Meraki Data Connect―つながりの可視化
静岡理工科大学の教員と学生混合チーム「Mizuki(Mizuno lab×Meraki)」は、Merakiのネットワークデバイスから取得できるAP情報、場所、接続時間などのデータをCRAWDADに公開されている500万件のログデータから分析し、“人やAP間”のつながりを可視化することを試みた。
一般的なコンピュータなら数日かかるところ大阪大学のスーパーコンピュータを使うことで128並列、20分で計算を終えたという。つながりの指標はグラフ理論をベースとして、同値類(エルゴード性)、次数、中心性を計算した。
今回のつながりの可視化により、将来的には効果的な通知に役立てられる可能性がある。例えば監視カメラの画像認識で害獣かどうかを判別し、効果的なユーザーにだけWebexやビーコンで通知するなどが構想にある。人間関係のつながりからは学生の満足度や退学防止にも役立ちそうだ。
つながりに着目した理由に「(コロナ禍で外出制限があり)人の動きを可視化できれば、もう少し遊びに行けるのではと考えた」と学生らしさが垣間見えた。
ネコ好きによる Meraki MV de 安心・安全なまちづくり
ネットワンシステムズ、ネットワンパートナーズの合同チーム「MerakiMVでネットにゃん」は、MerakiMV(スマートカメラ)を監視カメラとしてだけではなく「“まち”の問題解決に役立てたい」との想いから開発された。
主な流れはMerakiMVで取得した画像をAWSにアップロードし、AWS Rekognitionで画像識別し、その結果を地域でシェアして役立てる。
ユースケースは熊などの猛獣や、畑の野菜を食べてしまう害獣をカメラ画像から識別し、Webexで通知する。避難や柵設置などの対策に役立てる。もう1つのユースケースは人捜し。探す対象の顔写真をAWSアップロードして、過去の履歴から検索して一致した画像があれば撮影された日時や場所などを捜索者に通知する。検知対象の害獣や人物はWebexから設定できるように工夫し、人物検索にはプライバシーに考慮していたところが汎用的だ。
開発のきっかけはチームメンバーの知人が熊に遭遇したこととのことで、身近な脅威からMerakiMVのポテンシャルを活かし、地域の安心安全に貢献する可能性があるソリューションが実現した。
スマートコワーキングスペースの実現
株式会社リブレスは、ベトナムにいるメンバーと協力し、コワーキングスペースに役立つ機能を5つ開発した。
(1)自動受付は受付のカメラから利用者の性別や年代を判別して、受付画面に表示するキャラクターを変更する。(2)空席確認はカメラで空いているエリアを判断して、利用者を誘導する。(3)Wi-Fi SSID自動発行機能は受付時にユーザーごとに個別のSSIDを発行し、アクセス用のQRコードを提供する。セキュリティを高めるのに役立つ。
(4)入館者コンタクト機能は利用者同士が知り合いになるためのコミュニケーションボードとなる。リブレスの製品を応用した。(5)電力消費削減は館内カメラで人数がゼロになると、Wi-Fi機器の電源を切る。リブレスの試算ではWi-Fi APが300台で人がいない時間帯の電源をオフすることで年間約1.2トンのCO2削減効果が見込める。
今後はリモート解錠、照明制御、メタバース連携など拡張が考えられ、またコワーキングスペースだけではなくイベント会場やキャンパスでも活用が見込めるという。