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及川卓也氏と語ろう! イノベーティブなサービスを生み出すクラウド活用(AD)

BtoBスタートアップの一番の課題を解決!? フィンテック企業「MF KESSAI」がIBMと組む理由とは

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 家計簿アプリなどを提供するFinTech企業、マネーフォワードは2017年6月に、企業間後払い決済サービスを提供する「MF KESSAI」という子会社を新たに発表した。ITベンダーであるIBMは、MF KESSAIを始めとするスタートアップに対して、ビジネスおよびテクノロジー面で支援しているという。スタートアップが成長していくための課題とは何か。またスタートアップが生き残るための条件とは。MF KESSAI 代表取締役の冨山直道氏、日本IBM ソフトウェア事業本部カスタマーサクセス担当 取締役兼執行役員の荒川朋美氏、マイクロソフトやGoogleなどを経て、現在はフリーランスとしてさまざまな企業の技術支援をしている及川卓也氏が対談を行った。

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スモールチームで開発された新しい金融サービス「MF KESSAI」

――「MF KESSAI」はどのようなサービスでしょうか。

冨山直道氏(以下、冨山) MF KESSAIは、マネーフォワードが初めて発表した子会社です。マネーフォワードは、BtoC向けの家計簿のサービス、BtoB向けのバックオフィス業務の効率化を支援するサービスを提供しています。これら2つのサービスの基盤となる技術はアカウントアグリゲーション。これにより、銀行やクレジットカードなどWeb上にある電子データを取得し、家計簿作成や会計の帳簿付けの自動化を実現しています。これまでマネーフォワードは、個人や企業のお金の流れの見える化や、企業のバックオフィスの効率化の実現に貢献してきました。こうした中、さらに一歩踏み込んで企業のお金の課題を解決するために「MF KESSAI」というサービスを開始しました。

MF KESSAI 代表取締役 冨山直道氏
MF KESSAI 代表取締役 冨山直道氏

 MF KESSAIは、取引データを入力するだけで、請求書の発行から売上金の回収まで行うことができる、新たな企業間後払い決済サービスです。これまでの請求業務の課題として、請求業務が非効率なことと資金繰りの難しさがありました。日本の商習慣は、サービス・商品を提供した後に入金される後払いを基本としているため、商品提供後に資金が回収できないという不安がつきまとっていたのです。MF KESSAIは請求業務の効率化と共に、回収リスクを防ぐようなサービスとなっています。簡単にいうと、クレジットカードがなくてもクレジットカード同様に、すぐに審査結果が出て入金が行われるという形のサービスです。

 マネーフォワードの子会社としてサービス提供しているのは、マネーフォワードの代表取締役社長である辻の「スモールチームの方が事業を伸ばしやすい」という考えからです。MF KESSAIは金融サービスで、運営企業である私たちがリスクを負ってリターンを追求するビジネスのため、マネーフォワードのこれまでのビジネスとは特性が異なります。

 マネーフォワードとはオフィスも技術環境も分けていて、まだメンバーは10人ほどです。チームの平均年齢が若いことも特徴です。しかし、不安はありませんでした。新しい金融サービスを作っていくためには前提知識がない方がよいという見方もあります。一方でまだ新しいサービスなので、サービスを開始する際には、マネーフォワードの経営陣などともしっかりと相談をしながら進めてきました。

――荒川さんと冨山さんはどんなきっかけで出会ったのでしょうか。

荒川朋美氏(以下、荒川) 私は、昨年まで日本アイ・ビー・エムのデジタル・セールス事業を担当しておりました。この事業の最大のミッションは、お客様の企業規模、業種にかかわりなく、全てのお客様にIBMのテクノロジーをご活用いただくようにすることです。事業の中には開発者をご支援するチームもあり、開発者の方々のお困りの事やチャレンジを伺いながらご支援いたします。

 その一貫で、そのチームのグローバルのリーダーとともに、MF KESSAI様 冨山社長とCTOの方をご訪問したのがきっかけです。MF KESSAI様はさまざまな新しいテクノロジーをお使いで、急速に成長されているので、お困りの事がないかご相談に伺いました。現在担当している事業にも密接に関係しておりますので、引き続きお付き合いさせていただいております。

日本IBM ソフトウェア事業本部カスタマーサクセス担当 取締役兼執行役員 荒川朋美氏
日本IBM ソフトウェア事業本部カスタマーサクセス担当 取締役兼執行役員 荒川朋美氏

金融業界はテクノロジーで解決できることが数多くある

――及川さんはFinTechサービスに対してどのような期待をお持ちですか?

及川卓也氏(以下、及川) 私はFinTechだけではなく、すべての業界においてテクノロジーで支援をしたいと考えています。ですが、私自身、これまで30年近いITでの経験がありますが、金融業界は最も遠い存在でした。むしろ避けていきたい分野でした(笑)。

フリーランス エンジニアリング・プロダクトアドバイザー 及川卓也氏
フリーランス エンジニアリング・プロダクトアドバイザー 及川卓也氏

 金融は私たちの経済活動を支えているにも関わらず、テクノロジーによる変革が起きておらず、健全化されていません。そこに問題意識を感じ、何か貢献したいと思ったのです。例えば、今の銀行の取引を支えている「全銀協規定フォーマット」という手順も、進歩はしているものの基本的なプロセスは何も変わっていません。また、日本ではクレジット決済の普及率が低いですが、技術で決済を楽にできるかもしれません。金融業界はテクノロジーで解決できることがまだまだあると思い、FinTechに注目しているのです。

 そのような金融業界に新しいビジネスモデルで入りこんでいくのは非常に大変だと思います。MF KESSAIは、それを若い人たちの力で実現したことに感嘆しています。新しいビジネスやサービスを企画し、それをマネタイズしようとする際、決済は非常に大事な要素となります。しかも簡単に決済できるものがなく、特に後払い決済についてはみんなが頭を悩ませている。その部分に切り込んでサービス提供しているところがすばらしいですね。

荒川 MF KESSAI様のビジネスモデルについて最初に聞いたとき「これはすごい、必ず伸びる」と率直に思いました。というのも、今はテクノロジーの組み込まれ方が変わってきているんです。今までITの世界に本物のエコシステムは存在していないと思っていたのですが、まさに今のテクノロジーは生態系(エコシステム)としてお互いが密接につながり、それが拡散していくことで一気に爆発していく時代。MF KESSAIはその一つの結合材また起爆剤として大きな可能性を持っているサービスだと思います。

 とてもいいサービスなので、IBMのお客様にも紹介して、ご活用いただいています。早い段階で冨山さんにお会いできたことが嬉しいですね。ご一緒に何ができるか考えることで、これから世界が広がっていくことに期待しています。

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変容についていけない企業は滅びる

及川 地球の歴史を見ても、環境の変化についていけない生物はみんな滅びています。銀行でも、最先端を行き変容を遂げているところは生き残り、そうではないところは沈んでいくしかないでしょうね。IT業界も従来までの強者のプラットフォーマーが構築したエコシステムではなく、本来のエコシステムに変わってきていると思います。

荒川 そうですね。今までのIT業界で言われてきたエコシステムは、ベンダーが欲のために広げたイメージがあったと思います。

及川 ですが、プラットフォームを離れたところでエコシステムができると、エコシステムも勝手に進化してきました。今こそ本当にIT業界のエコシステムができてきていると思うんです。

荒川 だからこそ、MF KESSAI様と当社が一緒になって世の中にご提供していける価値を考えていくことが、すごく重要だと思っています。これからのITのビジネスモデルの向かうべきところだと信じています。

及川 ユーザーにどんな価値を提供するかを考えないと生き残っていけないですからね。

冨山 マネーフォワードグループとしても、GoogleやFacebook、Amazonが進出できないサービスを考えていくことが、生き残るために必須だと考えています。当社の価値は、多くの個人や企業のお金の流れを見える化していること。それを活かして、大手企業ではコストパフォーマンスが悪くなかなか進出しない領域をターゲットにしたサービスを企画できることです。今後も、ユーザーに高い価値を提供していきたいと考えています。

IBMのスタートアップ支援のおかげでサービス開発に集中

――IBMは、スタートアップに対してどんな支援をしていますか?

荒川 すべての企業にIBMのテクノロジーをもっと使っていただきたいと思っているのですが、IBMにはどうも敷居が高い、親しみにくいイメージがあります。これを払拭したいという思いが私たちにはあります。

 昨年11月に、IBM Cloudライト・アカウントの発表をしたのもその一環です。スタートアップは、共にビジネスの成功を目指していく中で、ポテンシャルのある存在だと考えています。スタートアップへの技術的支援も、IBM BlueHubという革新的事業の創出を目指すプログラムで提供していきます。IBMのお客様を紹介したり、IBMのお客様を対象に、スタートアップのソリューションを紹介するセミナーを開催したりと、さまざまなプログラムを用意しています。

冨山 これまでIBMは、我々のようなベンチャーとお付き合いされないと思っていました。でも、サービスも安く使い始めることもできますし、スタートアップの支援も強力です。

 スタートアップがBtoBのビジネスを始める際、特に困るのが、企業に対してどのように営業していけばよいのか分からない点です。IBMは大手企業だけではなく、中堅企業に対してもつながりがあり、しかも、我々のようなベンチャーが何回も営業してようやくたどり着けるような方とのコネクションがあります。そのような方々に我々のサービスをご紹介いただけるのが、本当にありがたいですし、IBMとしての強さを感じるところです。

 IBMと連携することで、ビジネスのグロースとサービスの開発に力を注ぐことができるんです。ビジネスだけではなく、テクノロジーについても相談できる組織ができたのも、嬉しいですね。

開発者のお悩みを聞く「デベロッパー・アドボケイト」の誕生

――「テクノロジーについて相談できる組織」とはどのような組織でしょうか。

荒川 IBMでは、「デベロッパー・アドボケイト」というチームを昨年6月に立ち上げました。IBMのテクノロジーを使っていただくためには、エンジニアが日々何を考え、困っているかを把握することが大事だと考えたことが背景にあります。これまでのIBMは、製品、テクノロジーを売るための人材で構成されてきましたが、それではやっていけないと気付いたのです。

 そこで、世界10都市にデベロッパー・アドボケイトという組織を設置しました。同組織はグローバルチームとして動いており、お客様の問題に取り組む観点から、国境なくサポートしています。

及川 IBMにデベロッパー・アドボケイトのチームができたのはすごく良いですね。ユーザーニーズが多様化する中では、一つのソリューションだけ売っていればいいわけではありません。開発者と共に、一緒に切り開いて市場を作っていく、コ・クリエーションすることが大事になると思うからです。

 「当社のこの技術を使ってください」と自社の利益だけを考えるのではなく、市場そのものを拡げていく。今利用されている技術のパイをどれだけ奪うかではなく、市場を拡げることで、そのパイを10倍にも100倍にもできる。結果、IBMも成長できますからね。

誰も見つけていない領域を一歩ずつ切り開いていきたい

――及川さん、荒川さんは、MF KESSAIに対してどんな期待を抱いていますか?

及川 自分たちのやることに先駆者がいるとは思わないでほしい。過去のいろいろな経験を参考にしつつも、自分で考えて切り開いていくことに覚悟が必要です。そのような思いで進んでいただきたいと思います。

荒川 世界はフラット化しており、すべてのスタートアップに大きな可能性があると再認識していただきたいと思います。テクノロジーは大きな投資や設備を持たないと使えないものではなくなりました。量子コンピュータでさえ、クラウドから簡単に使うことができる時代となりました。

 水道の蛇口はそこにあり、ひねるかひねらないかは、ビジネスモデルを考えるビジネスリーダーが握っているということです。どんどんいろんなことにチャレンジしていただき、私たちはそれをご支援したい。経験を積み上げていくことが価値なので、価値を考えて、どうやって形にしていくのか。これからの時代のビジネスで一番面白いところではないでしょうか。

――冨山さんは、お二人の言葉を聞いていかがでしょうか。

冨山 金融×テクノロジーはやりがいのある分野です。一方で、業法やテクノロジーとの関係において、総合的に力も求められます。MF KESSAIは既存の金融機関が提供できていないところにサービスを提供していくことが一番の価値。その誰も見つけていない領域を一歩ずつ切り拓いていきたいですね。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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