2.12 SQL Anywhereのアップデート
SQL Anywhereのアップデートは小さな修正から順に、以下の3つがある。
- EBF(Express Bug Fix)によるバグフィックス
- アップグレードパッチによるマイナーバージョンアップ
- メジャーバージョンアップ
EBFは、主にバグの修正で、ビルドナンバーが更新される。修正履歴がWebサイトに掲示されるので、必要があればインストールする。EBFファイルには、同一マイナーバージョン内における過去の修正がすべて含まれるので、最新のものを1つインストールすればよい。EBFファイルは、アイエニウェア・ソリューションズ社のWebサイトからダウンロードでき、インストーラを使ってアップデートする(ただし、EBFの取得は有償)。
アップグレードパッチではマイナーバージョンが更新され、バグの修正だけでなく、新機能も追加される。パッチファイルは、アイエニウェア・ソリューションズ社のサイトからダウンロードでき、インストーラを使ってアップグレードする。新機能を利用するには、「2.11 データベースファイルの再構築」で説明した方法でデータベースファイルを再構築したほうがよい場合がある。
メジャーバージョンアップは、大幅な機能追加で、新製品に位置づけられる。既存のデータベースは、原則、データベースファイルを再構築しなければならない。
バージョンの確認
現在インストールされているSQL Anywhereのバージョンは、以下のコマンドで確認できる。
$ dbeng9 -v
また、データベースサーバの起動ウィンドウなどにも、利用しているバージョンが表示される。バージョンは「9.0.2.2451」のように記述され、次のような意味である。
メジャーバージョン.0.マイナーバージョン.ビルドナンバー
2.13 サイレントインストール
SQL Anywhereをインストールする際、通常、CD-ROMからウィザードを起動して、オプションを選択しながらインストールする。1台のマシンにインストールするならこれでよいが、多数のマシンにインストールしたり、アプリケーションに組み込んだりする場合には、インストールの始めから終わりまで人間がつきっきりで見ていなければならず面倒だ。そのようなときは、あらかじめ指定したインストールオプションでインストールする「サイレントインストール」機能がある。
まず、設定オプションのマスターを作るため、適当なマシンにSQL Anywhereをインストールする。このとき、CD-ROM内のsetup.exeを-rオプション付きで起動する。
$ setup.exe -r
ウィザードに従ってインストールすると、設定したオプションが *.issという応答ファイルとして作成される。
次に、実際にインストールしたいマシンにインストールする。作成された応答ファイルをコピーしておき(たとえばsetup.iss)、CD-ROM内のsetup.exeを次のように起動する。
$ setup.exe -s f1"setup.iss"
これで、記録された設定どおりに自動でインストールされる。
2.14 各種コマンド
表2.7にSQL Anywhereにおけるデータベース管理コマンド名とその用途を簡単に記した。コマンドオプションなどの詳細はマニュアルを参照していただきたい。
コマンド名 | 説明 |
dbbackup | データベースをバックアップする |
dbcollat | 文字の照合(文字の並び順を指定したもの)をファイルに書き出す。照合をカスタマイズする際に利用する |
dbdsn | データソース名の管理 |
dbconsole | データベース接続をモニタリングするツールを起動する |
dberase | データベースファイルを削除する |
dbfhide | dbsrv9などのコマンドラインはファイルとして指定することもできるが、そのファイルを暗号化する |
dbhist | データベースのヒストグラムをファイルに書き出す |
dbinfo | データベース情報を表示する |
dbinit | データベースファイルを作成する |
dbisql | Interactive SQLを起動する |
dblang | ログメッセージなどの言語を変える |
dblic | ライセンス数を変える |
dbltm | Sybase Replication Serverに参加する |
dbtran | トランザクションログをSQLに変換する |
dbping | データベースサーバへの接続を試みる |
rebuild | データベースを再構築する。dbunloadやdbinitコマンドのラッパー |
dblocate | ネットワーク上にあるデータベースサーバを表示する |
dbsvc | データベースサーバのサービス登録を管理する |
コマンド名 | 説明 |
dbspawn | データベースサーバをバックグラウンドで起動する |
dbstop | データベースサーバを停止する |
dblog | トランザクションログファイルを管理する |
dbunload | データベースをアンロードする |
dbupgrade | データベースのスキーマをアップグレードする |
dbvalid | データベースを監査する |
次回
次回は、組込向けデータベース「Ultra Light」を、最新バージョンのSQL Anywhere 10向けに加筆して紹介する。社内評価や開発を目的としたSQL Anywhereの利用であれば、無償のDeveloper Editionを利用できるので、ぜひ一度、実際に試していただきたい。