コロナ禍でヤフーは混雑把握のための機能を次々と追加
松村雅治氏は2012年にヤフーに新卒入社して以来、ずっと大阪でアプリケーションのフロントエンドやバックエンド開発に携わっている。ヤフーは大阪駅を挟んで2か所にオフィスを構えており、どちらもフリーアドレス制なのでどこで働いてもいいようになっていた。
新型コロナウィルス感染症が広がるなか、ヤフーはリモートワークへと素早く移行。松村氏も2月下旬ごろからずっと在宅勤務を続けている。コロナ禍が長引くなか、ついに7月15日、ヤフーは「無制限リモートワーク」を発表した。10月1日より、リモートワークの回数制限やフレックスタイム勤務のコアタイムを廃止するなど、オンラインを前提とした働き方への移行を表明した。開発の仕事はしばらくオンラインが普通になる。
今回中心となるのが「Yahoo! MAP」アプリ。2017年に「Yahoo!地図」がリニューアルされ名称が変更された。「Yahoo!地図」の主要機能を引き継ぎつつ、現在地を起点に行きたい場所を選べるようになっている。公共交通機関の経路検索はもちろん、徒歩案内では地図上のナビのほか、実際の風景に進む方向を矢印で示すARモードもある。周辺の店舗や防犯マップも提供しており、「安心で快適なおでかけをサポート」がコンセプトだ。
コロナ禍で三密回避の重要性が高まるなか、ヤフーは混雑状況を確認できる機能を次々と実装していった。アプリを開くと地図の右上に「混雑」アイコンがある。これをタップしていくと混雑レーダー、混雑アイコン、混雑予報などが表示される。混雑レーダーは混雑具合に応じて色分けされたヒートマップだ。位置情報の利用を許可したユーザーの位置情報をもとにしており、過去24時間分の混雑状況が分かる。
混雑アイコンは7月30日から提供している新機能で、駅や店舗など施設周辺の混雑状況をアイコンの色で表示する。このアイコンをタップすると、施設周辺の曜日ごとの混雑傾向と当日の混雑実績が重ねて表示される。
なお、混雑レーダーは2015年9月から提供していたものの、サービス運営コストとニーズのバランスを鑑み、2020年1月にはいったん提供を終了していた。ところが新型コロナウィルスで状況は一転した。三密回避が重要になり「混雑状況を知りたい」という要望が高まってきたのだ。
ヤフーの決断と行動は早かった。4月1日にプロジェクトを発足し、翌日にはメンバーを集結。7営業日後となる4月10日には混雑レーダーを復活させた。