ファイナルステージに向けて着々と準備中、応募までの流れを追う
シスコは「Japan DevNet イノベーション チャレンジ 2020」を開催している。すでに作品提出は締め切られ、10月16日に一次審査結果を発表し、今は最終結果を決めるファイナルステージに向けて選考と準備が進められている段階だ。
コンテストは2013年からスタートした。当初は「シスコテクノロジーコンテスト」という名前で、シスコ製品の研究結果や提言の論文を募集していた。今振り返ると、アカデミックなイメージだったかもしれない。2018年からはより実践的な形を目指し、開発したアプリケーションを募集するように変わった。そして2020年からは「Japan DevNet イノベーション チャレンジ 2020」と名前を変え、イノベーションにつながるアプリケーション開発を後押しするコンテストになっている。
シスコにおいて、開発者を含めたエンジニア向けのコミュニティ「DevNet」の推進を担当する高田和夫氏は「ネットワークの世界ではプログラマビリティが広がり、APIで横の連携や自動化を促進することにフォーカスが当たるようになってきました。そうした時流をうけさらなるイノベーションを促すべく、コンテストの形を変えています」と話す。
提出作品が論文からアプリケーションへと変わった2018年の応募作品数は17。2019年に26と増え、2020年には18。今年は前年に比べれば応募作品数は減ったものの、企業を越えた有志連合などメンバーが多いチームが増え、参加者数で見れば2018年の倍になった。
あらためて2020年の流れを詳しく振り返ってみよう。コンテストとは直接関係ないものの、2月には「シスコ DevNet アイデアソン&ハッカソン 2020 東京」が開催された。こちらは2日間のイベントで、アイデアを出し合い短期間でアプリ開発を体験するものだった。同社 ディベロッパーサポートの山崎敦志氏は「エンジニア以外の参加者もいて、テクノロジーに関係なく新しいビジネスのアイデアが提案されました。シスコやエンジニアが『それなら、こうすればできる』と解決策を示すなど、互いにいい刺激になりました」と話す。この2月のイベントに参加し、引き続きコンテストにも参加している人が何人かいる。
コンテストは5月からスタート。作品提出期限は9月18日だったので、開発に費やせる期間は約4カ月だった。10月16日に優秀な5作品が選定され、11月下旬には最終結果を発表するためのコンテストのファイナルステージが開催される。なお今年は初めての試みとして、審査員による選考に加え、オンラインからの投票も加味して最終結果が決まる。高田氏は「当日は選考に残ったチームからのプレゼンを行い、視聴者からの投票を募ります。誰でも参加できますので、ぜひご参加ください」と呼びかける。
「Japan DevNet イノベーション チャレンジ 2020」はコンテストではあるものの、開発者を含めたエンジニア向けコミュニティ「DevNet」のイベントという位置づけで、学ぶ機会にあふれている点で特徴的だ。作品提出までの間、参加者はコラボレーションツールとなるWebex Teamsを通じてシスコのエンジニアからサポートを受けることができたという。
参加者のサポートを担当したうちの1人、同社 テクニカル ソリューションズ アーキテクトの大園通氏は「全ての相談を受けられるとは限りませんが」と断りをいれつつも、「気軽に相談して」というスタンスでサポートした。質問は「こんなアイデアは、シスコのAPIを使って実現可能か? どのAPIを使えばよいか?」「このAPIをAWSのLambdaと連携させて使いたいのだが、どうすれば?」や「こんなエラーが出て困っている」などが寄せられたという。一般的にコンテストとなれば、作品提出まで自力でやるものと考えがちだが、サポートがあるとは心強い。
DevNetは開発者の学びをサポートするためのコミュニティという側面もあるので、DevNetには学習用のコンテンツが多く用意されている。アプリケーション開発に使う言語やツールからネットワーク技術まで、実に幅広い。大園氏は「ログインしなくても閲覧できるコンテンツも多いのですが、学習コンテンツに関しては、無償のDevNetアカウントでログインしておくことで学習履歴が残りますし、達成度に応じてデジタルバッジがもらえるなどモチベーションアップにつながる楽しい要素もあります」と話す。
またDevNetにはSandboxがあり、コンテストに限らずアプリケーション開発で活用するといいだろう。シスコ製品や環境がなくても、シスコ製品やサービスに関わる範囲ならSandboxでAPIの動きを確かめることができる。