ASP.NET Coreの起動設定
それでは、ASP.NET Coreアプリケーションを実行してみましょう。まず、起動前にアプリケーション起動設定を[プロジェクト]-[プロパティ]から確認しておきましょう。
GUIで設定した内容は、「launchSettings.json」に反映されます。ここでは「IIS Express(IISExpressコマンド)」と「AspNetCoreSample(Projectコマンド)」が設定されています。
ASP.NET Coreのデプロイ環境名
ASP.NET Coreでは環境名として「Development」「Staging」「Production」の3つが予約されています。この設定を「launchSettings.json」の「ASPNETCORE_ENVIRONMENT」環境変数に設定します。
これにより、コード中でIHostingEnvironmentクラスを用いて、例えばIsDevelopmentメソッドで環境名で判定することで、エラーページを制御したり、特別なCSSに差し替えることができます。
if (env.IsDevelopment()) { app.UseDeveloperExceptionPage(); app.UseBrowserLink(); } else { app.UseExceptionHandler("/Home/Error"); }
ASP.NET Coreアプリケーション(Kestrel)の起動
それでは[AspNetCoreSample(プロジェクト名)]にて[ビルド実行(F5キー)]をクリックします。そうすると、ブラウザにスタート画面が表示されます(Kestrelの起動よりブラウザ起動が速い場合があるため、エラー時はリロードします)。設定したポート番号(http://localhost:5000)にてKestrelが起動していることがわかります。
IISで起動する場合
次に[IIS Express]にて[ビルド実行(F5キー)]をクリックします。先ほどと同じ内容がブラウザに表示されます。この場合、IIS Expressが一旦リクエストを受けた後、プロキシとしてKestrelサーバーに処理を渡しています。
この挙動を確認するには、タスクマネージャの詳細タブでコマンドライン列を表示して、IIS Expressとdotnetコマンドを確認します。IIS Expressとdotnetコマンドの引数やプロセスIDを把握できます。
Kestrelがどのポートで起動しているかは、「netstat -nao」コマンドとプロセスIDでフィルタで調査できます。
なお、IISが起動しているKestrelサーバーに直接ブラウザでアクセスしても認証情報が足りないため「IISIntegration.IISMiddleware:Error: MS-ASPNETCORE-TOKEN does not match」というエラーが発生し、ページは表示されません。
「.NET Framework」と「.NET Core」の挙動の違い
前編にてご説明した通り、ASP.NET Coreでは、「.NET Framework」または「.NET Core」のどちらかが選択できるようになりました。ビルド実行した際のブラウザ表示は同じですが、以下の出力ログを見ると、読み込まれている物理ファイルが異なることがわかります。
.NET Frameworkの場合、アセンブリをGAC「C:\Windows\Microsoft.NET\assembly」や(配置先の構成を意識して同梱する)Binフォルダから読みこんでいます。
'AspNetCoreFx.exe' (CLR v4.0.30319: AspNetCoreFx.exe): 'C:\WINDOWS\Microsoft.Net\assembly\GAC_MSIL\System.Xml.XDocument\v4.0_4.0.0.0__b03f5f7f11d50a3a\System.Xml.XDocument.dll' が読み込まれました。 'AspNetCoreFx.exe' (CLR v4.0.30319: AspNetCoreFx.exe): 'C:\CodeZine\AspNetCoreFx\bin\Debug\net461\win7-x64\Microsoft.AspNetCore.Mvc.dll' が読み込まれました。
.NET Coreでは、.NET Coreのインストールフォルダ「C:\Program Files\dotnet\shared\Microsoft.NETCore.App\」や現ユーザーのフォルダ「C:\Users\<ユーザー名>\.nuget\packages\」フォルダから読みこんでいることがわかります。
'dotnet.exe' (CoreCLR: clrhost): 'C:\Program Files\dotnet\shared\Microsoft.NETCore.App\1.0.0\System.Xml.XDocument.dll' が読み込まれました。 'dotnet.exe' (CoreCLR: clrhost): 'C:\Users\aoki\.nuget\packages\Microsoft.AspNetCore.Mvc\1.0.0\lib\netstandard1.6\Microsoft.AspNetCore.Mvc.dll' が読み込まれました。
このような仕組により、.NET Coreでは、必要なコードとproject.jsonを配置することで、依存ライブラリをダウンロードしWebアプリケーションを動かす仕組みが備わっていることがわかります。
最後に
以上、本稿ではASP.NET Coreの依存ファイルの解決方法、新しいツール、実行時の挙動等について紹介してきました。次回は、生成されたASP.NET Coreのコードの内容についてご紹介します。
参考資料
- Visual Studio - Web 開発用最新ツール: Grunt と Gulp(MSDN マガジン)
- ASP.NET Core 1.0の概要を整理する(ryuichi111stdさん)
- ASP.NET MVC 6 Tag Helper について(miso_soup3 Blog)
- ASP.NET Core で作成した Web API のドキュメントを Swagger を使って生成する(t-koyamaさん)
- ASP.NET Core アプリを Ubuntu サーバーで公開(creativewebjpさん)