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『コピックで描こう!』で多彩なテクニックを披露した人気作家4名にQ&A――コピックを使い始めたきっかけは?

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2015/08/07 11:00

 デジタルイラストとはまた違う魅力を持つアナログイラスト。多々ある画材の中でもカラーマーカー「コピック」には人を惹きつける強い力があります。今回、翔泳社から8月3日に刊行した『コピックで描こう!』の著者である人気コピック作家4名に、気になる疑問について訊いてみました。

 発色のよさや色数の多さから、イラスト用の画材として人気の高いカラーマーカー「コピック」。そんなコピックによるアナログイラストの描き方を解説した『コピックで描こう! カラーイラスト上達メイキング』が、8月3日(月)に翔泳社から刊行されました。

 著者はみなさん素敵なイラストを描かれている人気の若手コピック作家4名。今回、刊行を記念して、コピックとの出会いやイラスト制作環境についてQ&Aでお話をうかがいました。

コピック公式サイトはこちら
 コピックは株式会社Tooの登録商標です

著者のみなさん(敬称略)

ことりはな(Chapter1 担当)

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りーりん(Chapter2 担当)

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mrk(Chapter3 担当)

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新堂みやび(Chapter4 担当)

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コピックを使うようになったきっかけ

――このたびはイラストのメイキング、ありがとうございました。今もアナログイラスト画材として根強い人気のあるコピックですが、みなさんがコピックを使うようになったきっかけは何でしたか?

ことりはな:私は学生のとき所属していた美術部の備品の中にコピックがあったのがきっかけです。はじめて買ったのは5色で、RV21、Y06、YG06、BG01、E02でした。

りーりん:私の場合、以前はデジタル(CG)でイラストを描いていたのですが、あるときpixivを見ていてCGだと思ったものがコピックで描かれていたものだと知って衝撃を受けて、それがきっかけでコピックをメインで使うようになりました。

mrk:中学3年生のとき、友人に借りて使用したのがきっかけです。でも、もともとはモノクロイラストが中心で……コピックは好きだったのですが、最初はうまく塗れずに塗っては挫折を繰り返していました。

新堂みやび:小学生のころ、大好きだった絵描きさんが使われていた画材だったからです。それで誕生日のプレゼントに買ってもらって、確かR11、R59、Y15、G85、B45、E00かE21あたりだったと思います(今思うと渋い色ばっかりですね……)。

100色以上あるコピックの収納は?

――みなさん小中学生のころから使われているのですね。現在お持ちのコピックは全部で何色くらいですか?

ことりはな:スケッチが38色、チャオが70色です。チャオから集めはじめたので比較的チャオの方が多いです。 単純に色が好きなパステルカラー系ものから選んでいました。あまりいろんな色を試さなかったのもあって、買い始めて3年目くらいで50色、最近になって100色以上になりました。

りーりん:チャオが約60色、スケッチが約100色です。コピックを初めて買ったのは中学1年生のときでしたが、本格的に使うようになって、一気に買い揃えるようになったのは2年前くらいからです。

mrk:インクのなくなったものも合わせると現在200本ほどで、実際に使えるのは130色くらいです。スケッチ2割、チャオ8割です。前は30~40色ほどしか持っていませんでしたが、ここ3年で塗り方がなんとなく固まってきて、一気に数が増えました。

新堂みやび:現在スケッチが約200色、チャオが24色です。中学生のころに、この色より薄い色がほしい、濃い色がほしいというのを番号順に少しずつお小遣いで買っていったり、家族と出かけたときに買ってもらったりして集めました。ほしいものはいつも画材だったので、わりとすぐ集まったと思います。

――100色以上をお持ちとのことで、コピックの収納や分類・整理はどうされていますか?

ことりはな:100均の引き出しのケースに、色の系統ごとに分けてしまっています。

保管(ことりはな)

りーりん:100円ショップのペン立てに、赤やピンク系・黄色やオレンジ茶色などの暖色系・緑や青の寒色系など、色の系統ごとに分けて入れています。

保管(りーりん)

mrk:収納の仕方にこだわりは特になく、大きな箱に縦に詰め込んでいるだけです。ただ、肌を塗る時に使う色や同系色はなんとなく固めて入れています。

新堂みやび:赤、青、緑、くらいのおおまかなくくりで、コピックの専用ケースに入れています。最近はバリオスインクも揃えているので、そちらは昔に使っていた大きい入れ物に入れてます。

保管(新堂みやび)

デジタルとアナログの違いとは?

――りーりんさんと新堂みやびさんは、デジタル(CG)でのイラスト制作もされている(されていた)そうですね。

りーりん:以前はデジタルで描いていたことがありますが、デジタルとアナログで差を感じるのは距離感です。私はわりと手元で描いている感覚がほしかったので、アナログの方が向いていたんだと思います。デジタルのつるっとした感じも魅力的ですが、アナログでは毎回インクの滲み方や質感が違ってくるので、そこも面白いところです。

新堂みやび:児童書のカットは、初めてお受けしたのがデジタルだったので、今も変わらずデジタル絵で入稿してます。ただ、フルCGは苦手で、線画は手描き、ベタ塗りとグラデーションくらいしか使わないシンプルなものです。

 デジタルの絵を見るのは大好きだし、描くのも楽しいんですけど、描き心地や長時間画面を見ながら描き込むのに慣れなくて、今までに何回かデジタルへの切り替えを悩んだ時期もあったのですが、やっぱり自分が描くのはアナログがしっくりくるなぁと思い続けてここまで来てしまいました。

イラスト1枚にかける時間について

――アイデア出しから完成まで、だいたいどれくらいの時間でイラスト1枚を仕上げますか?

ことりはな:イラストの密度にもよりますが、10時間~20時間くらいです。 ラフ~下描きまでが1~3時間、ペン入れは1~2時間、色塗りが5時間~くらいです。

りーりん:描き込みにもよりますが、トータルだと5時間~20時間くらいだと思います。今日は肌と髪を塗ろう、今日は服を終わらせよう、今日は背景を終わらせようといった感じで、日を分けて1日2~3時間くらいずつ描いています。

mrk:絵によって本当にまちまちなのですが、だいたい2~3週間くらいかけます。1か月以上かかったイラストもあります。その間ずっと描いているというわけではないのですが、時間はたっぷりとかけるほうです。

 目と髪は特に時間をかけて塗っています。紙の大きさなどにもよりますが目は約30分~1時間、髪も長さによりますが2時間以上はかけています。納得がいくまで重ねてはぼかしての繰り返しで、なかなか終わらないですね……。

新堂みやび:最近Twitterで「マヨナカドローイング」という連作をやっていて、クリームケント紙に直接カラー芯のシャーペンで下描き→マルチライナーでペン入れをしてからコピックで塗っているのですが、これくらいだと1時間半~2時間くらいかなと思います。

 一番時間がかかるのは案出し(兼下描き)で、そこで30分~1時間かかることがありました。ラフが仕上がれば平均30分程で仕上がっていたと思います。ただ、濃い色のグラデーションのものは色を少しずつ重ねて暗くしていくので、少し時間がかかりますね。

コピックと組み合わせる画材は?

――本書のメイキング中でもいくつか登場していますが、コピックとよく組み合わせて使っている画材を教えてください。

ことりはな:水彩色鉛筆と、ホワイトのボールペンです。 水彩色鉛筆は柔らかい表現になることと、コピックに溶けて変わった色合いになるところが好きで使っています。ペンと違って色が落ち着いているものが多いので、暖かい表現向きだなぁと思います。

 ホワイトペンは仕上げの際に使っています。ホワイトが入るだけでイラストにぐっと光が入るので好きです。

りーりん:ポスターカラー、水彩絵具、色鉛筆です。 絵具は最後にホワイトの代わりに使います。白だけではなくて黄色や水色などを混ぜて使うこともあります。 色鉛筆は植物の質感を出したり、線画を上からなぞって少し線画に色を加えるのに使っています。

mrk:コピックマルチライナーのセピア(0.03)を線画に使っています。元々はブラックを使用していましたが、セピアの方が柔らかい印象に仕上がるので今はセピアで描いています。筆圧が強いので細めのペンを使用することが多いです。

 紙はマルマンスケッチブックです。以前は100均で売っている画用紙に塗っていたのですが、マルマンのスケッチブックの方がコピックの発色が良かったので。インクをたっぷりと吸ってくれるので何度も重ね塗りする自分には適していると思います。

 目のハイライトやはみ出し部分の修正などにはミスノン(修正液)を使用しています。筆などで伸ばすと下の色が透けるので、レースを描くときなどにも重宝しています。

新堂みやび:カラーインク(主線)、色鉛筆(質感の足し)、アクリルガッシュ(白金銀銅。白、金が一番使用頻度が高いです。白は雲を描くときや光の表現に使います)、パステル(遠景の表現の際に使うことがあります)、ボールペンなど、だいたい一通り使ってみてる気がします。

 最近はコピックで描いた人物やモチーフに、背景や背景の一部をアクリルガッシュのベタ塗りと合わすのも楽しくて好きです。

今の塗り方に至るまで

――今回メイキングではみなさんそれぞれに特徴的な塗り方を解説していただきました。今の塗り方になるまでに変化や変遷などはあったのでしょうか?

ことりはな:最初のころは色混ぜや、つやの入れ方など何もわからずに塗っていたので今とは全く違う塗り方でした。いろんなものを見たり参考にしながら今の塗り方になったかなぁと思います。今のような絵柄、塗り方になったのはここ2~3年くらいです。

りーりん:もともとデジタルメインで描いていたこともあり、以前はもっとぱきっとした塗りで、グラデーションもほとんど作っていませんでした。 その後コピックを使って描かれた他の方のイラストを多く見るようにしました。この部分はどういうふうに塗っているのだろう、何色を使っているのだろうと思ったりして、見よう見まねで練習しました。いろいろ描いているうちに今の塗り方に定着したように感じます。

mrk:特に人物はだいぶ変わったと思います。以前はデジタルの塗りを意識していました。肌の影にグレーを加えたり頬を塗らなかったりなど冷たい印象の塗りだったんじゃないかと。そのころはそれが自分の流行でした。それから今の塗りに至るまでに色んなものに影響を受け、今の塗り方になりました。これからも変化していくんじゃないかと思います。

新堂みやび:特に紙や線画は色々と試しながら変えてきています。最初のころは主にバロンケント紙に混色をせずに描いていて、主線はHI-TECのカーキやオリーブを使って、デフォルメの強いジグザグした線で描いていました。その後、HI-TECのカーキとオリーブが廃盤になってしまったり、もっと質感のある絵が描きたいと思ったりで、紙をワトソン紙、主線をマルチライナーセピアに変えました。色の混色をしたいと思い出したのも同時期です。

 さらに後で、主線をもっとさらさら引きたいと思って、カラーインクとつけペンを使い始めました。紙はワトソン紙の滲みがとても好きだったのですが、インクが古いとインク溜まりができてしまったり、コピックのニブの消耗も激しいので、今はマットサンダースで描いています。

人気作家のお気に入り作品は?

――Pixivやサイトなどにアップされているコピックイラストのうち、とくにお気に入りの1作を教えてください。

ことりはな:「いっしょに行こう」です。

 この男の子と女の子の春のイラストが気に入っています。構図や春っぽいモチーフ、服のデザインなど一つ一つかき出しながら悩んで描いたイラストなのでとても思い入れの深いイラストです。

りーりん:pixivに載せている「そらをつかむ少女」というイラストが気に入っています。

mrk:「好きなもの」です。

 文字通り自分の好きなものを詰め込んだ一枚です。今までで一番時間がかかった作品で、特に思い入れがあります。

新堂みやび:悩みますが、電撃大賞で受賞させていただいたオリジナルの絵です。凄く絵に悩んでいた時期で、今自分が描きたいもの、今描けるものを目一杯詰め込もうと描いた絵でした。そんな中描いた絵で評価をいただけて、とても救われたので……。この絵があったので、今も頑張らなくちゃと思えています。

コピックの魅力を発見するきっかけに

――最後に、本書の読者やコピックが好きなみなさんへ、一言お願いいたします。

ことりはな:本書のメイキングを見て少しでも参考にしていただけたり、発見があったらとても嬉しいです。そしてイラストをみて、幸せな気持ちになってくだされば本望です。

りーりん:まだまだ拙い点も多くありますが、コピックの魅力に気づいていただいたり、コピックで絵を描いてみたいという気持ちを持っていただくきっかけになれたら嬉しいです。

mrk:私自身もみなさんの洗練されたイラストのメイキングを拝見して、色々と勉強させていただきました。同じ画材でも人によって使い方も見え方も全然違ってそれぞれの個性が満載! という印象ですごくおもしろくて、素敵でした。

 どういう風に塗ったらいいのか分からない方、すでに独自の塗りをしている方など、手に取ってくださる方はさまざまだとは思いますが、コピックに興味のある方ならきっと楽しんでいただける1冊だと思います。

新堂みやび:この本を読んで少しでもコピックって面白そうだなと思った初めての方は、まずは好きな色を数本買ってみて下さい。それで日々のちょっとした絵に、少し色をつけるだけでも楽しいです。

 長年コピックを使われている方は、同士です! 一緒に頑張りましょう! コピック今は使ってないわ……と言う方、よかったらまたそっと使ってみて下さい。新しい楽しさや発見があるかもしれません……! というわけで、皆でコピック使ってみようぜー! とお伝えしたいと思います。

コミックマーケット88でも販売!

 本書『コピックで描こう! カラーイラスト上達メイキング』は、8月14日(金)~16日(日)に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット88でも販売されます。ブースは西館アトリウム 「トゥールズ」、東4ホール「アイシー」の2か所です(ともに画材店)。

 お買い上げの方には会場限定の購入特典をプレゼント。今年の夏コミに参加される方はぜひお立ち寄りください!

日時:2015年8月14日(金)~8月16(日) コミックマーケット88開催期間
場所:東京ビッグサイト
ブース:西館アトリウム 「トゥールズ」
    東4ホール 「アイシー」

コピックで描こう!

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コピックで描こう!
カラーイラスト上達メイキング

著者:ことりはな、りーりん、mrk、新堂みやび
出版社:翔泳社
発売日:2015年8月3日
定価:1,680円(税別)

目次

  • Chapter1 メイキング:ことりはな 淡いトーンの柔らかい色彩
  • Chapter2 メイキング:りーりん 重ね塗りでつくる色彩表現
  • Chapter3 メイキング:mrk 小物や装飾の質感表現
  • Chapter4 メイキング:新堂みやび ぼかしを生かしてファンタジックに

 



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著者プロフィール

  • 渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

     翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

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