SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2026 セッションレポート(AD)

決済の主役は人間からAIへ。ストライプジャパン安部氏が語る、急成長するAIエージェント経済の全貌

【19-A-5】急拡大するエージェントコマース・"新しい販売チャネル" への対応。2ヶ月で実装するMVP開発戦略

 AIが進化しながら人々の生活に浸透していることで、消費者の購買体験も大きく変化している。自分で調べたり広告を参考にしたりするのではなく、AIに相談してそのままAIのプラットフォーム上で購買まで完結する「エージェンティックコマース」が主流になりつつあるのだ。ストライプジャパン株式会社は、昨年、この新しい販売チャネルを実現するための技術の提供を開始し、多くのブランドから問い合わせを受けたという。同社ソリューションアーキテクトの安部草平氏が、エージェンティックコマースの仕組みとそれを支える技術について解説した。

AIへの信頼が変える「コンバージョン4倍」の消費行動

 フィンテック業界で10年以上の経験を持つ、ストライプジャパンの安部草平氏。AIを通じて商品を購入する「エージェンティックコマース」の登場によって、業界に大きな変化が起こりそうだと語る。

ストライプジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 安部 草平氏
ストライプジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 安部 草平氏

 OpenAIが2025年9月に、ChatGPT内で購買を完結できるエージェンティックコマースを発表して以来、ストライプジャパンには多数のブランドから問い合わせが寄せられている。

 この背景には、消費者行動の変化がある。自ら検索して情報を精査する作業を繰り返すのではなく、AIから提案されたものをそのまま購入するという消費行動が増えているのだ。

 アメリカの調査によると、ECサイトでの購入の直前にAIからのアドバイスが入ると、コンバージョンが約4倍となる。世代全体の約50%、20代では約75%の消費者が「AIを使って商品を購入したい」と考えているデータもある。

 こうした背景から、従来のインターネットコマースは、AIを活用したエージェンティックコマースへと置き換わっていくと考えられる。2030年までに、インターネット上の小売市場において750兆円規模まで成長するといった予測も出ている。

 安部氏は「競争優位性を確保するために、AIを組み込まなければならないと考えるEC企業が急増している」と説明した。

新しい販売方法「エージェンティックコマース」の仕組みとは?

 OpenAIが提唱するAIエージェントによるアクション機能の拡充は、ChatGPTとの対話から推奨された商品をその場でシームレスに購入できる環境を実現した。これは、エージェンティックコマースの仕組みである。

 「顧客は商品を検索するのではなく、日常での問題を解決するためにAIに相談し、その対話の最後に必要な商品が提示されます。買いたいという意思が生まれた後に商品へたどり着くため、コンバージョンが高いのが特徴です」(安部氏)

 こうした流れに対して、ストライプ社は「Agentic Commerce Protocol(ACP)」と「Shared Payment Token(SPT)」の二つの製品をリリースしている。

 Agentic Commerce Protocol(ACP)は決済フローを標準化するプロトコルで、OpenAIとの共同でオープンソースとしてリリースされた。

 一方のShared Payment Token(SPT)は、ChatGPT Plusに登録されているクレジットカード情報を、Eコマースの加盟店と安全に共有する技術である。不正対策として、販売者のプロファイルと購入者の信頼性を常に確認している。特定の加盟店・期間・金額に限定したワンタイムトークンで決済を行う制限を設けることで、この仕組みを実現した。

AIエージェント経由でも消費者体験は維持できるのか。事業者の懸念と対策

 エージェンティックコマースの導入にあたり、販売事業者からは主に4つの要望があるという。

 1つ目は、新しい販売チャネルへの積極的な参入だ。ChatGPTに限らず、Geminiなど他のプラットフォームも含めた新市場を掴みたいという意向である。しかし、ストライプの既存製品を使っても、実装には6~12か月ほどの期間を要することが課題である。

 2つ目に、AIエージェント経由でもブランドイメージを維持したいという要望だ。生成AI上で販売しながらも、単なる配送業者になるのではなく、自社のブランドイメージを確立したいという販売店が多い。

 3つ目は、顧客との関係維持である。ゲストとして流入する顧客に商品を売るだけではなく、ブランドのロイヤリティを高めたいという希望がある。

 4つ目は、不正対策への要望だ。AIエージェントのセキュリティや安全性に対し、依然として慎重な見方もある。

 販売事業者の要望の一方で、AIエージェント側(プラットフォーム側)からもさまざまな要望が挙がっている。「数千万の加盟店を一気に登録したい」「商品の責任やリスクは負いたくない」「決済成功率を高めたい」「管理の手間を軽減したい」といった要望が寄せられている。

 これらの要望を受けて、ストライプでは以下の領域に注力して製品開発を行っている。

 「これからは個人もAIエージェントを持つ時代です。ヒト対AIエージェントはもちろん、AIエージェント同士の取引にも関わっていきたい。AIエージェントが商品カタログに容易にアクセスできる環境を整えることも重要です。また、人間ではなくマシンが処理することを前提に製品を開発します。さらに、今後何倍にも決済ボリュームが増加するなかでも、不正が入り込まない仕組みの構築に注力しています」(安部氏)

 さらにストライプでは、AIエージェントの代わりに販売店の登録管理を行い、商品カタログや在庫情報の管理も担う。販売店側は、個別にAIエージェントの登録が不要で、不正対策も組み込まれた決済を利用できる。最終的には加盟店(販売店側)に顧客情報を渡し、ロイヤリティの向上にもつなげられる仕組みを目指している。

エージェンティックコマースを支援する新製品「ACS」とは

 こうしたストライプ社の志向をすべて具体化し、2026年1月にリリースされたのが「Agentic Commerce Suite(ACS)」である。ACSを導入することで、複数のAIエージェントを通じたエージェンティックコマースを実現できる。

 ユーザー体験自体は、先述のACPとSPTを利用した、ChatGPT上のエージェンティックコマースと同様だが、販売事業者とAIプラットフォームの要望をかなえつつ、複雑性を解消している点が大きな強みである。

 ACSを使えば、「最短1週間でセットアップを完了し、販売を開始できる」と安部氏は語る。

 利用手順は、まずStripeアカウントを作成して、税金を設定する。そして、Stripeに商品カタログデータをアップロードする。このデータは、API経由で商品が売れるたびにアップロードすることも可能だ。その後、注文のフルフィルメントを準備し、最後に商品を掲載したいAIチャットエージェントを有効化すれば完了する。

 安部氏は、実際にACSのダッシュボード画面を示しながらデモを行った。販売を行うAIエージェントの選択から、商品カタログのアップロードまで、わずか数十秒で完了する様子が披露された。

AIエージェント同士が取引する未来

 安部氏は、このエージェンティックコマースの普及により、AIエージェント同士の取引や決済が爆発的に増えると見込んでいる。

 「買い手にも、そして売り手にもAIエージェントがたくさん存在し、その間をACPを通じて取引する世界を想定して製品の開発を進めています」(安部氏)

 この予測に合わせて、ストライプ社は「Machine Payment」というAPIをリリース。人やカードを介在せず、AIエージェントのみで決済を完結する仕組みを実現している。

 具体的には、売り手が決済を開始するために「PaymentIntent」を作成し、支払いを受け付ける仮想通貨ウォレットアドレスを提示。AIエージェント「OpenClaw」はその送金先を判別し、自身が自由に使えるUSDCを送金し、決済が完了するという流れだ。

 「膨大な数のエージェントが自動的に売買を行う世界観において、既存の金融ネットワークでは処理ができない状況も想定される。当社ではTempoというペイメントに特化したL1のブロックチェーンを開始しており、秒間10万決済を処理できる設計となっています。この取り組みは、AIエージェント経済の進化を力強く促進する取り組みです。」(安部氏)

 日本国内の状況を見ると、エージェンティックコマースの導入に本格着手している企業は、安部氏が相談を受けている範囲ではまだ1割程度に留まっている。しかし「すでに担当者レベルで具体的な実装を進めている企業があるのは事実」とし、販売事業者は早期の準備が望ましいと強調した。

 具体的には、古い決済システムからの移行や、ChatGPTからの流入を購買へつなげる施策から着手する企業が多い。

 「これから1~2年で、エージェンティックコマースは一気に進化すると思います。エージェンティックコマースの導入を検討されている方は、ぜひお声掛けいただければと思います」(安部氏)

ストライプジャパン株式会社からのお知らせ

 本セッションでご紹介したサービスにご興味を持たれた方は、ぜひ公式サイトをご覧ください。

この記事は参考になりましたか?

提供:ストライプジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/23519 2026/04/23 11:00

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング