シスコが提供しているクラウド管理型ネットワークに「Meraki」がある。Wi-Fiアクセスポイントやスイッチなどのネットワーク機器、スマートカメラ、各種IoTセンサーなどのハードウェアをクラウドで管理し、公開されたAPIから制御とデータ取得ができる製品となっている。
ネットワーク機器、カメラ、センサーをAPIで操作するなんて「難しい」と敬遠していないだろうか。応募者たちは「やってみたら、そんなに難しくなかった」と口々に言う。大事なのは挑戦することとアイデアだ。身近で困っていること、実現したいことをMerakiが可能にしてくれるかもしれない。応募者たちのアイデアはいいヒントになりそうだ。
今回の「Meraki D-1 グランプリ 2022」では26チームの応募があり、そのなかから5チームの作品がファイナリストとして選ばれた。コンテストは作品のスキルとアイデアで競う。審査員は翔泳社 CodeZine編集長 近藤佑子氏、デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ GSS 戦略調整官/慶應義塾大学 SFC 研究所上席所員 小野寺好広氏、加えてシスコから執行役員4名が務めた。ファイナリストの応募作品を見てみよう(発表順)。
これでもう起こされない!安否確認自動回答システム
最初の発表は富士通ネットワークソリューションズ株式会社の有志による「NETS Five!」。
企業にとって社員の安否確認システム運用は重要であるだけではなく、深夜でも連絡を取り合わなくてはならない苦労もある。そこでNETS Five!ではMerakiを活用して安否確認に自動で返信できるシステムを開発した。機能は大きく分けて(1)地震速報の通知、(2)社員の安全の判断、(3)安否確認システムへの回答となる。
社員が安全かどうかは、(自宅にいる)社員の端末が自宅Wi-Fiに接続していることや、自宅カメラで撮影した画像を解析して判断する。判定結果をGoogle Sheetsに記録し、判定結果をシステムに回答、および本人に通知する。作品では誤検知を防ぎ、プライバシーを守るための工夫が凝らされていた。
今後の改善ポイントとして温度センサーで火災や水害などを検知したり、ドアセンサーで避難可能か、屋外に設置したカメラから安全な避難経路検出に役立てたりするなどのアイデアが発表された。
Merakiで実現するスマートオフィス
渋谷発の老舗IT企業 株式会社ミツイワの「EDA.lab」では、スマートオフィスをテーマに社員から寄せられた7つの要望をMerakiに実装した。
Merakiデバイスとオープンデータなどを複合して、社員の生産性を高める便利な機能を実行する。プレゼンでは3つの機能を紹介した。
(1)「自分の状況を報連相しちゃうオフィス」では、ドアの開閉センサーと天気データから「豪雨が来そうだから窓を閉めて」などと、オフィスが社員のTeamsに必要な情報を通知する。(2)「扉を出ると行先までの情報を教えてくれるオフィス」では、社員がオフィスから出る時に、出口のカメラから誰かを判定し、予定表から次の目的地までの交通機関の運行状況を通知する。(3)「今、最適なワークスペースを提案しちゃうオフィス」では、外出者にオフィスの混雑状況を伝え、混んでいたら近くのサテライトオフィスを提案する。
代表者は「オフィスが人に寄り添い、必要な価値を提供するスマートオフィスを実現できたと思います」と話した。