カジュアルにIoTを楽しむ
前述のようにIoTといっても、それを構成する機器および通信コストの考え方は産業ごとに千差万別です。では、もっとも気軽にカジュアルにIoTを楽しむには、これから何が必要かをみていきましょう。
前述の「私たちと機器をつなぐデータ通信規格」では、ご家庭における通信環境を整理しました。賢明な読者の方であれば、ここで「あれ?」と気づかれていたかもしれませんが、カジュアルにIoTを楽しむヒントがここに隠されていました。それは「もしも、無線LANルーターがBluetooth対応していたなら……」というところです。
本稿でご説明したとおり、私たちが普段使いするセンサデバイスのほとんどすべてがBluetoothに対応しています。しかし、私たちが使う無線LANルーターには「まだ」柔軟にBluetoothデバイスと通信する機能が備わっていません(図7)。
しかし、さらに賢明な読者の皆さまであれば「そんなに簡単なことじゃない」とご理解いただけるでしょう。仮に無線LANルーターがBluetooth対応したとして、すべてのBluetoothデバイスと連携しつつインターネット上のサービスへデータ通信できるわけではないのです。
ちょうど1年前、筆者は『IoTの市場性と、IoTを取り巻く最新技術動向』を書き上げた段階で、いずれ出てくるであろう「Bluetooth対応の無線LANルーター」を注意深くリサーチしていました。似たような概念のモノや、Bluetooth/Wi-Fiゲートウェイと呼ばれる製品は確かに存在はしているのですが、日本国内のご家庭において普段使いできるような製品は、残念ながらまだ出てきていません。
そこでもう一つ生まれたアイデアが、図8のカジュアルにIoTを楽しむために必要なデバイスの整理です。
BluetoothとWi-Fiに対応したデバイスは、なにもIoTゲートウェイやスマートフォンだけではありません。私たちの身近なところには、すでにBluetoothとWi-Fiに対応して独自アプリケーションを開発できる環境があるのです。それは、Apple社のiPod TouchやiPad、Androidタブレット、これからリリースされるMicrosoft社のWindows 10端末、UbuntuやFirefoxなど新興系の端末やタブレットなど、実にたくさんの機器があふれているではありませんか。
図3(現在入手可能なBluetooth対応センサーおよびBluetooth/Wi-Fi対応端末の例)でご紹介したスティック型Android端末は、国内の技術基準適合証明を受けていませんが価格帯は1万円を切り、その他SIMフリーのスマートフォンでも1万円付近まで価格の下落が見られます。
近い将来、これら安価なBluetooth/Wi-Fi対応端末を介して、カジュアルにIoTを楽しむアプリケーションやセンサーデバイスが多数出てきてくれるならば、なんと世界は楽しいだろうと思うばかりです(一人の個人として)。
最後に、IoTに取り組もうとする企業に必要とされる心構えについて、M2Mなどの先行事例から解説していきましょう。


