課題解決の本質とは
ところで、僕らはあくまでもサービスを提供している側ですし、あくまでもビジネスをしているものを担当している側になりますので、ビジネスゴールとユーザーゴールの一致が僕らに求められていることになります。そのためには、日々ユーザー視点の感覚を持ち続ける必要があります。具体的には、「ユーザー(ニーズ)」「サービス(企画)」「エンジニアリング(開発)」を三位一体としてサービスを提供していきます。
僕たちは、「これらの三位一体でユーザーを中心としてどのようなサービスを提供していくのか」をとても大事にしています。簡単にいうと「ハートを生み出したい」というふうに考えています。具体的には「満足度を上げる」とか「使ってよかったな」ということですね。これをいろんな数字(KPI)につながっていきます。
誰もが困っていた問題を解決したケチャップ
Webサービスとは関係ないんですけれども、課題解決ということで僕が大好きな事例を紹介しましょう。
ケチャップって残り少なくなると、なかなか口まで落ちてきませんよね。仕方なく容器を振ってやると、思わぬところに「べとっ」て出たっていう経験は誰しもお持ちじゃないでしょうか。これを課題ととらえたあるメーカーが、単純に今まであったケチャップを逆さまにした。そうすることによって「ポン、ポン」って容器の後ろを叩かなくても、残り少ないケチャップがすぐ出るようになった。僕はこの事例が大好きなんです。
僕らが担当しているWebサービスにも課題はいっぱいあります。それを日々解決していくことがサービスの成長につながっていくわけです。グロースハック的にいえば、どうやってサービスの使い勝手を上げるのか、ユーザーを気持ちよくさせるのかということを真剣に考えようということです。
地下鉄の自動販売機の売上を向上させた意外な施策
突然ですが、ここでみなさんにクイズです。ユーザー視点に立って考えてみてください。
クイズ
あなたは地下鉄の会社から雇われたコンサルタントです。「どうにかして地下鉄にある自動販売機の売上を上げてくれないか」とクライアント様(地下鉄の会社)から依頼を受けました。あなたならどうしますか?
正解は1つとは限りませんが、ここでは「IDEO」という米国のデザインコンサルティング会社が実際に行った打ち手を正解とします。
それは「自販機に時計を付ける」です。
ユーザー心理を考えると、「飲み物を買っているうちに電車を逃したくない」という不安や、「電車の待ち時間が暇」という不便が想像されます。そこで「時間を心配せず安心して飲み物を買えて、待ち時間を充実させられる」ということを考え、それを「自動販売機に時計を付ける」という打ち手に変えていったわけです。この施策は実行され、自動販売機の売上は本当に高まったそうです。
これも先ほどの逆さケチャップと同様、ユーザー視点に立って考えて施策が成果に結びついた事例といえるでしょう。けっこう単純ですけれど、僕が好きな事例の1つです。
グロースハックは、サービスの設計からユーザー中心で始めなければ確かな効果は現れません。みなさんにはユーザーの気持ちになってサービスを設計していただきたいと思います。
ストレスフリーを追求している
あくまで僕の考え方の1つですけれども、Webサイトの設計に対しては「ストレスフリー」という考え方を持っています。要は気持ちいいとか楽とか、そういうことです。
速い(speedy)という価値は単純で分かりやすいんですけど、どんなサービスなのか分かりやすくて(simple)、使い勝手(ユーザビリティ)の基本となるものはちゃんとしており(smooth)、自分が利用したくなる(fun)ということはすごい重要です。
特にfun(楽しい)は重要ですね。やっぱりワクワクしたいじゃないですか。使うならやっぱり楽しく使いたい。ちょっとした楽しみといったエッセンスですね。そういうものを提供できればなあと日々考えて、Webサイトを設計しています。