AIへの信頼が変える「コンバージョン4倍」の消費行動
フィンテック業界で10年以上の経験を持つ、ストライプジャパンの安部草平氏。AIを通じて商品を購入する「エージェンティックコマース」の登場によって、業界に大きな変化が起こりそうだと語る。
OpenAIが2025年9月に、ChatGPT内で購買を完結できるエージェンティックコマースを発表して以来、ストライプジャパンには多数のブランドから問い合わせが寄せられている。
この背景には、消費者行動の変化がある。自ら検索して情報を精査する作業を繰り返すのではなく、AIから提案されたものをそのまま購入するという消費行動が増えているのだ。
アメリカの調査によると、ECサイトでの購入の直前にAIからのアドバイスが入ると、コンバージョンが約4倍となる。世代全体の約50%、20代では約75%の消費者が「AIを使って商品を購入したい」と考えているデータもある。
こうした背景から、従来のインターネットコマースは、AIを活用したエージェンティックコマースへと置き換わっていくと考えられる。2030年までに、インターネット上の小売市場において750兆円規模まで成長するといった予測も出ている。
安部氏は「競争優位性を確保するために、AIを組み込まなければならないと考えるEC企業が急増している」と説明した。
新しい販売方法「エージェンティックコマース」の仕組みとは?
OpenAIが提唱するAIエージェントによるアクション機能の拡充は、ChatGPTとの対話から推奨された商品をその場でシームレスに購入できる環境を実現した。これは、エージェンティックコマースの仕組みである。

「顧客は商品を検索するのではなく、日常での問題を解決するためにAIに相談し、その対話の最後に必要な商品が提示されます。買いたいという意思が生まれた後に商品へたどり着くため、コンバージョンが高いのが特徴です」(安部氏)
こうした流れに対して、ストライプ社は「Agentic Commerce Protocol(ACP)」と「Shared Payment Token(SPT)」の二つの製品をリリースしている。
Agentic Commerce Protocol(ACP)は決済フローを標準化するプロトコルで、OpenAIとの共同でオープンソースとしてリリースされた。
一方のShared Payment Token(SPT)は、ChatGPT Plusに登録されているクレジットカード情報を、Eコマースの加盟店と安全に共有する技術である。不正対策として、販売者のプロファイルと購入者の信頼性を常に確認している。特定の加盟店・期間・金額に限定したワンタイムトークンで決済を行う制限を設けることで、この仕組みを実現した。


