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ProductZineウェビナーレポート

不確実な状況でもプロダクト開発を続けるために――はてな・プレイドが語る、コロナ禍の課題と適応のヒント

ProductZineウェビナー「プロダクト作りのトランスフォーメーション」レポート

不確実性の高い世界の中で、非連続な成長を生み出すこととは

 続いて登壇したのは、プレイドの門脇氏。セッションタイトルは「不確実性の高い世界のなかで非連続な成長を生み出す」。門脇氏はプレイドのソフトウェアエンジニアとして同社が開発している顧客体験(CX)プラットフォーム「KRATE」の開発に従事する一方、プロダクト開発チームの生産性を最大化するための環境や仕組み作りにも携わっている。

プレイド ソフトウェアエンジニア/Head of Engineering 門脇恒平氏
プレイド ソフトウェアエンジニア/Head of Engineering 門脇恒平氏

 同社ではコロナ禍で急速に変化する環境に適用するため、さまざまな施策を行ってきたという。「コロナ禍に限らず、不確実性の高い世界の中で非連続な成長を生み出すために、いろいろなことに取り組んで来たことの積み重ねが、コロナ禍の変化適応に効いたことに気づいた」と門脇氏は話す。

 同社でフルリモートが始まったのは今年2月から。6月末のフルリモート終了まで、原則フルリモートでプロダクト開発を進めてきたという。現在はフルリモートが解除されてはいるものの、「多くの人がリモートワークを継続している」と門脇氏は語る。

 ではタイトルにある、プロダクト開発チームが直面している不確実性とは何か。なぜ非連続な成長が必要なのか。

 不確実性の高い環境とは、環境や可能性がものすごい速度で変化している状況のこと。また、正解がない中でプロダクトを作ることでもある。その変化に柔軟に適応しながら不確実性を確実に減らしていくことが求められる。

 その中で非連続な成長が必要なのは、積み上げの成長ではミッションへの到達が難しいからだ。しかもタイムリミットがある中で作っていかなければならない。「前提にとらわれずにインパクトのあるものを作り続けることが求められる」と門脇氏。

 同社では以前よりこの考え方のもと開発を進めてきたが、新型コロナウイルス感染症拡大によりさまざまな変化が起こった。例えばプロダクト開発チームにおいては、取り組むテーマの優先順位について、環境変化に柔軟に対応していくことが求められたという。またフルリモートに変化したことで、生産性やコミュニケーションにも変化が生じた。「定量的に測定はしていないが、多くの企業がコロナ禍で体験した同様のことが、僕たちにも起きていた」と門脇氏は語る。

変化適応に効いた、プレイド従来の取り組みとは

 ではこのような変化に適応するために、どのような取り組みを行ったのか。「改めて振り返ると、新しいことを始めたわけではなかった。これまでに継続的に行ってきたことが鍵となった」と門脇氏は言い切る。

 例えば取り組むテーマの優先順位については、環境の急激な変化への適応力を高めることを重視した開発スタイルが生きたという。この開発スタイルを同社では「フォーカス」と呼ぶ。

「フォーカス」の全体像
「フォーカス」の全体像

 フォーカスにはいくつかの特徴がある。まず開発サイクルは2~3カ月の期間で区切る。そしてプロダクトとして今注力すべきテーマをもとにチームを作成するのである。またテーマは決めきらず、余白を作り、最適なパフォーマンスを出すためのやり方を各チームで考えて決める。次フォーカスはゼロベースでテーマやメンバー構成を考えることとなっており、「継続するチームもあればなくなるチームもある」という。短期的には非効率なやり方に見えるが、長期的には変化に強いプロダクトが開発できるスタイルだ。「こういった開発スタイルを確立していたことで、変化の兆しに直面した時、チームや個人が自律的に意思決定してアクションできた」と門脇氏は語る。またこの状況でやるべきことは何か、ゼロベースで取り組むテーマやチーム、アサインを検討できたという。

 もう一つの課題である個人の生産性やコミュニケーションについては、解ける課題は直面したチームや個人が自走して解いていったという。「例えば家に働く環境がないと言うメンバーがいれば、周りの人に相談したり、議論に参加したりすることで、環境整備を金銭的にサポートする制度が生まれた。リモートワークによって生産性やモチベーションが低下するという課題に対しては、逆に生産が上がった人が自律的に会話やフォローに時間を投資することで解決した」と門脇氏。

 また気軽な相談、ランダムな会話がしづらいといった課題については、あるチームで雑談・おやつタイムを毎日15時に開催したことの効果が感じられ、その情報を他のチームへも共有。取り組みが必要なチームに広がっているという。

 門脇氏は変化に柔軟に適応できた理由を「不確実な世界の中で、非連続な成長を生み出すことを実現するための累積思考と、それに関するみんなのチャレンジの積み上げがあったから」と話す。そのために必要なことが二つある。一つは個人の想像力や発想を最大限に生かすこと。もう一つはトライアル&エラーを高速に繰り返すことだ。

 そしてそのような環境を作るために、プレイドで大事にしていることを4つ挙げた。第一は「ルールはできるだけ決めない」こと。一度ルールを作ってしまうと活動が硬直してしまう可能性があるからだ。第二が「自分の生産性は自分で上げる」。一番生産性の高まる働き方・環境を自分で選ぶ・作る権利と責任が個人にはあるからだ。第三は「常にゼロベースで考える」。前提にとらわれず常に最適な選択をすることである。第四は「プロダクトアウトを大事にする」。アイデアを口にしたり、GitHubに上げたりしただけでは価値はなく、アウトプットして次に生かすことで初めて価値になるというわけだ。「このようなマインドセットを持ってプロダクト開発してきた蓄積が今回にもうまく生きた」と門脇氏は言うのである。

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プロダクトの意思決定をできる人を増やすことが、非連続な成長を生み出す

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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