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Android Studio 2で始めるアプリ開発入門

Androidアプリでのバックグラウンド処理と通知機能

Android Studio 2で始めるアプリ開発入門 第13回


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サービス(2)

サービスの起動

 最後に、手順4.として、アクティビティからサービスを起動する処理を記述します。これは再生ボタンをタップした時の処理なので、onPlayButtonClick()メソッドに記述します。SoundStartActivityにonPlayButtonClick()メソッドを追記してください。

リスト5 SoundStartActivityのonPlayButtonClick()メソッドの追加
public void onPlayButtonClick(View view) {
    Intent intent = new Intent(SoundStartActivity.this, SoundManageService.class);  // (1)
    startService(intent);  // (2)
    Button btPlay = (Button) findViewById(R.id.btPlay);  // (3)
    Button btStop = (Button) findViewById(R.id.btStop);  // (3)
    btPlay.setEnabled(false);  // (3)
    btStop.setEnabled(true);  // (3)
}

 サービスの起動は、アクティビティの起動とほぼ同じです。

 まず、Intentクラスをnewします。それが(1)です。その際、第2引数としてActivity起動の場合はActivityクラスを指定しましたが、Serviceでは同様にServiceクラスを指定します。その上で、startService()メソッドを実行します。それが(2)です。引数として(1)でnewしたIntentオブジェクトを渡します。

 なお、(3)はサービスの二重起動を防ぐため、再生ボタンを押せないように変更し、同時に停止ボタンを有効にしています。

 この状態で、一度アプリを再起動してみてください。再生ボタンをタップすると、メディアが再生されます。再生中にバックボタンを押すとアクティビティが終了しますが、その状態でもメディアの再生は続くことが確認できます。

サービスの停止

 では次に、停止ボタンの実装に移りましょう。

 今回、メディア再生をサービス上で行っているので、アクティビティから直接メディア再生を操作できません。そこで、メディア再生の停止は、サービスの終了で代替します。停止ボタンタップ時の処理であるonStopButtonClick()メソッドを追記してください。

リスト6 SoundStartActivityのonStopButtonClick()メソッドの追加
 public void onStopButtonClick(View view) {
    Intent intent = new Intent(SoundStartActivity.this, SoundManageService.class);
    stopService(intent);  // (1)
    Button btPlay = (Button) findViewById(R.id.btPlay);
    Button btStop = (Button) findViewById(R.id.btStop);
    btPlay.setEnabled(true);  // (2)
    btStop.setEnabled(false);  // (2)
 }

 onPlayButtonClick()メソッドとの違いは、(1)と(2)です。

 サービスの停止は、stopService()メソッドを使います。これが、(1)です。この時、引数として渡すIntentオブジェクトはonPlayButtonClick()と同様に作ります

 なお、(2)は再生ボタンと停止ボタンの使用可・不可の入れ替えを行っています

 この状態で、一度アプリを再起動してみてください。無事、停止ボタンが機能することが確認できるでしょう。

ノーティフィケーション

 以上で、バックグラウンドでメディア再生が無事行えるようになりました。ただ、アクティビティを終了させた状態で再生が終了した際に、本当に終了したのか、何か不具合でもあったのかわかりません。これは、サービスが画面を持たないからです。そこで、活躍するのがノーティフィケーション(通知)です。

ノーティフィケーションとは

 ノーティフィケーション(通知)とは、ホーム画面の通知エリアに表示する機能です。

図3 通知エリアに表示されたアイコン
図3 通知エリアに表示されたアイコン

 ホーム画面の一番左上、ステータスバーの左側にアイコンが表示されています。ステータスバーのこの領域が通知エリアであり、ノーティフィケーション機能を使うと、ここにアイコンを表示することができます。さらに、ステータスバーをホールドしたまま下へスライドすると、以下のように通知ドロワーが表示されます。

図4 通知ドロワーに表示されたメッセージ
図4 通知ドロワーに表示されたメッセージ

ノーティフィケーションの実装

 では、再生が終了した際に上記のように、通知エリアにアイコンが、通知ドロワーにメッセージが表示されるように改造していきましょう。

 再生が終了したときなので、PlayerCompletionListenerのonCompletion()メソッドに追記します。

リスト7 onCompletion()メソッドに処理を追加
public void onCompletion(MediaPlayer mp) {
    NotificationCompat.Builder builder = new NotificationCompat.Builder(SoundManageService.this);  // (1)
    builder.setSmallIcon(android.R.drawable.ic_dialog_info);  // (2)
    builder.setContentTitle("再生終了");  // (3)
    builder.setContentText("音声ファイルの再生が終了しました");  // (4)
    Notification notification = builder.build();  // (5)
    NotificationManager manager = (NotificationManager) getSystemService(Context.NOTIFICATION_SERVICE);  // (6)
    manager.notify(0, notification);  // (7)
    
    stopSelf();  // (8)
}

 (8)はもともと記述されていたものです。

 通知(Notification)を出すには、以下の手順を取ります。

 まず、Notificationを作成するBuilderクラスをnewします。それが(1)です。その際、引数としてコンテキストを渡します。Activity同様ServiceクラスもContextクラスの子クラスなので、SoundManageService.thisという記述でコンテキストとして指定できます。

 生成したBuilderには少なくとも3種の設定を行う必要があります。それが、(2)~(4)です。

 (2)で通知エリアに表示されるアイコンを設定します。ここでは、Android SDKがもともと用意してある「i」のアイコンを使用しています。

 (3)で通知ドロワーでの表示タイトル、(4)で同じく表示メッセージを設定します。

 設定が済んだところで、BuilderからNotificationオブジェクトを生成します。それが(5)です。

 生成したNotificationを通知エリアに表示させるには、NotificationManagerクラスを使います。それを取得しているのが(6)です。これは、getSystemService()メソッドを使います。このメソッドは、ActivityやServiceの親クラスであるContextクラスににあるメソッドで、OSレベル(システムレベル)で提供している各種サービスのオブジェクトを取得するメソッドです。引数としては、Contextクラスの定数を使い、サービス名を指定します。ここでは、通知機能であるNOTIFICATION_SERVICEを指定します。ただし、このメソッドの戻り値はObject型なので、NotificationManagerにキャストする必要があります。getSystemService()メソッドの引数としてどのような定数があるのか、それらの戻り値がどのような型なのかはAPI仕様書を参照してください。

 最後に、通知します。これが(7)です。これは、NotificationManagerのnotify()メソッドを使用します。引数は2個で、第2引数に(5)で生成したNotificationオブジェクトを渡します。第1引数はこのNotificationを識別するための番号で、アプリ内で一意になるように設計します。ここでは、0を指定しています。

 この状態で、アプリを再起動し、再生ボタンをタップし、その後アクティビティも終了させてください。メディア再生が終了したら、通知エリアに図3のようなアイコンが表示されます。また、ステータスバーを下にスライドさせると、通知ドロワーに図4のメッセージが表示されています。

次のページ
ノーティフィケーションからのアクティビティ起動

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook<個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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