SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

japan.internet.com翻訳記事

XMLデータの変更をSDOで簡単に追跡する

SDOのJava実装を使ってXMLデータへの変更を追跡する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ダウンロード サンプルソース (12.6 KB)

SDO(Service Data Object)は、データの履歴をシステムレベルで追跡する機能を簡単に実装できるメカニズムです。この記事では、SDOのJava実装を使ってXMLデータへの変更を追跡する方法を解説します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

 データの変更を追跡することは、多くのソフトウェア、アプリケーション、およびビジネス統合シナリオで必要とされる基本機能です。一般的な変更のデルタ(差分)をモデル化し、取り扱うことは非常に込み入った作業であり、この基本機能を厳密に実装することは比較的難しい課題です。一方で、すべてのアプリケーションにこの機能を重複して実装するのは無駄です。デルタ処理モデルは同じものをさまざまな状況に応用できますし、大半のケースで求められる機能はよく似ているからです。BEA Systems社とIBM社の主導で進められているService Data Object(SDO)は、異種データアクセスのための汎用ソリューションを定義するJSRで、開発者はこのメカニズムを使用してシステムレベルのデータ履歴追跡機能を簡単に実装できます。

 この記事では、SDOのJava実装であるApache Tuscanyバージョン1.0を使って、XMLデータをSDOで処理する方法の例を示します。SDOは(まだ)XML処理の標準ソリューションではないため、SDOの基本XMLデータ操作についても説明して、前後関係を明らかにします。

3フェーズからなるXMLデータ処理

 この記事のXMLデータ処理例では、次の3つのフェーズがそれぞれ別のグループによって担当されることを前提とします。

  1. 作成
  2. 処理
  3. 元に戻す

 XMLデータは、ファイルシステムを通じてこれらの3フェーズ(および3グループ)間でやり取りされます。この例の基本シナリオはこうです。最初のグループが作成したXMLファイルに第2のグループが変更を加え、この変更を記録します。この記録は、第3のグループがXMLデータを元に戻すときに利用されます。Microsoft Wordの変更履歴機能を使用したことがあれば、この機能の値打ちがすぐに理解できるでしょう。

 この種の機能は、多くのアプリケーションで必要とされます。たとえば、オプティミスティック同時実行制御や、オフラインアプリケーションデータと稼動中データベースとの同期、ビジネスプロセス管理(BPM)システムなどを実装するには不可欠です。以降のセクションでは、SDOを利用してこれらの機能を簡単に実装できることをサンプルコードを示して説明します。

 サンプルのXMLデータ(基はSDO 2.1.0仕様書のサンプル)は、注文処理をモデル化したものです(スキーマ「po_original.xsd」についてはリスト1を参照)。次のセクションでは、SDOを使ってこのスキーマに基づく注文処理を作成し、ファイルシステムに永続化する手順を説明します。このサンプルでは動的APIを使用します。SDOではあらゆるデータソースを扱うための静的APIもサポートされています。

リスト1 po_original.xsd
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xsd:schema xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema"
    xmlns="http://www.example.com/PO" 
    targetNamespace="http://www.example.com/PO">
    
    <xsd:import namespace="commonj.sdo/xml" schemaLocation="sdo.xsd"/>

    <xsd:element name="purchaseOrder" type="PurchaseOrderType"/>
    <xsd:element name="comment" type="xsd:string"/>
    
    <xsd:complexType name="PurchaseOrderType">
        <xsd:sequence>
            <xsd:element name="shipTo" type="USAddress"/>
            <xsd:element name="billTo" type="USAddress"/>
            <xsd:element ref="comment" minOccurs="0"/>
            <xsd:element name="items"  type="Items"/>
        </xsd:sequence>
        <xsd:attribute name="orderDate" type="xsd:date"/>
    </xsd:complexType>

    <xsd:complexType name="StatusType">
        <xsd:sequence>
            <xsd:element name="status"   type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="contact"   type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="changeDate" type="xsd:date"/>
        </xsd:sequence>
    </xsd:complexType>
    
    <xsd:complexType name="USAddress">
        <xsd:sequence>
            <xsd:element name="name"   type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="street" type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="city"   type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="state"  type="xsd:string"/>
            <xsd:element name="zip"    type="xsd:decimal"/>
        </xsd:sequence>
        <xsd:attribute name="country" type="xsd:NMTOKEN" fixed="US"/>
    </xsd:complexType>

    <xsd:complexType name="Items">
        <xsd:sequence>
            <xsd:element name="item" minOccurs="0" 
                         maxOccurs="unbounded">
                <xsd:complexType>
                    <xsd:sequence>

                        <xsd:element name="productName" 
                                     type="xsd:string"/>
                        <xsd:element name="price"
                                     type="xsd:decimal"/>
                        <xsd:element name="quantity">
                            <xsd:simpleType>
                                <xsd:restriction 
                                     base="xsd:positiveInteger">
                                    <xsd:maxExclusive value="100"/>
                                </xsd:restriction>

                            </xsd:simpleType>
                        </xsd:element>
                        <xsd:element ref="comment"   minOccurs="0"/>
                        <xsd:element name="shipDate" 
                                     type="xsd:date" minOccurs="0"/>
                    </xsd:sequence>

                    <xsd:attribute name="partNum" 
                                   type="SKU" use="required"/>
                </xsd:complexType>
            </xsd:element>
        </xsd:sequence>
    </xsd:complexType>
    
    <xsd:simpleType name="SKU">
        <xsd:restriction base="xsd:string">
            <xsd:pattern value="\d{3}-[A-Z]{2}"/>
        </xsd:restriction>
    </xsd:simpleType>
</xsd:schema> 

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
SDOを使ってXMLを作成、永続化する

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
japan.internet.com翻訳記事連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

japan.internet.com(ジャパンインターネットコム)

japan.internet.com は、1999年9月にオープンした、日本初のネットビジネス専門ニュースサイト。月間2億以上のページビューを誇る米国 Jupitermedia Corporation (Nasdaq: JUPM) のニュースサイト internet.comEarthWeb.com からの最新記事を日本語に翻訳して掲載するとともに、日本独自のネットビジネス関連記事やレポートを配信。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

Young Yang(Young Yang)

ウォール街の金融会社に勤務する上級エンタープライズアーキテクト。数学博士号を取得。IBM社のeビジネスデザイン、DB2管理、ビジネスインテリジェンス、XMLおよび関連テクノロジ、WebSphere Application Serverの認定資格、BEA社のWebLogic Application S...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/2225 2008/03/04 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング