はじめに
単体テストを作成する場合に最も簡単にテストを作成できるのは、テスト対象メソッドの中だけで必要な全ての処理を行って戻り値を得られるようなメソッドを扱う場合です。.NET Frameworkで標準的に用意されているライブラリ以外を利用せず、外部のファイルやレジストリなどのリソースにアクセスせず、他プロセスやネットワーク越しのサービスなども利用せずというメソッドをテストするのであれば、非常に簡単にテストを作成して実行できます。
もう1つ、テストを実行する際に外部の環境に依存しないという点も、テストのしやすさにとっては大切なポイントです。ライブラリクラスであれば、単体テストは実行しやすいですが、WindowsアプリケーションのイベントハンドラやASP.NET上で動作するページ内での処理などはテストがしにくい典型例でしょう。
今回はこれらの中からデータベース操作を伴う単体テストの実行方法と、ASP.NETを利用した単体テストの実行方法について紹介していきます。
対象読者
- .NET Frameworkを利用した開発プロジェクトに携わっている方
- Visual Studioの単体テスト機能に興味がある方
必要な環境と準備
本稿で解説する内容を実際に試す場合には以下のいずれかのソフトウェアが必要になります。
- Visual Studio 2010 Professional Edition
- Visual Studio 2010 Premium Edition
- Visual Studio 2010 Ultimate Edition
まだ環境がなく、製品版も所持していない場合には、Visual Studio 2010 Professional Editionの評価版をダウンロードして試すことができます。Premium Editionの評価版は用意されていませんが、これらを包含したUltimate Editionの評価版はダウンロードすることができます。それぞれのダウンロードページにはダウンロード手順やインストール手順についての記載がありますので内容を確認のうえ、作業を行ってください。
また、既にService Pack 1が提供されているので、こちらも適用しておくことをお勧めします。Service Pack 1のインストーラーもダウンロードして入手することができます。
次に本稿で利用するソリューションとプロジェクトです。実際に作業を行う場合には、本稿に付属の「事前のサンプルファイル(CodeZine-Test-05_before.zip)」をダウンロードし、任意の場所に解凍しておいてください。なお、本稿の内容をすべて実施したものを「作業後のサンプルファイル(CodeZine-Test-05_after.zip)」として用意してあります。作業結果を確認したい場合にはこちらのファイルを解凍したものをご覧ください。