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Developers Summit 2025 セッションレポート

組織に貢献するフリーランスエンジニアという生き方

【13-E-7】組織貢献をするフリーランスエンジニアという生き方

 「組織に縛られたくない」「スキルで勝負したい」──そんな“自由人”のイメージが強いフリーランスだが、竹端尚人氏のスタイルは一味違う。フルタイムの業務委託として開発に携わるだけでなく、マネジメントや採用、技術広報まで広く担い、組織への深いコミットを実現しているのだ。本セッションでは、「なぜ正社員ではなく、フリーランスなのか?」という問いに対し、契約面・自由度・リスク管理などの視点から、その理由と実践ノウハウを具体的に紹介。これからの多様な働き方を考えるうえで、役に立つヒントが詰まっている。

常識を少しだけずらす:フリーランスで組織に深く関わるという選択

 公務員として社会人生活をスタートした竹端氏は、SESを経てサイバーエージェントグループにてモバイルゲームの開発に約10年従事。2020年に独立し、現在は医療系スタートアップ・株式会社ヘンリーにてフルタイムの業務委託(フリーランス)として働いている。

 現在の主な業務領域はバックエンド開発だが、登壇や執筆、Kotlin関連のコミュニティ運営にも精力的に取り組んでおり、日々の活動は多岐にわたる。まさに八面六臂の活躍ぶりだ。

 エンジニアにとって、フリーランスという働き方は、以前から有力な選択肢の一つとされてきた。とはいえ、「自由」であるがゆえに、その実態は人それぞれだ。ここでは、竹端氏自身の働き方を一つのモデルとして見ていこう。

竹端 尚人氏
竹端 尚人氏

 まず氏は、一般的なフリーランス像について3つの観点から整理する。「組織に縛られたくない」「IC(Individual Contributor)でありたい」「いろいろな現場を渡り歩きたい」といった志向が、多くのフリーランスに共通する傾向だという。

 このうち「組織に縛られたくない」という考えの背景には、会社員として管理されることへの抵抗や、採用・広報・イベントなど“開発以外の業務”に関わりたくないという思いがある。また、「IC志向の人は、マネジメントよりも個人の技術力で成果を出すことを重視し、スキルで勝負したいと考える傾向がある」と竹端氏は自身の経験を振り返る。

「会社員としての管理」や「非開発業務への関与」を避けたいフリーランスは多い
「会社員としての管理」や「非開発業務への関与」を避けたいフリーランスは多い

 さらに、複数のプロダクトや現場を経験することで技術とドメイン知識の幅を広げたいという成長志向も一般的だ。「中には、1年ごとに現場を変えると決めている人もいる」といい、「自由」と「成長」を求めるフリーランスが少なくないことがうかがえる。

 このように、「フリーランス=組織に深くコミットしない存在」というイメージがある一方で、竹端氏のスタイルはそれらとは少し異なる。現在は医療系スタートアップで、週5日フルタイムで働き、通常の開発業務に加えてコードレビューや機能開発の推進、チームのレトロスペクティブやスプリントの進行役など、チームづくりにも深く関わっている。

 さらに、新人メンバーのオンボーディング、社内懇親会やワークショップの企画運営、技術広報、採用活動など、正社員が担うような業務にも広く関与している。イベント出展時には売り子として現場に立つこともあれば、自らスカウトを送り、面談対応まで担当することもある。

 いずれも、フリーランス特有の「一匹狼」的なイメージとは一線を画す働き方だ。竹端氏がこのようなスタイルにたどり着いたのは、一体なぜだろうか。

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なぜ“正社員”ではないのか?4つの視点から語るフリーランスの利点

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この記事の著者

夏野 かおる(ナツノ カオル)

 博士。本業は研究者。副業で編集プロダクションを経営する。BtoB領域を中心に、多数の企業案件を手がける。専門はテクノロジー全般で、デザイン、サイバーセキュリティ、組織論、ドローンなどに強みを持つ。

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井山 敬博(イヤマ タカヒロ)

 STUDIO RONDINOのカメラマン。 東京綜合写真専門学校を卒業後、photographer 西尾豊司氏に師事。2008年に独立し、フリーを経て2012年からSTUDIO RONDINOに参加。 STUDIO RONDINO Works

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