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テスト自動化研究会の『システムテスト自動化 標準ガイド』を15倍あなたの力にする話

翻訳メンバーが明かす ~ テスト自動化研究会が『システムテスト自動化 標準ガイド』を翻訳・刊行した理由

テスト自動化研究会の『システムテスト自動化 標準ガイド』を15倍あなたの力にする話 第0回(プロローグ)

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テスト自動化研究会の発足はモバイルの普及が背景に

―― テスト自動化研究会はどんなきっかけで誕生したのですか?

松木晋祐氏(以下、松木) 誕生のベースとなったのは、ソフトウェアテスト技術者交流会(TEF)というテストエンジニアのコミュニティでした。コミュニティの中には、テストの設計や分析、マネジメントが得意な人がいれば、プログラミング技術をもってテストを自動化するシステムを作る人、ツールを使うのが好きな人など、いろんなスキルを持つ方々がいました。また、それぞれの得意分野・スキルごとにクラスタのようなものが形成されていました。

松木晋祐氏
松木晋祐 氏(まつきしんすけ) 独立系ソフトウェアベンダの品質番長(Global QA Head)。ソフトウェアを楽しくつくるためのハックな品質開発を生業とする。Webとモバイルが特に好物。http://snsk.net/

 

 テスト自動化研究会の立ち上げは2012年なのですが、当時は「テストの自動化」という言葉が何となく流通し始めたころでした。そうした流れの中で「ちょっと腰を据えて勉強してみようか」という話が持ち上がったので、私が幹事となって、テスト自動化研究会を立ち上げました。「みんなで勉強しませんか」と声をかけたら、たくさんの人が集まってくださいました。

 参加への声がけは、ソフトウェアテスト技術者交流会の中だけでなく、Twitterでも行いました。当時はTwitterで業界の人たちがつながっていましたから、Twitterのほうが反応が大きかったですね。

太田健一郎氏(以下、太田) TEFの中で、自動化もやっている人というのは特定できているというか、頭の中に部分集合として思い浮かべることができました。自動化まで手がけている方は少数派だったので。テスト自動化研究会も立ち上げ当初のメンバーは、ソフトウェアテストの自動化はサブタスクという方が大半でした。伊藤さん[1]は毛色が違って、自動化を専門にやっている感じでしたが。

太田健一郎氏
太田健一郎 氏(おおたけんいちろう) 大手SIer およびWebサービス会社にてツール開発、自動テスト、自動ビルドの導入などを経験。現在、株式会社SHIFTにてCIやテスト自動化の導入、コンサルティング、トレーニングを担当。

 

松木 太田さんがおっしゃったように、立ち上げ時はいわゆるテストコミュニティだったんですけど、吉村さんをはじめとする開発者の方や、伊藤さんや玉川さん[2]のようにツールを使いこなしている方が「私のスキルの売り方はテスト自動化だわ」と気付いて合流されたというケースもありました。

―― 2012年の設立当時はどんな時代でしたか?

松木 iOSとAndroidがすっかり普及して、Android向けの自動テストツールなどがちょいちょい出始めたころですね。モバイルの自動化フレームワークが出始めたころで、Seleniumはすでにありました。

 テスト自動化研究会は毎回、テストツールなどのデモを必ずやっているんですが、2012年3月に開いた研究会キックオフでは「Android Native Driver」という、Android向けのテスト自動化ツールのデモを行いました。

 大きなうねりとして、モバイルテストの自動化が起こり始めた時期でした。開発サイクルが急に、めちゃめちゃ短くなったんです。開発現場では、テストフェーズがどうしてもボトルネックと思われがちなので、そこへのシンプルなソリューションとして自動テストが求められていたように思います。

[1] 『システムテスト自動化 標準ガイド』の第12章を執筆した伊藤 望氏。

[2] 『システムテスト自動化 標準ガイド』の第13章を執筆した玉川紘子氏。

困難なシステムテストに挑む姿勢に惹かれて参加したメンバーも

―― 皆さんがテスト自動化研究会に参加された動機は何でしたか?

鈴木一裕氏(以下、鈴木) 私はSI企業におりますが、テストの自動化を特に重要視する文化ではありませんでした。しかし、Web系企業の方たちの話を聞いているうち、自分の知識が不足していることやエッジではないことを痛感したんです。「しっかり追っかけていかなければならない」と思い、テスト自動化研究会に参加しました。

 ここにいらっしゃる方は皆さん、凄いスキルをお持ちで、私はついていけないのですが、とても刺激を受けます。自分たちの文化の中に浸っていては危険だと思っている自分にとって、この刺激は本当に価値があります。

鈴木一裕氏
鈴木一裕 氏(すずきかずひろ) エンプラ系システムやインフラ機器系組み込みソフトのテスト・品質管理に従事。テスト技術と、あえてExcelが趣味。「探索的テスト研究会」主宰。http://blog.livedoor.jp/prjmng/

 

永田 敦氏(以下、永田) アジャイル開発などを行うのに、テスト自動化は必須の技術要素です。ただ、これまではテスト自動化といっても、ユニットテストや結合テストレベルで止まっていました。

 しかし、テスト自動化研究会が取り組んでいるのは、その先のシステムテストです。システムテストは一番難しくなかなかできていない。そこをやっていくわけですから、かなりチャレンジな取り組みです。私は参加当時、もうテストの自動化をやっていなかったんですが、そこに惹かれて入りました。

 テスト自動化研究会が注目されているのも、困難にチャレンジしているからこそです。松木さんが立ち上げられた方向性は合っているわけで、我々はそれを進めていかなくてはならない。私自身はテスト実施する前段階、つまり設計をどうするかに焦点を当てて、この活動に寄与したいと思っています。

永田 敦氏
永田 敦 氏(ながたあつし) 組み込みおよび業務用システムのQA部門で、今はもっぱら品質改善活動を行っている。リスクベースドテスト、アジャイルインスペクションを経て、今はアジャイルテスティング、そしてアジャイルRCAに夢中。

 

太田 私は大学時代からソフトウェアの自動テストのデザインパターンを研究していました。また、参加するタイミングで、玉川さんが在席するソフトウェアテストを主業務とする会社に移ったこともあり、テスト自動化研究会は主な活動フィールドとなりました。(ここでセッション準備のため太田さんは退席)

吉村好廣氏(以下、吉村) 以前から、ソフトウェアだけでなくハードウェアのテストもやっていました。最近はソフトウェアを開発しながら、テストをどうやるかをいろいろといろんな現場で試行錯誤しています。そうした経験が役に立てばと思って、テスト自動化研究会に参加しました。

吉村好廣氏
吉村好廣 氏(よしむらよしひろ) フリーランス。テストをキーワードにプロジェクトを渡り歩いているが、テストだけにこだわらず、上流工程からプログラミングやDBチューニング、インフラ構築まで手掛けるマルチタレント。

 

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原著者本人に会って直接翻訳を許可してもらった

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この記事の著者

市古 明典(編集部)(イチゴ アキノリ)

CodeZine編集部3年目の44歳。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より現職。9月から翌年2月まではNFL観戦のため、常時寝不足。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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