今ならAIに聞いても良い。自分が悩んでいるときは視野が狭くなって、あの人に聞いても、本当にわかるかな?などと疑心暗鬼になりがちだが、あなたより上の立場の人なら、間違いなくあなたよりも多くの引き出しを持っているはず。ぜひ臆せず行動に移してもらいたい」。

 とはいえ、忙しい相手に対して、闇雲に質問をしていいわけではない。相手の表情をうかがい、時間を取ってもらえそうなときを見計らって伺いを立てるほか、教えてもらったことはメモに残し、同じ質問を繰り返さないようにするなど、自分なりの誠意を見せることが肝要だ。

 続くK氏は、2人とは少し違った角度から回答した。「自分の捉え方次第で、あらゆる困難が壁になってしまう。だが、見えない恐怖心によって壁のように感じているだけで、深く知ってみたら、実は壁ではなかったことが、往々にしてあるのではないか。壁と親しくなる努力も必要なのでは」と見解を述べた。

 これを聞いた佐々木氏は、「昨今の働き方改革によって、IT業界でもホワイト化が著しいと言われている。ホワイト化し過ぎて、若手社員から、物足りないとの声が上がっているというアンケート結果もあるほどだ。成長のためには、ある程度、圧がかかった方が良いのだろうか」と投げかけると、K氏は次のように述べた。「それは間違いない。ただ歩いているだけでクリアできるゲームなんて、何も面白くない。ある程度の困難さが、やりがいにつながるはずだ」。

AI時代のエンジニアの生き残り戦略

 昨今、AIの隆盛により、エンジニアの行く末を案じる声がある一方、エンジニアがカバーする領域は、猛烈な勢いで広がっている事実もある。このような両極の話が進む世界を、これからのエンジニアは、どのように渡り歩いていけば良いのだろう。3名からのメッセージを、それぞれ紹介する。

 「いろいろな働き方がある中で、キャリアの選択肢のひとつとしてフリーランスがある。最初は少し怖いかもしれないが、どうにかなる。ひとりで悩まずに、私も含め、フリーランスの先輩方に相談してもらえたら」(エルコリ氏)

 「フリーランスになっても、自分に合っていないと感じたり、家庭を持って安定が欲しくなったりしたら、再び会社勤めに戻ることはできる。私の周りにも、そういうエンジニアは少なくない。たとえ今の環境がつらくても、市場や領域を変えれば、誰にでも輝ける場所がどこかにあるはず。いろいろな方向にアンテナを張って、自分に合った場所を見つけてもらいたい」(藤木氏)

藤木 美文氏
藤木 美文氏

 「僕がフリーランスになった2000年代初頭の混迷期に比べると、今はエンジニアにとって本当に良い時代。どの企業もエンジニア不足で、仕事も働き方も選びたい放題だ。きっと今なら、どんな業界のどんな職種にも就けるはず。勇気を出して、ドアを叩いてみてほしい」(K氏)

 最後に、佐々木氏は、エンジニア採用にまつわる友人のエピソードを引用しながら、今後のエンジニアの在り方について、次のように述べた。

 「EC企業に勤める友人によると、Webディレクターを募集したらたくさん応募が来るけれど、アプリディレクターで募集をしたら全然応募が来なくて困っているそうだ。アプリディレクターという新しい仕事に対する人材マーケットが存在しないのだろう。加えてこの先、AIがどんなに進化しても、“課題の設定”は人間の仕事として残り続けるという話をAIの研究者から聞いた。AIに課題解決をさせるために、どんな課題を設定するのか。それを決めて、資源配分の最適化を図る“ディレクション”が、これからのエンジニアの大きな仕事になると見ている。ディレクターとエンジニアの境目がなくなっていくのではないか」。

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提供:株式会社PE-BANK

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/20658 2025/01/22 12:00

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