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Developers Summit 2026 セッションレポート(AD)

AIを“自分専用パートナー”に育てる方法──Gemini CLIとGoogle Antigravityで実践するコンテキストエンジニアリング

【19-A-2】Google Antigravity と Gemini CLI を活用した AI エージェントファーストな開発の始め方

 AIの活用が当たり前となった開発現場だが、「期待どおりに動かない」「自分で書いた方が早い」と壁を感じている開発者は少なくない。Developers Summit 2026のセッション「Google AntigravityとGemini CLIを活用したAIエージェントファーストな開発の始め方」では、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の関本信太郎氏が登壇 。AIエコシステムの最前線である「Gemini CLI」と「Google Antigravity」の特徴を解説するとともに、AIを真のパートナーとして機能させるための鍵「コンテキストエンジニアリング」の実践手法を語った。

AIの活用はすでに「当たり前」──DORA調査が示す開発者の現在地

 関本氏はまずGoogleが主導するDevOps技術調査「DORA(2025 DORA State of AI-assisted Software Development Report)」を引用し、開発者の間でAIがどこまで浸透しているかを紹介した。

 仕事でAIを活用していると答えた開発者は90%に達し、最近の勤務でAIを使用した時間の中央値は2時間、AIへの依存度が中程度以上と答えた割合は65%に上った。新しいコードをAIによって書いたと回答した割合も70%を記録しており、もはやAIの活用は特別なことではなくなっている。

DORA 2025調査によるAI活用の現状。仕事でAIを使う開発者は90%に達し、新しいコードの70%がAIによって書かれている
DORA 2025調査によるAI活用の現状。仕事でAIを使う開発者は90%に達し、新しいコードの70%がAIによって書かれている

 Google社内の実績も着実な成果を示していた。全コードの54.9%がAIによってドラフトされており、エンジニアリングチームの開発速度は16%向上した。「時系列のデータを見て分かる通り、常に伸びているイメージです。堅実にどんどん伸びています」と関本氏は説明する。

 DORAの調査は、AIのソフトウェア開発におけるプライマリロールを「AMP(アンプ)」と位置づけた。コンサートホールで使う増幅器のように、AIは開発者の能力を代替するのではなく増幅する存在だという解釈だ。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 アプリケーション モダナイゼーション スペシャリスト 関本信太郎氏
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 アプリケーション モダナイゼーション スペシャリスト 関本信太郎氏

 続いて関本氏は、AIエージェントの活用形態を3段階に整理した。2年ほど前に一般的だった「プロンプトと応答」は、人間がすべてのアクションを担うシングルタスク型だ。現在主流の「インタラクティブエージェント」は、会話を通じてエージェントが複数のタスクを実行する形態へと進化した。そしてさらに先を行く「自律エージェント」は、GitのコミットやIssueへの対応まで自律的にこなす。人間の関与度(Human in the loop)は低くなり、最終的には「Humans not in the loop」の世界となる。

AIエージェントの活用形態も年々変化してきた
AIエージェントの活用形態も年々変化してきた

Gemini CLIとGoogle Antigravity──2つのエージェントの役割と特徴

 Googleのコーディング支援ツールは、利用者の属性によって層が分かれている。個人向けの「Google Gemini」アプリ、開発者向けAPIプラットフォームの「Google AI Studio(ai.dev)」、企業向けのセキュアな環境を提供する「Vertex AI Studio」がある。そして、エージェントとして位置づけられるのが、「Gemini CLI」と「Google Antigravity」の2つだ。

GoogleのAIエコシステム全体像。個人・開発者・企業の各層に対応するツール群の下段に、エージェントとしてGemini CLIとGoogle Antigravityが位置づけられる
GoogleのAIエコシステム全体像。個人・開発者・企業の各層に対応するツール群の下段に、エージェントとしてGemini CLIとGoogle Antigravityが位置づけられる

 Gemini CLIはターミナルで動作する汎用エージェントだ。ファイルの読み書き、Webページの検索、シェルコマンドの実行はビルトインツールとして標準搭載されており、他のツールと連携しなくても即座に使える。

 「コーディングはもちろんのこと、反復するコマンド実行、ドキュメント作成、タスクの自動化、そしてさまざまなエージェントとしての役割を果たすことができるツールです。特化型エージェントではなく、汎用的なタスクを実行するのにふさわしいと思っています」と関本氏は語り、身近な使い道としてローカルにある写真のファイル名をルールに従って整理する例を紹介した。

 セキュリティ面では、DockerやmacOSネイティブのSeatbelt機能を使ったサンドボックス環境での実行にも対応する。AIによる意図しないファイルの削除といった事態を防ぐことができる。また、最近追加されたGemini CLI Extensionsでは、MCPサーバーの一括導入や計画モードの追加、Skills登録などをワンコマンドで行えるマーケットプレイス機能も提供されている。

 Google Antigravityは、VSCodeをベースに構築されたエージェントファーストなIDEだ。構成要素として「Agent Manager」「Editor」「Browser」「Terminal」の4つがある。

 Agent Managerは複数のエージェントを管理するビューだ。フロントエンドを担当するエージェント、APIを書くエージェント、Google Cloudへの継続的なアップロードを担当するエージェントといった形で、役割を分けた複数のエージェントをワークスペース内で並行稼働させることができる。

 EditorはAIが書いたコードを人間がレビュー・修正するための実際のエディタで、VSCode拡張機能も利用できる。BrowserはChromeブラウザと連携してアプリをテスト実行し、その結果をLLMが受け取って修正するループを構築できる。Terminalは先述のGemini CLIに近い機能を持ち、ローカルに対するコマンド操作を担う。

Google Antigravityの基本的な構成要素
Google Antigravityの基本的な構成要素

 Antigravityの特徴的な機能が「Artifact(アーティファクト)」だ。エージェントが実行した結果を、テキスト、ブラウザテストの実行動画、スクリーンショットという形式で保存する。スクリーンショットにはVisual Feedbackという機能もあり、UI上の気になる部分を指定してデザインの変更提案を受けることも可能だ。

コンテキストこそが「暗黙知のオンボーディング」──4種類のコンテキストを使い分けよう

 便利なツールを手に入れながらも「なんとなく信用が置けない」「自分で書いた方がちゃんとできる」という感覚を持つ開発者は多い。関本氏はこの問題の本質は「コンテキスト不足」にあるという。その根本には、AI活用に関する2つの誤解がある。

 1つ目は「オンボーディングの誤解」だ。AIが期待どおりに動かないとき、多くの人はAIの精度に問題があると考えがちだ。しかし実際には、どんな優秀なエンジニアでも新しいプロジェクトに参加したときにはオンボーディング、つまりプロジェクト固有の暗黙知の習得が必要で、それはAIにとっても同じだ。

 2つ目は「プロンプトエンジニアリングの誤解」だ。指示の書き方を磨けばうまくいくという考え方は半分正解だが、プロンプトの書き方自体が属人的なスキルになってしまう問題がある。チームで均質な品質を担保するには、個人のスキルに頼るのではなく共有可能な形でコンテキストを整備することが不可欠だ。

AIエージェント活用における誤解。チームで共有できる知識を整理することが重要となる
AIエージェント活用における誤解。チームで共有できる知識を整理することが重要となる

 コンテキスト不足が招くリスクは主に3つある。誤った前提を与えるとAIがランダム性を持ちながら間違った方向へ進む「不正確な情報」、必要な情報が足りないとハルシネーション(もっともらしい嘘)が発生する「情報の欠落」、そして不要な情報を詰め込みすぎるとトークンを消費し処理精度が低下する「ノイズ過多」だ。「不要な情報は逆に入れない方がいいと言われています。適切な情報をインプットしてあげてください」と関本氏は強調した。

 コンテキストエンジニアリングとは、AIエージェントに与える情報を設計・構造化し、チームで共有・再利用できる形に整備する手法だ。個人の属人的なプロンプト技術をファイルとして明文化し、誰でも同じ品質でエージェントを動かせる環境を整えることを目的とする。その実践として、Gemini CLIとGoogle Antigravityでは4種類の要素を役割に応じて使い分けることが推奨される。

 まず「GEMINI.md(System Context)」は、エージェントの人格や基本ルールを定義するファイルだ。「あなたはGoogle Cloudの専門家です」といった役割定義から、プロジェクトで使っている技術スタック、コーディングスタイル、やってはいけないことのリスト(rm -rfを使わないなど)、プロジェクトごとのルールまでを記述する。起動時に常時読み込まれるため、都度指示を繰り返す必要がない。

 次に「Agent Skills(SKILL.md)」は、特定のタスクや道具の使い方を記述した「手順書と判断基準のパッケージ」だ。エージェントはユーザーの依頼を見て必要なSkillを自律的に判断し、必要なときだけコンテキストに読み込んで使用後に解放する。「全部書いてしまうと、コンテキストが膨大になってしまったり余分なものも含まれるので、使いたいときに使われるものを書いておきます」と関本氏は説明する。

 「Custom Commands(スラッシュコマンド)」はユーザーが明示的にトリガーする決定論的なショートカットだ。プルリクエストの発行や画像生成、コンテキストの圧縮など、LLMの自律判断を介さずに決まった処理を実行させたいときに用いる。

 「References(in Skills)」はSkillsと組み合わせて持つ辞書・仕様書の役割を担い、参照が必要なときだけ読み込まれるライブラリだ。大量の業務知識を持ちながらも推論時のコンテキストは常にクリーンに保たれる。

コンテキストエンジニアリングに必要な要素を階層化した例。GEMINI.mdは常時読み込み、Skills(References)はオンデマンド、Commandsは明示的実行という棲み分け
コンテキストエンジニアリングに必要な要素を階層化した例。GEMINI.mdは常時読み込み、Skills(References)はオンデマンド、Commandsは明示的実行という棲み分け

AIを「育てる」フィードバックループ──ミスを恒久的なルールへ

 エージェントコーディングの基本フローは「開始→計画→実行→モニタリング」の4段階だ。最も人間が関与すべき重要なフェーズは「計画」にある。エージェントがPRDやドキュメント、リポジトリなどのコンテキストを参照しながら実装計画を立て、Human in the loopのフィードバックを繰り返しながら計画を精緻化する。

エージェントによるコーディングフローの全体像。実装の詳細はエージェントに任せて、人は、何を作りたいか、目的・要件の部分に時間を割くことが重要となる
エージェントによるコーディングフローの全体像。実装の詳細はエージェントに任せて、人は、何を作りたいか、目的・要件の部分に時間を割くことが重要となる

 実行フェーズが完了したら、Artifactを活用してモニタリングを行う。Antigravityでは計画に対して約90%のフィードバックを反映し、残りの10%で継続的に改善していくサイクルが想定されている。数字は目安ながら、「そういった方向に向かっていくので、今のうちにこのやり方をやっていただくと洗練されてきます」と関本氏は語った。

 コンテキストが膨らんでAIがループ状態に陥るのを防ぐ手段として「意図的な圧縮(Compaction)」も有効だ。セッションをリセットして情報を整理し直し、必要な情報だけを次のセッションに引き継ぐことで、役に立たない情報ばかりになる事態を避けられる。

 そして最も重要なのが「フィードバックループ」だ。「何かミスをしたら、次から同じミスをしないよう、エージェントの人格を定義するファイル(GEMINI.mdなど)にルールとして書き加えてください」と関本氏は語る。ミスをその場限りにせずルールとして固定することで、AIは同じ間違いを繰り返さない「自分専用のパートナー」へと成長していく。

 セッションを締めくくる言葉として関本氏は「コンテキストというのはどのツールを使っても大事です。(コンテキストを考慮せず)バイブコーディング的なこともできますが、この考え方を少しでもお役に立てていただければ幸いです」と語った。

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 本セッションでご紹介したサービスにご興味を持たれた方は、ぜひ公式サイトをご覧ください。

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提供:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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