開発における非互換性な項目をいかに自動変換するかがカギ
続く2つ目のセッションには、ソフトロードの大橋順二氏が登壇。システム更新専門会社として長年実績を積み重ねてきた、自社の移行プロジェクトで培った高度なノウハウに基づいてマイグレーションの勘所を紹介した。
ソフトロードは日本最大のシステム更新専門会社を自任する企業だ。2001年の会社設立以来、約800件以上にのぼる移行開発を手掛けてきており、現在も約50のシステムの開発に同時並行で取り組んでいる。東証上場企業トップ200のうち、60社以上に利用されてきており、優秀な研究技術者約40名を擁する研究開発部門を中心に、日夜AI技術を駆使して、移行自動化ツールの開発、カスタマイズに注力するとともにSRM(システムリフォームメソッド)という方法論を確立している。
「これらツールや方法論に精通した自社の専門技術者約510名、および約20数社に及ぶパートナー企業様合わせて総勢2000名以上という動員力をもって、個々のお客様に最適なシステムのモダナイズを支援しています」と大橋氏は紹介する。
![株式会社ソフトロード 代表取締役副社長 大橋順二氏](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/20832/003.png)
そうした経験のなかで、システム移行のなかでぶつかる“落とし穴”だと同社が捉えているのが、移行元のシステムとターゲット環境の間において互換性のない項目への対応だ。例えば、Visual BasicからVisual Basic .NETへの移行にあたっての各種データベース接続にかかわる対応もその1つだ。仮にVisual BasicのアプリケーションにOO4O(Oracle Objects for OLE)の仕様を実装して、Visual Basic .NETに対応したものにするには、新規のコード記述を行う必要がある。また同様のケースで、Visual Basic .NETではサポートされないVisual Basicのメソッド、例えばLenBやLeftB、MidBなどへの対応にも、人手によるコードの記述を行う必要がある。
こうした互換性のない項目についても、ソフトロードではこれまでの豊富な経験のなかでのノウハウや知見を盛り込んだツールを提供。手動によるコード記述等の対応を行うことなくツールによって自動変換できる体制を整えている。手動対応の工数を下げることで、移行にまつわるコストの低減や期間の短縮、品質の向上といったメリットがもたらされる。
「当社のツールを活用した変換率はほぼ100%。Visual BasicとVisual Basic .NET、あるいはVisual BasicとC#などの間の非互換性、.NET版サードパーティー製品との差異を弊社の移行基盤が吸収。既存業務ロジックへの影響を最小限に抑えた高品質な移行を実現しています」と大橋氏は強調する。
![Visual BasicからVisual Basic .NETへの移行にあたって互換性のない項目の一例。データベース接続において、OO4Oの仕様を実装する際には新たにコードの記述が必要となる。](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/20832/004.png)