利用シーンの大規模・高信頼化(Webサービスからエンタープライズ、テレコムへ)
OpenStackがサーバ・ネットワーク・ストレージの抽象化を実現するソフトウェアとして登場して以来、CERNのような科学領域に始まり、Webサービス企業、一般エンタープライズと利用領域は拡大してきました。最後の領域として現在急速に利用が広まっているのがテレコムキャリア領域です。前述の通り、キーノートで中国の三大キャリア(China Mobile、China Telecom、China Unicom)が事例を紹介しているほか、日本からは第4のモバイルキャリアとして名乗りを上げ新たなコンセプトでキャリアネットワークを構築しようとしている楽天モバイル、NFV MANOにおいてOpenStackを活用しようとしているNTTドコモも取り組みを紹介しています。
もともとOpenStackはキャリアでの利用を見込んだ動きがありました。キャリア向けの課題を議論するセッションは数年前のOpenStack Summitからも見られており、専用装置や運用方法をOpenStackを中心としたソフトウェアで置き換えて、スケーラビリティや信頼性、迅速なサービスデプロイを実現する、といった次世代のキャリアのビジョンが語られてきていました。ビジョンに過ぎなかったこれらの構想がようやく現実的になってきている状況が感じられます。
3Gから4G、5Gとモバイル通信技術の世代が上がっていくに連れてサービス要求も変わってきており、キャリアとしてもサービスとインフラのあり方を検討する時代になってきています。そのときに、VMワークロードが得意なOpenStack、コンテナワークロードが得意なKubernetesをどのように活用していくのかは、注視しておく価値のある動向と言えます。
OpenStack、Kubernetesとこれからのインフラストラクチャ
OpenStack Foundationがホストするプロジェクトは現在以下の5つが存在します。
- OpenStack(コンピュート・ストレージ・ネットワークの抽象化と仮想マシン提供)
- Airship(OpenStack on Kubernetesによるコンテナ・仮想マシン提供)
- KataContainer(仮想マシンベースのコンテナランタイム)
- Zuul(CI/CDパイプラインの実現)
- StarlingX(エッジにおけるインフラ管理)
イベント全体で感じられたのは、「Open Infrastructure」というものの持つ意味でした。前述の通りOpenStackはすでに利用することが珍しいものではなく、クラウドやインフラ領域の次の注目はコンテナオーケストレータであるKubernetesに移ってきていることは明らかです。OpenStack Foundationがホストする各種プロジェクトも、Kubernetesのエコシステムと密に連携したものが多く見られるのも当然のことと言えます。
今後の「Open Infrastructure」はどのようなものになっていくのか、OpenStackとKubernetesはどのように成長していくのか、注意深く見守っていきたいと思います。
Open Infrastructure Summit Shanghaiの後続レポート
次回以降は、OpenStack Foundationがホストするプロジェクトの深堀りや気になるセッションを中心にレポートいたします。
