
スタートアップ期はスピードが勝負
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セッションは@hase-ryoさんによる「スタートアップ期のスピード勝負」からスタートしました。
「当時はまだ、これが『当たり前』ではなかったんですよ」
という前振りとともに映し出されたのが、QRコード決済のキットでした。既に我々の生活に浸透した感のあるQRコード決済ですが、わずか2年前、2019年頭には確かに当たり前の存在ではありませんでした。
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スピードを下支えした『泥臭い』意思決定
本格的に開発がスタートしたのは2018年4月とのことでした。そこから1年も経たないうちにサービスインしているわけですから、いかにスピード重視の体制が敷かれていたかが伺えます。
メルペイというサービスが成立するためには、QRコードやバーコードを読み込むことが必要です。特にユーザーがQRコードを読み込む形式の場合、店頭にQRコード決済のキットを設置する必要があります。初回決済までの流れはざっくりと以下のとおり。
- 登録
- 審査
- 配送
- 店頭に設置
- 決済開始!
1年で決済サービスを作り上げるためにとった戦略が「NoCode」でした。全ての機能をあるべき形で始めることはできないため、配送業務をNoCodeで構築する。一部、手動で運用を行う。メルペイ、そして親会社のメルカリは優秀なエンジニアを揃えたテックカンパニーというイメージが強かったので、こういった意思決定を行ったというのは興味深いことです。これは「ビジネス価値を顧客に届ける」ということが何より大切にされている、ということの表れだと感じました。
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制約条件の中でもデータドリブンに意思決定する
スピードを重視しながら、メルペイではデータ駆動で改善対象・目標を決めていきました。とれる数値の質には制約がありましたが、メルペイでは「代替指標」を定めることでこの課題に対応しています。たとえば店頭にQRコードが設置されたかどうかを一店一店確認することは現実的ではありません。そこで、代替指標としてはトラッキング可能な「メルペイから配送した数」を活用しています。
また、取得したデータをデータアナリストが手動で加工し機械可読性のある状態にする「人力ETL」も行っていました。
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