翔泳社では5月19日に子どもたちがプログラミングの考え方を楽しみながら学べる『ルビィのぼうけん』を刊行しました。プログラミングはただ仕事をこなすためだけの道具ではなく、この世界の物事を理解し、課題を見つけて解決する考え方にも繋がります。ぜひ本書で、プログラミング教育に触れてみてください。
『ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング』は、フィンランドのプログラマーであり作家のリンダ・リウカスさんがKickstarterで資金を集め制作した、子どもたちがプログラミングの考え方=「プログラマー的思考法」を学ぶための絵本です。特定のプログラミング言語やコードの文法などは出てこず、問題の見つけ方や取り組み方、解決方法などプログラミングの根底に流れる基礎の考え方を紹介しています。
プログラミングは、少なくともその初歩は21世紀の教養となりつつあります。学校教育でもプログラミングを取り入れられ、我が子や身近な子どもたちにプログラミングを教えたいと思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、ただでさえ教えることがたくさんある学校の先生にこれ以上の役割を負ってもらうのは現実的ではなく、また幼少期にプログラミング教育を受けてこなかった私たちのような大人が小さな子どもたちに教えるのはなかなか難しくもあります。
そんなときにこそ、本書を子どもたちに読んであげてほしいのです。プログラミングは遊び心に満ちていること、自由な発想で自分のやりたいことを表現できること、そしてなにより楽しいということを、物語を通して伝えてあげてください。
本書には読み進めて考え方を学ぶだけでなく、実際に創造力を使いながら問題を解いていくパートも豊富に用意されています。AIやIoTなどさまざまな技術に囲まれたこれからの時代を生きていく子どもたちにとっての大切な道具が、本書には詰まっています。


リンダ・リウカスさんについて

リンダ・リウカスさんはフィンランドのヘルシンキ出身のプログラマーであり、作家であり、イラストレーターです。2013年にRuby Heroを贈られ、現在はフィンランドのデジタル・チャンピオンを務めています。
※Ruby HeroはRubyのコミュニティで最も注目に値する賞。デジタル・チャンピオンは欧州各国で任命される、デジタルな社会問題を担当する大使のこと。
本書の原著である『Hello Ruby』はKickstarterで約4万ドルを集め、3年をかけて制作されました。刊行後も大反響を呼び、各国で翻訳されています。今回、日本でも邦訳を刊行することができました。
彼女はまた、Rails Girlsの創立者でもあります。Rails Girlsは若い女性にプログラミングの基礎を教えることを使命にし、160を超える都市でボランティアによるワークショップを開催してきました。これまで10,000 人以上の女性がプログラミングの基礎を教わりました。
プログラミングは21世紀の教養であり、人々がプログラミングの初歩を扱う必要性が差し迫っている、と彼女は信じています。私たちの生きる現代が、ますますソフトウェアによって動かされるようになっていますが、彼女はそのソフトウェアには多様性が欠けていると感じています。
この多様性の欠如を克服するために、彼女は子どもたちにプログラミングを教えようと決意したのです。すべての子どもたちがプログラミングに出会えば、その創造力が多様性を生み出すに違いないと信じているからです。『ルビィのぼうけん』は、リンダさんの想いの結晶なのです。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)
翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です