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Developers Summit 2025 Summer セッションレポート

「否定された」と感じさせないコードレビューの作法。チームを育てるテキストコミュニケーションとは?

【18-C-1】『伝わるコードレビュー』で伝えるチーム組織を作る

 開発現場におけるテキストコミュニケーションの重要性は年々高まっている。しかし、コードレビューなどのやり取りにおいて「意図した通りに伝わらない」「なぜか話が噛み合わない」経験を持つ人も多いだろう。本セッションでは、『伝わるコードレビュー』の著者の一人である鳥井雪氏が登壇。今こそ、コードレビューを単なる指摘の場ではなく、チームの信頼関係を育てる場として再定義しよう。

コードレビューを「衝突の場」にしないための方法

 株式会社万葉フェロー兼NPO法人Waffleのカリキュラム・マネージャーを務める鳥井雪氏は、Webプログラマーとして15年以上の実務経験を持つエンジニアだ。『ルビィのぼうけん』をはじめとするプログラミング関連書籍の翻訳・執筆に携わり、2024年にはForbes JAPANが選出する「Women in Tech 30」にも名を連ねた。長年所属してきた株式会社万葉にもフェローとして関わり続け、技術と教育、そしてチームづくりの両面から開発現場を見つめてきた。

 本セッションでは、鳥井氏の著書『伝わるコードレビュー』を起点に、「コードレビューを通じて、いかに“伝わる”チーム組織をつくるか」というテーマが語られた。

NPO団体Waffle カリキュラム・マネージャ/株式会社万葉 フェロー 鳥井 雪氏
NPO団体Waffle カリキュラム・マネージャ/株式会社万葉 フェロー 鳥井 雪氏

 『伝わるコードレビュー』は、鳥井氏と久保優子氏、諸永彩夏氏(いずれも株式会社万葉)による共著で、全3章から構成されている。

 第1章の「心構え編」では、コードレビューとは何か、なぜ難しいのかを整理した上で、レビューの基本となる5大ルールを提示する。

 第2章の「実践編」では、架空の開発現場を舞台に、レビュー時に起こりがちなコミュニケーション上の課題を具体的に描き、その解決の糸口を示す。

 そして第3章の「Tips編」では、迷ったら早めに相談する、時間を決めて問題に向き合うなど、明日から現場で使えるグッドパターンとバッドパターンを紹介する構成だ。

 鳥井氏はまず、「本書は単なるコードレビューの手引書ではない」と強調する。「そもそもコードレビューとは、レビュアーとレビュイーが戦う場ではなく、よりよいコードに向かって、2人3脚で進んでいく行為だ」とコードレビューの在り方について述べた。その上で、本書の焦点はコードそのものではなく、レビューという行為を通じたテキストコミュニケーションの在り方を示すことだと語った。

 本書の背景にあるのは、テキストコミュニケーションの比重が大きく増した現代の開発環境だ。かつては同じ空間に集まり、ホワイトボードを囲んで議論することが当たり前だった。しかし現在では、SlackやGitHub、Notionなどを通じて、意思疎通の多くがテキストで行われている。開発者が日々読み書きする文章量は、過去とは比較にならないほど増えているのが実情だ。

 ところが、テキストコミュニケーションには、文脈や感情、声のトーンが伝わりにくいという構造的な難しさがある。何気ないメッセージが命令や批判として受け取られてしまう場面もあれば、先輩エンジニアが投げかけた質問が、新人にとっては否定や詰問のように響いてしまうこともあるだろう。

 コミュニケーションのすれ違いを避けるためには何が必要なのか。鳥井氏が示すのは、「信頼し合うチームの土台をつくる」という方向性だ。ここで言う「土台」とは、相手の意図を勘ぐらずに済む関係性を指す。信頼が十分に築かれていれば、短いやり取りであっても、その意図はより正確に受け取られやすくなる。

効率的で率直なテキストコミュニケーションは、信頼関係を前提として成立し、その積み重ねがさらにチームの信頼を強化する
効率的で率直なテキストコミュニケーションは、信頼関係を前提として成立し、その積み重ねがさらにチームの信頼を強化する

 しかし、その信頼は自然に生まれるものではない。信頼を築くために欠かせないのは、効率的で率直であり、余計な含みや他意を持たない「ちゃんとしたコミュニケーション」の積み重ねだ。

 「ちゃんとしたコミュニケーション」によってを積み重ねることで信頼が育まれ、その信頼がさらに率直で効率的なやり取りを可能にする。この循環こそが、鳥井氏の言う「伝わるチーム」を支える基盤となる。

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視点を「相手」から「問題」へ切り替えるための3つのポイント

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この記事の著者

水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

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川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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