インフラジスティックス・ジャパンは6月26日に会見を開き、アプリケーションデザインプラットフォーム「Indigo.Design(インディゴ・デザイン)」を7月19日から提供開始することを発表した。
同社代表取締役の東賢(あずま・けん)氏は、モダンアプリケーション開発を成功に導く要素として、まず次の3点を挙げた。
- 短期開発、継続的インテグレーション/デリバリーの実現(顧客のニーズに合わせた継続的なアプリケーションの提供)
- 開発フレームワークの積極的な活用
- 他者との差別化要因となるUI/UXを実現するデザイナー・デベロッパーの開発ワークフロー
特に、AI、ボット、IoT、DevOpsなど、さまざまな技術・考え方が台頭する中で、UIへのフォーカスは後回しになりがちで、最終結果としての画面がシンプルになってきている一方、ユーザーが直接見るのはUIであり、UIの出来がサービス品質の面で大きな差別化要因になりうる点を指摘した。
そこで、UIコンポーネント専業で約30年の実績があり、「Faster Paths to Amazing Experiences」というビジョンのもと、コンサルティングサービスなども手がけてきた同社が戦略的に打ち出した新製品が、今回の「Indigo.Design」だ。
画面デザインからプロトタイピング、コード生成までのワークフローをシームレスに融合し、モダンアプリケーションを迅速に構築できる環境を提供する。
Indigo.Designは、4つのコンポーネント「Indigo.Design Sketch UIキット」「Indigo.Design Cloud」「indigo.Designコードジェネレーター」「Ignite UI for Angular」で構成されている。
「Indigo.Design Sketch UIキット」は、ビジュアルデザイナーに慣れ親しまれている画面デザインツール「Sketch」のプラグインとして提供されるライブラリで、「Ignite UI for Angular(後述)」に対応したUIコンポーネント、UIパターン、あらかじめ定義された画面などの機能を提供する。
「Indigo.Design Cloud」では、Sketch UIで作成されたデザインをUXデザイナーがクラウドサービスにインポートし、インタラクションを設定したり、ユーザビリティテストを行ったりすることができる。
「Indigo.Designコードジェネレーター」は、Visual Studio Codeの拡張機能として提供されるもので、Indigo.Design Cloud上のプロトタイプからAngularアプリケーションのソースコードを自動生成する。
「Ignite UI for Angular」は、50種類以上のマテリアルデザインに対応したAngular UIコンポーネントで、エンタープライズ開発などで要求される高機能なグリッドやチャートなどを提供する。
このようにIndigo.Designは、アプリケーション開発に関わるビジュアルデザイナー、UXデザイナー、デベロッパーが、Sketch、Visual Studio Code、Angularといった、使い慣れたツールを利用しつつ、ユーザーエクスペリエンスの向上させるための密接な連携を可能にする。
米Infragisticsの開発ツール部門シニアバイスプレジデントのジェイソン・ベレス氏は、今回のようなツール構成をとった背景として、「デベロッパー、デザイナーはそれぞれのペルソナにあったお気に入りのツールを日々使っている」ことを挙げ、今後のアップデート計画としては、「UIライブラリの拡張」「Sketch用プラグインではない独自画面デザイナーの提供」「Indigo.DesignコードジェネレーターにおけるFlutter(GoogleのiOS/Android対応UIフレームワーク)のサポート」などを紹介した。
ゲストスピーカーのAngular日本ユーザー会代表 稲富駿(いなとみ・すぐる)氏は、「シングルページアプリケーション(SPA)がコモディティ化し、価値を追及する段階に入ってきている一方で、フロントエンド開発の複雑性は、さらに増している。フレームワークを使って省略できる意思決定はアウトソースし、開発者が本来追及すべき価値創出に注力するべき」と、フレームワーク活用の重要性を強調。
Angularを推薦する理由としては、Googleの自社サービス開発におけるドッグフーディングや、Google Chrome開発で得られたWebのベストプラクティスの反映により「品質が担保されている」ことに加え、「定期的なリリースサイクルや破壊的変更に対するポリシー」「TypeScript採用によるオブジェクト指向との親和性」「依存性注入(DI)の対応」「チーム開発に向くUI品質を担保するコンポーネント基盤」といったエンタープライズ開発に適した特長を示した。
同じくゲストスピーカーで日本マイクロソフト テクノロジーソリューションプロフェッショナルの井上章(いのうえ・あきら)氏も、完全にオープンソースでWindows、macOS、Linuxとマルチプラットフォームで動くコードエディタ「Visual Studio Code」は、統合開発環境「Visual Studio」の勢いを改めて盛り上げる存在。GitHub上で2017年に最もコントリビューター数が多かったプロジェクトとして選ばれるなど、今後も開発ツールの中心的な位置づけを担っていく存在と述べた。
また、クラウド経由で提供されるさまざまな開発支援ツールなども紹介し、モダンアプリケーション開発の環境がクラウドを中心に変わってきており、Microsoftとしては、「Microsoft Azure」と、その周辺開発ツールが盛り上がっている点を言及した。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です