C++でもAndroidアプリが開発できる
Windows以外のOS向けアプリケーションは開発できることはわかったが、気になるのはワンプロジェクトでマルチデバイスに対応した開発環境を構築できるかということ。「もちろん、そういう構成を作ることは可能だ」と高橋氏。MVVM(Model-View-ViewModel)設計手法を取り入れるのである。UIとビジネスロジックを分け、ビジネスロジック部分を共通コンポーネント化するのだ。その共通のビジネスロジック部分はPCL(ポータブル・クラス・ライブラリ)を使用して開発する。後のUIの部分はネイティブ用に作るという構成にする方法が、現在の理想的なパターンである。「UIの部分はMVVMをつかってキレイに分けておくと、今後の展開が楽になるので、覚えておいてほしい」と高橋氏は念を押す。
次に紹介したのはCordovaを使ったクラスプラットフォーム開発の方法について。Cordovaも、iOSやAndroid、Windowsすべてに対応した開発環境で、HTMLとJavaScriptというWebテクノロジーを使って、ハイブリッドアプリケーションが開発できる。ブラウザアプリはWebViewで、それをラッピングすることでネイティブアプリケーションになる。ストアへの公開もできるので、ストアからのアプリ配付や課金が可能になる。「Webアプリの技術者しかいない場合でも、この方法を使えば既存技術でネイティブアプリが作れるのでぜひ試してほしい」と高橋氏は語る。またWebViewを使ったブラウザアプリはGPSやカメラのような端末のネイティブ機能についても、使うことができるという。実際に、どのように開発するかデモを実施する高橋氏。
さらにVisual Studioのいいところを高橋氏は披露。例えば、コーディングの自動補完システム「IntelliSense」だ。これを使えば入力候補を教えてくれ、タイプミスなどの間違いがあれば教えてくれる。その他、パネルを使って簡単に色指定できる様子などを画面で紹介した。「Visual Studioを使うと開発者のスキルがどんどん落ちる」と笑いを誘うことも忘れなかった。
最後に紹介したのが、C++を使ってAndroidネイティブを開発する方法だ。「これは前CEOだと絶対実現しなかった環境」だと高橋氏は強調する。Visual Studioの環境の中にオープンソースのコンパイラを組み込むことで、Androidの開発環境を実現している。
「C++の技術者は日本にたくさんいる。その人たちにとってC++でAndroidアプリを開発できるのは、非常に大きなニュースだと思う。ぜひ、一度、試してほしい」と高橋氏は次のように言葉をつなぎ、セッションを締めた。
「最新情報については4月29日から米サンフランシスコで開催されるBuild 2015で発表されるはず。またその内容を受けて、日本人向けの最新情報を伝える場としてde:codeの開催を予定している。開催は5月26日~27日。現在、参加を受付している。次回はde:codeでお会いしましょう」
de:code
インフラ技術者、開発者をはじめ、ITに携わるすべてのエンジニアのための技術コンファレンス
- 公式サイト
- 開催日程:2015年5月26、27日
- 場所:ザ・プリンス パークタワー東京