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企業システムでも使われるウィジェット技術
第1回 「IBM共通のウィジェット技術iWidget」

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混沌とするウィジェット仕様

 ウィジェットの仕様がいくつも存在するといっても、実際どのようなものがあるのか、代表的なものをご紹介しておきます。

表1 代表的ウィジェット仕様
仕様名 中心企業/団体 タイプ 備考
Googleガジェット Google ブラウザ/
デスクトップ
圧倒数のウィジェットがGoogleガジェットサイトのディレクトリに登録されている。利用場所はWebブラウザだけではなく、デスクトップでも利用されている。これに対応したWebサイトのフレームワークが多いほか、ブログパーツとしても簡単に配置できる。新旧2種類のAPIがある。
OpenSocial OpenSocial.org ブラウザ ウィジェットだけの仕様ではない。特にウィジェットまわりはGoogleガジェットの新APIを利用している。対応しているソーシャルネットワークサービスのサイトが多い。
Googleデスクトップガジェット Google デスクトップ Googleデスクトップで動作するウィジェット。
Windows Vistaサイドバーガジェット Microsoft デスクトップ Windows Vistaが提供する標準機能。
Dashboardウィジェット Apple デスクトップ MAC OS Xが提供する標準機能。
Yahoo!ウィジェット Yahoo! デスクトップ
W3Cウィジェット W3C デスクトップ/
モバイル
標準化中のウィジェット仕様。ウェブ標準化団体のW3Cが取り組んでいることで注目を浴びています。少なくとも現在はデスクトップやモバイルが主フォーカスとなっているようです。
ブログパーツ なし ブラウザ 数行のHTMLコードをコピーペーストするだけでコンテンツをWebページに埋め込むことができるものの総称。
OpenAjax Metadata OpenAjax Alliance ブラウザ/
デスクトップ
Ajax系技術の標準化を行っている団体で策定中の標準仕様。IBMが考案したiWidget仕様がベース。

 いかがでしょうか? 類似した目的をもっているにも関わらず、仕様は整理されているどころか、多種多様で混沌としていることがご理解いただけたのではないでしょうか。

IBMが取り組むウィジェット関連技術

 さて、ここからはIBMで取り組んでいるウィジェット技術についてご紹介します。

iWidget仕様

 前述の通り、ウィジェットの標準仕様の策定は様々な形ですすんでいるものの、まだまだ足並みが揃うというには遠い状況です。一方、多種多様なソフトウェアにおいて何らかのユーザー・インターフェースを提供するのが当たり前になってきています。ソフトウェアベンダーでもあるIBMも例外ではなく、いち早く製品間で共通のコンポーネント化仕様に統一することによって、多くの相乗効果を望むことができます。この共通仕様はユーザー・インターフェースを提供するあらゆる製品で利用できることが望ましいです。そこに求められるのは軽量であること、そしてプラットフォームを選ばないことです。こうしてソフトウェア、ハードウェアを問わず、組織横断的に様々な視点からの要求を集約して作り上げたIBMのコンポーネント仕様がiWidget仕様です。iWidgetによってもたらされる効果は前述のウィジェットとしての一般的な効果に加えて下記があげられます。

  • 複数製品間での部品の共有や相互乗り入れの容易性:企業システム、コンシューマー向けサービスを問わず、つなぎこみたい機能は多岐にわたることが想定されます。iWidgetという共通軸をもつことで、相互にフロント機能を統合・連携することが可能なだけでなく、同じスキルで複数の製品を拡張することもできます。
  • これまで企業向けシステムで培ったウィジェット間連携のノウハウの踏襲:画面を構成するウィジェット間が連携することによってより生産性の高いユーザー・インターフェースを実現できることは、IBMがこれまでにブラウザベース、クライアントアプリケーション型のいずれでも実証してきたことです。こうしたアプリケーションを総称してコンポジット・アプリケーションとも呼んでいます。詳しくは こちら「生産性を向上させるコンポジット・アプリケーション」も参照ください。
  • 図5 コンポジット・アプリケーション
    図5 コンポジット・アプリケーション
  • 他仕様への対応の容易性:ウィジェット仕様間のアダプタ(ラッパー)を開発しさえすれば、異なる仕様に基づいた資産も再利用しやすくなります。現在の混沌とした状況の中からまた新しい仕様が生まれる可能性もあります。その時でも柔軟に対応ができるわけです。実際、IBMでは、iWidgetをポートレット(JSR168/JSR286)として配置するアダプタや、GoogleガジェットをiWidgetとして配置するアダプタを提供することで、既存の投資を守り、かつ外部のコンテンツも取り込める仕組みを提供しています。
  • 図6 仕様間の相互乗り入れ
    図6 仕様間の相互乗り入れ

 iWidget仕様は現時点ではまだIBMが自社標準として策定したものにすぎません。しかし、より多くの方に利用いただきやすくなるよう、OpenAjax Allianceという標準化団体にこのiWidget仕様を業界標準仕様のベースとして提案し、現在OpenAjax Metadataとして標準化活動が進行中です。詳細や標準化の最新の状況については下記サイトにてご覧いただけます。

Dojo Toolkit

 見栄えもよく操作性も高いWebユーザー・インターフェースをより簡単に作るために利用できるオープンソースのJavaScriptライブラリの1つです。Webブラウザ間の非互換を抽象化するだけでなく、使いやすいGUI部品や国際化など、企業アプリケーションでの利用に耐える十分な機能を備えているものです。IBMはではこのプロジェクトに積極的に投資・参加するだけでなく、標準Webフレームワークの1つとして多くの製品で採用しています。以降、解説するiWidgetフレームワークでもDojo Toolkitを活用しています。

セキュア・マッシュアップ

 IBMではウィジェット仕様だけでなく、ウィジェットにおけるセキュリティについても力を入れて取り組んでおります。こちらについて、本連載の第2回で取り上げる予定です。

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iWidget仕様

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この記事の著者

森谷 直哉(モリタニ ナオヤ)

 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 エバンジェリスト。 2002年頃よりパーベイシブ・コンピューティング分野(音声、モバイル、etc.)のソフトウェア製品の技術支援に従事。ここ数年はEclipseベースのリッチ・クライアント・テクノロジーであり、Notes8のベース技術ともなっているLotus Expeditorを中心にLotusブランドにてテクニカル・セールスとして活動。2008年からはIBM Mashup Centerという新製品でエンタープ...

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https://codezine.jp/article/detail/4542 2009/11/02 14:00

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