AI時代のプレイングマネージャーが磨くべき「スキル」と「覚悟」
トークテーマはさらに、生成AIとの協働を前提とした「マネジメント」へと移っていく。コーディングや開発プロセスが高速化する中で、人間にはどのようなスキルや覚悟が求められるのか?人間が担う役割そのものを問い直すパートである。
広木氏は、「生成AIによって個人が強くエンパワーメントされる時代が到来した」と語る。かつては一部の「10Xプログラマ」が突出した存在だったが、今後は多くの人がそれに近い生産性を発揮できるようになる。その結果、個人やマネジメントが担う意思決定の重みは、これまで以上に増していくという。
こうした状況では、従来のコマンド&コントロール型のマネジメントは成立しない。任せるべき相手に任せ、明確な意思を示さなければ、確認や承認が何重にも重なり、真の進捗が生まれなくなる。広木氏は、これまで身につけてきたマネジメントのやり方を手放す「アンラーニング」が必要になると指摘した。
この指摘に及部氏も強く同意する。アジャイル開発が登場してから25年が経つが、そこで生まれた変化は、あくまでも既存の枠組みを「改善」する程度で対応可能だった。一方で、生成AIによって意思決定やアウトプットのスピードそのものが大きく変わった今、「従来型のマネジメントが通じるとは思えない」と語気を強める。
「これまでのマネジメントには一定の型があり、それをなぞっていれば成立していた。一方で生成AI時代の今は、その型自体を自分たちで考え、作っていく探索のフェーズに入っている」と及部氏は重ねる。宮田氏もこの流れを受け、「生成AIによって『できない』ことが減ってきた今、『やらない』ための言い訳はもはや通用しない」と同調した。
セッション終盤には、「続けること」の難しさにも話題が及んだ。及部氏は、登壇者同士で“AI疲れ”について話していたと明かす。しかし宮田氏は、「AI疲れの正体はAIそのものではなく、コントロールできない仕事や組織の構造にある場合が多い。真正面から向き合えば、AIはポジティブなものであり続けるはず」と、前向きな構えを崩さない。
AIは社会を不可逆的に変え続けている。「やらない」ための言い訳を探すのではなく、活用を前提としたスタイルへ、マインドをチェンジしなければならない——そんな激励が聞こえてくるような、パワフルなセッションだった。
