複数企業でのCTO経験から語る、エンジニアのキャリアに大切な事
バーチャルな世界が広がっていくのに合わせるように、リアルなテーマパークも世界中に広がっていく。すでに国内外のさまざまな都市から、「RED°」を誘致したいという話がかなり来ているそうだ。TEGは誘致の話を真剣に検討し、今後日本国内だけでなく、国外の観光地にも「RED°」を作っていく。
そして「RED°」に設置するアトラクションもどんどん変わっていく。バーチャルの世界でも、トークン、コンテンツ、メタバースを中心に世界が広がっていく中で、当初は想定していなかったサービスが出てくる可能性もある。小林氏は「今後を考えると無限の可能性がある」と胸を張る。
ここで小林氏は話題を変え、TEGではどのようなエンジニアを求めているのかという話を始めた。暗号資産やメタバースに挑戦する企業と聞くと、特別な専門知識が必要になるのではないかと考える人もいるかもしれないが、小林氏は「そのような分野の経験者を求めてもほとんどいないだろう」と見ている。
TEGがエンジニアに求めるのは、少なくとも1つのプログラミング言語を使いこなせることと、Amazon Web Services/Google Cloud Platform/Microsoft Azureといったパブリック・クラウド・サービスを利用してアプリケーションを作ったり、システムを構築したりした経験だ。この条件なら、かなりの数のエンジニアが当てはまるのではないだろうか。そしてもちろん、日本のエンターテインメントに関わるのだから、ゲームやアニメやeスポーツが好きであるほうが望ましい。エンターテインメントの領域が好きな人に来てもらえれば、毎日が楽しいだろうと小林氏は付け加える。
小林氏はこれまで数社でCTOを務め、合計で何千人ものエンジニアを見てきたという。その経験から新しいキャリアに踏み出そうとするエンジニアたちにアドバイスを送った。まず、新しいキャリアを選ぶときはどんな経験を積めるのかということが大切だという。小林氏は、天才サッカー少年や、天才卓球少女は存在するが、天才少年エンジニアや天才少年経営者は存在しない点を指摘。サッカーや卓球は才能があれば幼い頃から活躍できるが、エンジニアや経営者としての仕事ぶりは経験が大きくものをいうからだという。エンジニアとして、人から大きく評価される仕事をやり遂げるには、適切な経験を十分積むことが必要だということだろう。
そして、小林氏が見てきたエンジニアの中には、自分がどのようなことができるのかという点だけで仕事を選ぶ人もいるそうだ。自分のキャリアアップ、スキルアップのために働くという人もいる。しかし小林氏の経験では、お客さまのためや、会社が実現したいビジョンのために働いているエンジニアのほうが、より大きな成果を残してきたことが多いそうだ。
最後に小林氏は、エンジニアとしてどの産業で働くかをよく考えたほうが良いという。小林氏は新卒でエンジニアとして働き始めたときは不動産や石油の業界で働き、その後はEC、自動車の業界で働いてきた。そして今は観光とIPで勝負しようとしている。
エンジニアとしてスキルを磨くことはもちろん大切なことだ。小林氏はその磨いたスキルをどこで発揮するのかがとても重要であり、自身もその点を考えてキャリアを歩んできたと強調する。スキルを発揮する場をしっかり選ぶことで、仕事が充実し、好待遇など良い条件で働けるということだ。最後に小林氏は「あなたが50〜60歳になったときに強くなっているであろう産業に、今から関わったほうが良い。これから日本では観光とIPが強くなっていく」というメッセージを残し、エンジニアたちに、エンターテインメント業界に挑戦するよう呼びかけた。