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Developers Summit 2026 セッションレポート(AD)

AIとデータでSIの現場はどう変わるか──セゾンテクノロジーが実践するプロセスの再構築とスキル評価

【19-B-3】AIとデータでエンジニア組織をエンパワーする

エンジニアの実力を正確に把握する2つのアセスメントとは

 後半は、データでエンジニア組織自体をエンパワーする取り組みの解説へと移った。出発点はエンジニア組織に共通する課題の整理だ。手が早い・説明がうまいといった目立ちやすい特性を持つエンジニアが重宝される一方、堅実に成果を積み重ねるタイプには光が当たりにくい。アセンブラのようなプリミティブな技術とマネージドサービスを使いこなす力は本質的に比較できないのに、不毛な論争に発展することもある。スキルサーベイで定量化を試みても、自己評価に依存する限り問題は解消されない。

 エンジニアの力を引き出すために避けるべき事態として、高坂氏は3つを挙げた。本来の実力があってもアサインミスマッチで発揮できないこと、認知の限界を世界の天井と思い込んで視野が広がらないこと、組織の「イケているエンジニア像」がコンテキストとして蓄積されないことだ。

 対策として、2025年から全エンジニアを対象に2種類のアセスメントを開始した。汎用知識量を測るものにはJTP株式会社のGAIT2.0を採用。重点領域として定めた「データマネジメント」の専門知識については、DMBOK2をベースに独自で策定した59問のアセスメントを実施した。「アセスメントの目的は評価ではなく、ミスマッチの発見です」と高坂氏は言い切る。

 2つの結果を中央値で4象限に分けたところ、汎用・専門ともに高い右上のエース層が業務評価とも一致することを確認できた。高坂氏が注目したのは右下の「汎用知識は高いが専門知識が低い」ポテンシャル層だ。勉強はしているが現場での活躍に結びついていない可能性があるのだ。89名を対象にデータマネジメントの実践型研修を実施したところ、約28%(25名)がアセスメント上でエース層の水準に到達した。

2つのアセスメントを組み合わせた4象限分類図とその結果
2つのアセスメントを組み合わせた4象限分類図とその結果

 2026年3月からは、アセスメントスコアと業務評価の乖離を照合し、ミスマッチが疑われる人材にCTOと人事が主導して最適な配置を働きかける。アセスメント結果を人事評価には一切使用しないことを原則とした上で、改善の機会を当事者に届ける取り組みだ。

 もう1つの施策はスキルサーベイのリデザインだ。従来は「社内ハイエンド開発者」などの曖昧な文言で評価を求める形式で、ハイエンドの定義が個人に委ねられていた。自分がトップだと思えばそこが天井となり、その先の世界が見えなくなる。そこで、ハイエンドの定義を個人の感覚から組織の基準へと引き上げた。組織として「どういうことができるエンジニアが優秀(かっこいい)のか」を明確にし、その想いをスキルの定義そのものに込めたのだ。

 刷新後の設計では、開発技術のレベル6を「技術選定・設計・実装方針を定義し、アーキテクチャの最適解を決断できる」と明文化。レベル5は「内部動作やCPU/メモリ効率など設計上の選択理由を明確に説明できる」と定義した。ツール活用についても、使えるか否かという基準を超え「ツール特性を踏まえ、業務プロセスを再設計し定着させられる」を最高点とする。次のステップが自ずと見えるよう設計されている。

スキルサーベイの評価基準リデザイン前後の比較
スキルサーベイの評価基準リデザイン前後の比較

 さらに今後実施予定のサーベイからは、600スキル×770人の結果を統計処理した上で生成AIに渡し、各技術の組織内ポジションを自動ラベリングする仕組みを導入する。少数エキスパートに支えられている技術か、初学者が多く中間層が薄い技術か。「組織の技術に対する状態がどうかを常に可視化していく取り組みを始めます」と高坂氏は述べた。

 AIとデータによって、エンジニア組織の見えていなかった課題を次々と照らし出している。最後に高坂氏は「自分たちでやってよかったことをお客様に届けていくというサイクルを回しています。今日の取り組みに興味を持っていただいた方は、ぜひセゾンテクノロジーに声をかけていただければと思います」と呼びかけた。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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川又 眞(カワマタ シン)

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