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ネットワークやカメラを活かすアプリ開発のヒントが満載! シスコ「Meraki D-1 グランプリ」ファイナルステージ

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 2022年7月15日、シスコシステムズ(以降、シスコ)はMeraki APIを活用して開発した作品のスキルとアイデアで競うコンテスト「第1回 Meraki D-1 グランプリ 2022 ファイナルステージ」を開催した。Merakiはネットワーク機器、カメラ、各種IoTセンサーなどをクラウドで管理するプラットフォーム。イベント当日はファイナリスト5組のプレゼンと、最終審査を経て、グランプリ作品が発表された。

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 シスコが提供しているクラウド管理型ネットワークに「Meraki」がある。Wi-Fiアクセスポイントやスイッチなどのネットワーク機器、スマートカメラ、各種IoTセンサーなどのハードウェアをクラウドで管理し、公開されたAPIから制御とデータ取得ができる製品となっている。

 ネットワーク機器、カメラ、センサーをAPIで操作するなんて「難しい」と敬遠していないだろうか。応募者たちは「やってみたら、そんなに難しくなかった」と口々に言う。大事なのは挑戦することとアイデアだ。身近で困っていること、実現したいことをMerakiが可能にしてくれるかもしれない。応募者たちのアイデアはいいヒントになりそうだ。

 今回の「Meraki D-1 グランプリ 2022」では26チームの応募があり、そのなかから5チームの作品がファイナリストとして選ばれた。コンテストは作品のスキルとアイデアで競う。審査員は翔泳社 CodeZine編集長 近藤佑子氏、デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ GSS 戦略調整官/慶應義塾大学 SFC 研究所上席所員 小野寺好広氏、加えてシスコから執行役員4名が務めた。ファイナリストの応募作品を見てみよう(発表順)。

これでもう起こされない!安否確認自動回答システム

 最初の発表は富士通ネットワークソリューションズ株式会社の有志による「NETS Five!」。

富士通ネットワークソリューションズ株式会社「NETS Five!」
富士通ネットワークソリューションズ株式会社「NETS Five!」

 企業にとって社員の安否確認システム運用は重要であるだけではなく、深夜でも連絡を取り合わなくてはならない苦労もある。そこでNETS Five!ではMerakiを活用して安否確認に自動で返信できるシステムを開発した。機能は大きく分けて(1)地震速報の通知、(2)社員の安全の判断、(3)安否確認システムへの回答となる。

システム構成図
システム構成図

 社員が安全かどうかは、(自宅にいる)社員の端末が自宅Wi-Fiに接続していることや、自宅カメラで撮影した画像を解析して判断する。判定結果をGoogle Sheetsに記録し、判定結果をシステムに回答、および本人に通知する。作品では誤検知を防ぎ、プライバシーを守るための工夫が凝らされていた。

 今後の改善ポイントとして温度センサーで火災や水害などを検知したり、ドアセンサーで避難可能か、屋外に設置したカメラから安全な避難経路検出に役立てたりするなどのアイデアが発表された。

Merakiで実現するスマートオフィス

 渋谷発の老舗IT企業 株式会社ミツイワの「EDA.lab」では、スマートオフィスをテーマに社員から寄せられた7つの要望をMerakiに実装した。

株式会社ミツイワ「EDA.lab」
株式会社ミツイワ「EDA.lab」

 Merakiデバイスとオープンデータなどを複合して、社員の生産性を高める便利な機能を実行する。プレゼンでは3つの機能を紹介した。

システム構成図
システム構成図

 (1)「自分の状況を報連相しちゃうオフィス」では、ドアの開閉センサーと天気データから「豪雨が来そうだから窓を閉めて」などと、オフィスが社員のTeamsに必要な情報を通知する。(2)「扉を出ると行先までの情報を教えてくれるオフィス」では、社員がオフィスから出る時に、出口のカメラから誰かを判定し、予定表から次の目的地までの交通機関の運行状況を通知する。(3)「今、最適なワークスペースを提案しちゃうオフィス」では、外出者にオフィスの混雑状況を伝え、混んでいたら近くのサテライトオフィスを提案する。

 代表者は「オフィスが人に寄り添い、必要な価値を提供するスマートオフィスを実現できたと思います」と話した。

Meraki Data Connect―つながりの可視化

 静岡理工科大学の教員と学生混合チーム「Mizuki(Mizuno lab×Meraki)」は、Merakiのネットワークデバイスから取得できるAP情報、場所、接続時間などのデータをCRAWDADに公開されている500万件のログデータから分析し、“人やAP間”のつながりを可視化することを試みた。

静岡理工科大学「Mizuki(Mizuno lab×Meraki)」
静岡理工科大学「Mizuki(Mizuno lab×Meraki)」

 一般的なコンピュータなら数日かかるところ大阪大学のスーパーコンピュータを使うことで128並列、20分で計算を終えたという。つながりの指標はグラフ理論をベースとして、同値類(エルゴード性)、次数、中心性を計算した。

つながりの指標
つながりの指標

 今回のつながりの可視化により、将来的には効果的な通知に役立てられる可能性がある。例えば監視カメラの画像認識で害獣かどうかを判別し、効果的なユーザーにだけWebexやビーコンで通知するなどが構想にある。人間関係のつながりからは学生の満足度や退学防止にも役立ちそうだ。

 つながりに着目した理由に「(コロナ禍で外出制限があり)人の動きを可視化できれば、もう少し遊びに行けるのではと考えた」と学生らしさが垣間見えた。

ネコ好きによる Meraki MV de 安心・安全なまちづくり

 ネットワンシステムズ、ネットワンパートナーズの合同チーム「MerakiMVでネットにゃん」は、MerakiMV(スマートカメラ)を監視カメラとしてだけではなく「“まち”の問題解決に役立てたい」との想いから開発された。

ネットワンシステムズ株式会社・ネットワンパートナーズ株式会社「MerakiMVでネットにゃん」
ネットワンシステムズ株式会社・ネットワンパートナーズ株式会社「MerakiMVでネットにゃん」

 主な流れはMerakiMVで取得した画像をAWSにアップロードし、AWS Rekognitionで画像識別し、その結果を地域でシェアして役立てる。

システム構成図
システム構成図

 ユースケースは熊などの猛獣や、畑の野菜を食べてしまう害獣をカメラ画像から識別し、Webexで通知する。避難や柵設置などの対策に役立てる。もう1つのユースケースは人捜し。探す対象の顔写真をAWSアップロードして、過去の履歴から検索して一致した画像があれば撮影された日時や場所などを捜索者に通知する。検知対象の害獣や人物はWebexから設定できるように工夫し、人物検索にはプライバシーに考慮していたところが汎用的だ。

 開発のきっかけはチームメンバーの知人が熊に遭遇したこととのことで、身近な脅威からMerakiMVのポテンシャルを活かし、地域の安心安全に貢献する可能性があるソリューションが実現した。

スマートコワーキングスペースの実現

 株式会社リブレスは、ベトナムにいるメンバーと協力し、コワーキングスペースに役立つ機能を5つ開発した。

株式会社リブレス
株式会社リブレス

 (1)自動受付は受付のカメラから利用者の性別や年代を判別して、受付画面に表示するキャラクターを変更する。(2)空席確認はカメラで空いているエリアを判断して、利用者を誘導する。(3)Wi-Fi SSID自動発行機能は受付時にユーザーごとに個別のSSIDを発行し、アクセス用のQRコードを提供する。セキュリティを高めるのに役立つ。

 (4)入館者コンタクト機能は利用者同士が知り合いになるためのコミュニケーションボードとなる。リブレスの製品を応用した。(5)電力消費削減は館内カメラで人数がゼロになると、Wi-Fi機器の電源を切る。リブレスの試算ではWi-Fi APが300台で人がいない時間帯の電源をオフすることで年間約1.2トンのCO2削減効果が見込める。

ネットワーク全体構成図
ネットワーク全体構成図

 今後はリモート解錠、照明制御、メタバース連携など拡張が考えられ、またコワーキングスペースだけではなくイベント会場やキャンパスでも活用が見込めるという。

白熱した議論の末、優勝は誰の手に?

 審査は予定時間をオーバーするほど白熱し、最終的には次のように決定した。優勝は「EDA.lab」で、景品としてNintendo Switch本体が贈られた。審査員特別賞は「MerakiMV でネットにゃん」と「株式会社リブレス」の2チームが受賞し、景品はAmazon Echo Show 5が贈られた。

優勝:EDA.lab「Merakiで実現するスマートオフィス」
優勝:EDA.lab「Merakiで実現するスマートオフィス」
審査員特別賞:MerakiMV でネットにゃん「ネコ好きによる Meraki MV de 安心・安全なまちづくり」
審査員特別賞:MerakiMV でネットにゃん「ネコ好きによる Meraki MV de 安心・安全なまちづくり」
審査員特別賞:株式会社リブレス「スマートコワーキングスペースの実現」
審査員特別賞:株式会社リブレス「スマートコワーキングスペースの実現」

 加えて、残念ながらファイナリストに残れなかったが優秀な作品を開発した学生チーム、東京都立産業技術高等専門学校の「Passionate」に学生賞が贈られた。同チームの「EYEGRICULTURE」はカメラで農作物(トマト)の生育状況を判定したり、畑に人間が侵入すると管理者に通知を送ったりするなど、農家の課題を解決するためのソリューションとなっていた。

学生賞:Passionate「EYEGRICULTURE(MVカメラを用いた農作物監視システム)」
学生賞:Passionate「EYEGRICULTURE(MVカメラを用いた農作物監視システム)」

 最後に全てのエントリー作品をまとめた動画が流れてイベントは終了した。

 すぐに実用化できそうなソリューションから、新たな発想プレゼンテーションまで、レベルの高い発表が繰り広げられた「Meraki D-1 グランプリ」ファイナルステージ。ネットワークやカメラを組み合わせたアプリ開発の新たな可能性を感じられたのではないだろうか。あなたもぜひ、Merakiを活用して何にチャレンジするか、考えてみてほしい。

 本イベントは、感染防止策等を踏まえた十分な対策を取って開催されました。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/16263 2022/08/23 12:00

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