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ソフトウェアを「正しく作る」vs「作らない」どっちが正解?
サーバーワークス大石氏、ギルドワークス市谷氏対談

CodeZine スーパー対談 シリーズ 第2回

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2014/07/30 14:00

目次

越境し、コミュニティ化していく会社と個人

鍋島 ► お二人は、どんな人と一緒に働きたいと思っていますか。これからのエンジニアに必要なスキルセット、マインドセットとはなにか。何を目指しているような人に来て欲しいか、というところをお聞かせいただければと。

大石 ► サーバーワークスでは「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンを打ち出しています。その言葉にビビッと、ちょっとでも引っかかってれることが大前提にあります。僕たちは、クラウドというユニークな、非常に面白いテクノロジーの最前線にいるので、マインドセットとしては、お客さんにクラウド技術を届けることに楽しみを感じられることですね。で、具体的なスキルセットでいうと、プレゼンテーションスキル大事だと思います。毎週金曜日に、社内でプレゼンの練習会をやってるんですよ。エンジニア2人に10分間LT(ライトニングトーク)してもらって、社員が甲乙つけるんです。

岩切 ► 当社でもやってみたい。

大石 ► どっちが良かったか投票するんです。で、プレゼンの様子をSlack(チーム向けのコミュニケーションツール)で、リアルタイムにフィードバックするんですよ。「君ね、ちょっとスライド見過ぎだよ」とか「体揺れてる」とか「あ、噛んだ噛んだ!」「滑った!」とか(笑)。フィードバックを受けると、どんな人でも1年やれば必ずプレゼンがうまくなるんですよ。それは、お客さんにクラウドの価値を正しく伝える能力、例えば、今AWSでどういうことが出来ますといった説明をする能力を伸ばすことにつながってくるんです。当社でスキルベースとなるインフラの知識も必要ですが、加えてプレゼンテーション能力もすごく大事だと思っていて、組織的にコミットしたいですね。

鍋島 ► クラウドへの愛と、その愛を表現するプレゼンテーション能力。みなさんがエバンジェリストですね。市谷さんはどうですか。

市谷 ► 一言でいうとアウトローなんでしょうね。越境しようとする人と一緒にやっていきたいと思っています。ソフトウェアを作るには、チームと、チームの中にいる個があって、それを取り巻く環境と一緒にプロジェクトがあって、プロジェクトを取り巻くプロダクトがあり、さらにビジネス的な要素があると思うんですね。チームの枠の中でやれることをやろうということもできるけど、ここを越えていった時に、別の今まで出せていなかった値打ちが見つかってくると思うんです。プロジェクトとプロダクトの境を越えた時に、本当にクライアントのことを思ったら、プロダクトのことを思ったら、このプロジェクトをやめたほうがいいという判断になると思うんです。クライアント側に立った判断ですね。そういう境を越えられる人であればいいし、それ以前に境を越えようと思っている人とならば、きっと一緒にやっていけるんじゃないかなと思います。

おもむろにペンを取り出し、越境する開発について図示する市谷氏
おもむろにペンを取り出し、越境する開発について図示する市谷氏

 

岩切 ► アウトローになる覚悟がある。

大石 ► うちの会社は、辞めても戻ってくる人がとにかく多いんですよ。

岩切 ► 素敵な話ですね。

大石 ► 会社にはやっぱり壁があって、越えたら戻ってくるな!みたいな(笑)。そんな感じかなと思うのですが。いったん会社を辞めて、外のことを分かって戻ってきた人が、実は本当にパフォーマンスを発揮してくれたりするんですよ。そういう人と会社の関係の方がいいんだろうなと。もっと言うと、会社の外側の垣根が壊れ始めているように思います。コミュニティですよね、会社って。

岩切 ► そうなった背景には、インターネットの発達というのがすごく大きいのではないでしょうか。

市谷 ► 僕も、インターネットがあったからこそ、物理的な境界を越えることができ、そこにコミュニティ的なものが生まれて、その延長にこういう会社があるということを実感します。

鍋島 ► 越境し、人と人とがつながることで、できないことができるようになる。コミュニティ的だなと感じました。

岩切 ► 生まれるべくして生まれた、今風のエンタープライズの会社って感じですね(笑)。

これからのエンジニアに求められる姿勢とは

左:大石氏、中:岩切、右:市谷氏
「正しく作る」「作らない」に共通して大事なことは、アウトカムが上がるよう作る/作らないを見極める力と、会社の枠を越えることだった

 

岩切 ► 最後に、CodeZineの読者に向けて一言お願いします。

大石 ► ITエンジニアの仕事は、1人力以上の力を発揮できるところが魅力です。例えばソフトウェアの世界では、1人が書いたものを100万人が使ったり、インフラの世界でも1人が作業するだけでサーバーが1000台立ち上がったり。今まで1人力しかレバレッジがかからなかったのが、クラウドの世界だと100人力1000人力かかるようになる。そんな世界では、自分の力をどこに振り向けるかが、いっそう大事になってくると思うんですね。ITには、Facebookの心理実験(ニュースフィードを操作しての感情操作実験)のような怖い面もあるけれど、僕達が震災直後に日本赤十字社さんでできたような、いい側面もある(3・11の震災直後にアクセスが殺到した日本赤十字社のサイトに対し、サーバーワークスではAWS導入の支援を行った)。

 そんな時代に、会社の殻に閉じこもったり、偏狭なところにいると、変な方向に行っちゃったりする可能性があります。コミュニティに参加したり、色んな人の話を聞いたりして、視野広く持ち、自分のスキルをどこに使ったら一番世の中のためになるだろうか、自分の未来のためになるんだろうかと考えながら、自分のエンジニアライフを組み立ててもらえると、みんなハッピーになるんじゃないかなと思います。

市谷 ► 境目を越えていこうじゃないかという話をしましたが、実際にはそんな簡単な話じゃないと思います。なので、次に言う話はどうやって越境するか考えるきっかけとして聞いてください。

 今、目の前で取り組んでいる開発について、やり方、作っているものが本当にこれでいいのかを問うていただきたい。もっと具体的に言うと、明日銀行に行って1000万円か2000万円借りてきて、今作っているシステムを、自分の名義、自分の投資でやると考えてみていただきたい。すると、どこかしらノーがあると思います。「こんなやり方じゃやらないっす」とか、「これ作ってるけど意味ないと思ってるんです」とか。だったらそれをやめようよ、ということが越境の第一歩だと思います。どんな作り方だったら自分もコミットメントするか、やってやろうじゃないかと思えるのか。そこを原動力にして、境目を越えていけたらいいなと思います。僕もどこかの境目でうろちょろしています。境目で出会えたら、一緒に次の境目に向かいましょう。

岩切 ► お二人から、本当にいいお話が聞けました。本日はありがとうございました。



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著者プロフィール

  • 近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

    株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の...

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