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Developers Summit 2025 セッションレポート

広がるコミュニティと還元の輪──5人のエンジニアが語る成長の軌跡

【14-E-9】エンジニアコミュニティでひろがるキャリア、深まる人生 - “コミュニティへの還元”リレーション -

 誰かに背中を押されて参加したカンファレンス。何気ない偶然と行動が、人生の転機になることがある。ココカラ勉強会の前村克樹氏、Scrum Fest Osaka/スクラム道関西の松尾浩志氏、千葉工業大学の永見拓人氏、LayerXの新多真琴氏、リンケージの歌丸杏淑氏の5名が、自身の経験をもとに「コミュニティとの関わり方」や「還元する姿勢」をリレー形式で共有。若手コミュニティの主催、海外登壇、そしてエンパワメントの循環──コミュニティとともに生きるヒントが詰まったリレーセッションだ。

若手に「選択肢」を与える場所を作りたい

 最初に登壇したのは、「ココカラ勉強会」を主催する前村克樹氏。関西在住の前村氏は、エンジニア歴6年目(2025年2月時点)。現在はプロジェクトマネージャー1年目として実務に携わりつつ、大阪を拠点に若手向けの勉強会運営に力を注いでいる。

ココカラ勉強会 前村 克樹(まえ)氏
ココカラ勉強会 前村 克樹(まえ)氏

 「ココカラ勉強会」は、月1回オフラインで開催され、LT(ライトニングトーク)やグループトークを中心に学びと交流の場を提供している。運営期間は3年半、運営メンバーは5名で、平均参加者は約26名にのぼる。これまでに、SansanやLINEヤフー大阪オフィス主催の公式イベント「MixLeap」とのコラボや、スポンサー企業と共催したカンファレンス「Next Step Meetup」なども実現してきた。

関西を拠点に数々のコミュニティ・イベントを展開してきた前村克樹氏
関西を拠点に数々のコミュニティ・イベントを展開

 こうした活動の原点には、前村氏自身のキャリア上の「選択」がある。社会人2年目の頃、技術に向き合えない職場環境に疑問を持った前村氏は、外部の勉強会へ参加。そこで前向きに学ぶ仲間と出会い、設計への意識やものづくりへの姿勢を学んだ。この経験がきっかけとなり、自身もより技術志向の企業へ転職することを決意する。

 その後、勉強会で知り合ったエンジニアに誘われて副業にチャレンジ。ハイレベルな開発案件に苦しみながらも、技術的に鍛えられた。そして経験を積む中で、勉強会の主催や友人との副業プロジェクト、後進のコードレビューなど、多面的にキャリアを広げていった。

まるでシナプスが発火するように、氏のキャリアは予測不能な発展を遂げてきた
まるでシナプスが発火するように、前村氏のキャリアは予測不能な発展を遂げてきた

 前村氏は、キャリアの分岐点には「視野」と「パワー(行動力)」の両方が必要だと語る。そしてこれらは、「人との出会いや対話から生まれるもの」という見解だ。「他者と会話を重ねることにより視野が広がり、パワーももらえる」。そんな場所をつくれたらと考えたことが、前村氏をコミュニティの主催へと向かわせたのだ。

人と人が出会う場を作ることで、選択肢を広げるのが氏の目的だ
人と人が出会う場を作ることで、選択肢を広げるのが目的

 さらに前村氏は、コミュニティ単体ではなく、「場所と場所の循環」にも注目している。たとえば若手向けの勉強会が、「Developers Summit KANSAI(デブサミ関西)」やベテラン層の集まりへと接続したケースも。こうした出会いの中で、多様な価値観や選択肢が広がる好循環を実感しているという。

人と人だけでなく、場所と場所も相互に刺激を与え合う
人と人だけでなく、場所と場所も相互に刺激を与え合う

 「今できる最大限のことは、大阪の若手向けITコミュニティという場所を継続させること。このターゲットに向かってピンを打ち続けることが、自分の役割だと思っている」。前村氏の言葉には、コミュニティに育てられた実感と、その恩返しを次の世代へつなぐ覚悟がにじんでいた。

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「仕事とコミュニティは切り離せない」

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この記事の著者

夏野 かおる(ナツノ カオル)

 博士。本業は研究者。副業で編集プロダクションを経営する。BtoB領域を中心に、多数の企業案件を手がける。専門はテクノロジー全般で、デザイン、サイバーセキュリティ、組織論、ドローンなどに強みを持つ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井山 敬博(イヤマ タカヒロ)

 STUDIO RONDINOのカメラマン。 東京綜合写真専門学校を卒業後、photographer 西尾豊司氏に師事。2008年に独立し、フリーを経て2012年からSTUDIO RONDINOに参加。 STUDIO RONDINO Works

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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