アウトプットが景色を変える——「あなたに相談したい」が社内で生まれる理由
「成長につながったコミュニティからの学びは?」というテーマに対して、両者が共通して語ったのがアウトプットの重要性だ。
藤本氏はバウチャーを取得した後、「受けたらLT(ライトニングトーク)してね」とコミュニティメンバーに声をかけられた。まだ試験の勉強も始めていない段階だったが、「私でいいなら」という感覚で承諾した。それが勉強のエンジンになり、試験に合格してLTも無事に果たすことができた。「ちょっとしたきっかけで発信できる機会を得ることがあって、コミュニティの中で小さな成功体験を積み重ねたことで、『私が発信してもいいんだ』という感覚が育った」。その感覚は会社の中での発信力にもつながり、現在は2023年Jagu'e'rアワード大賞を受賞するまでに至っている。
加藤氏も6年目以降、コミュニティでアウトプットする機会を重ねながら社内での発信や自主的な勉強会の企画が増えた。そして直近の変化として印象的なエピソードを紹介した。
「登壇前日、全く話したことのない別部署の方から『AIについて発信されているのを見て、ちょっと相談させてください』とチャットが来た」。アウトプットを続けることの価値は知識の定着だけではない。「こういう人なんだ、だから相談してみたい」と思ってもらえるきっかけになるということが、アウトプットし続けることで気づいた学びだった。
黒須氏もみずほ銀行在籍時の経験を明かした。社外でアウトプットを続けていたところ、ある日内線がかかってきた。取ったら副頭取だったという。「お前か」と呼ばれ部屋に来るよう言われると、「俺、応援してやる」という言葉をもらった。副頭取のお墨付きを持つことで社内のコンセンサス形成が格段にスムーズになった、という実体験だ。コミュニティでのアウトプットが、社内という意外な場所で大きな推進力に転じた事例である。
コミュニティから得た学びを組織変革につなげることについても議論が深まった。藤本氏はコミュニティ参加の楽しさを社内に広めようと努力しているが、定期的に来てくれる人はなかなか増えないと率直に話した。
続く人と続かない人の差として気づいたのは、「自分がJagu'e'rを続けられたのは、始めたタイミングでちょうどBigQueryを業務で使いたいと思っていたから」という仕事との文脈の一致だ。「種まきはたくさんしておいていい。タイミングが来たらよろしくね、という感じで」という言葉に、組織へのコミュニティ普及の本質が凝縮されている。
